アリーフ:2015年からインドネシアの環境林業省や政府機関とともに「Bamboo Village Initiative」という取り組みを始め、土地の荒廃による影響を受けている農村地域やへき地の農村地域の人々に対して35年間の農地利用権をしっかりと保証し、竹を中心とした持続可能な農業を支援しています。なぜ竹を活用するかというと、丈夫な根を持つ竹を他の植物たちと一緒に植えることで、さまざまな長さの根が土の中で広がって水をきちんと蓄えられるようになり、荒廃した土地を肥沃な状態に戻せるからです。現在は、国内1,000ヶ所で竹の植林と竹産業の振興に取り組む「1000 Bamboo Village Project」を進めており、2029年までに世界9カ国に普及することを目指しています。
とても壮大な取り組みですね。「1000 Bamboo Village Project」によって、どのような効果が期待できますか?
アリーフ:竹の活用に関する専門的な知識については自信があるのですが、EBFの運営や「1000 Bamboo Village Project」の実行にあたって、特にマーケティングや関係者とのコミュニケーションに関してまだまだ課題があると感じていたためエントリーしました。これらの困りごとに対して、アース・カンパニーは非常に細やかに支援をしてくれています。
アリーフ:自然環境に目を配るだけでなく、人々が自分たちのアイデンティティやプライド、文化をしっかりと認識し、それぞれが持つ能力を十分に発揮できる多様な社会こそ、先進国としてのあるべき姿ではないでしょうか。たとえば、職人など伝統的な技術や知恵を持っている人たちの価値がきちんと評価され、その力が発揮されること。自分たちが暮らしてきた土地に対して、帰属意識を持てること。インドネシアには約570の民族が暮らしていますが、その多くが消滅の危機にあります。彼らが持つ伝統的な知恵や価値観を、AIなどの新しいテクノロジーによってこれからも生かし、文化的にも多様で持続的な社会をつくっていくことが大切だと思います。インドネシアには「Unity through Diversity(多様性の中のつながり)」という概念があるように、多様性を尊重し、お互いが生かし合う社会を目指していきたいです。
日本からできることはありますか?
アリーフさんの考えや活動はどれも素晴らしく、学ぶことがたくさんあると感じます。EBFの活動や「1000 Bamboo Village Project」に対して、日本からはどのような関わり方ができるでしょうか?
アリーフ:私の竹に関する知識や自然に対する思いやりは、すべて母から受け継いだものです。「1000 Bamboo Village Project」を進める上でも、農村地域の女性たちが持つ思いやりの心や愛情が、活動においていかに重要かを日々実感しています。いろいろな国や地域の女性たちがリーダーシップを発揮し活躍できる場をもっとつくることが大切であり、老若男女さまざまな人々を巻き込みながら一緒に活動を進めることが私の思い描く未来のビジョンです。
壮大なお話の数々の中で、「再生経済」という考えがとても印象的でした。搾取ではなく、再生する経済のあり方。アース・カンパニーの濱川明日香さんのお言葉を借りると、これこそが「本当に最先端の先進国」の考え方なんだなと思いました。
また、「Unity through Diversity(多様性の中のつながり)」という、多様なものが一つになって進んでいく考え方は、酒造り・浄酎造りにもつながるものなので、ナオライの事業における一つのキーワードにしたいと思いました。