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橋本 梓

美術館研究員

中村悠介

編集者

今回インタビュアーを務める橋本 梓さんは、大阪・中之島にある国立国際美術館に勤務する研究員。そんな橋本さんがインタビューする中村悠介さんは、大阪発のローカル・カルチャー・マガジン『IN/SECTS』をはじめ、さまざまなメディアの編集や執筆、イベント企画などを手がける編集者。この7月に国立国際美術館で開催される「Music Today on Fluxus 蓮沼執太 vs 塩見允枝子」の企画を共に進めているおふたりの間で、果たしてどんなお話が繰り広げられるのでしょうか?

3. お金儲けはしないんですか?

中村悠介 

僕らは小さなイベントなんかをやっていますけど、それで儲けよう、というか、儲かるとは思ってないんですね。

Q.ある意味、ひとつの専門分野に自分を追い込んでいく方が簡単だったりすると思うんですね。そういう意味で、中村さんのように一歩引いた立場の人が果たす役割というのは大事だなと思うんです。

中村:そう言ってもらえると、なんかやりがいが出てきたぞー!(笑)。まぁ、僕らは小さなイベントなんかをやっていますけど、それで儲けよう、というか、儲かるとは思ってないんですね。もちろんプロのイベンターさんの仕事は別にして、例えば大阪が東京と大きく違うのは、こっちはあまりお金ベースで考えていないところですよね。儲けないということが原因で悪く転ぶこともあるけど。関西の場合はスタッフなんかも少ないから、なんでも自分たちでやる事情があるにせよ、やっぱり第三者が入って一緒にやることが大事だと思ってます。ただ、そういう人というのが少ないから、それが自分の役割なのかなと。

「IN/SECTS」主催のイベントの様子。

Q.そういう立場の人が一人入るだけで全然変わることもありますよね。作家さんでもなんでも自分で全部やっちゃう人は途中までは早いけど、その先の伸びしろみたいなものがなくて、頭打ちになってしまう場合も多いんです。

中村:なんでも自分でやりがち問題。ミュージシャンが自分でレーベルなんかをやるのはいま真っ当なことかもしれませんが、なんというのか世知辛いとも思ってしまうんですね。

Q.例えば、失業率の高さがよく話題になったり、最近大阪がギスギスしてきていているのが凄く残念なんですよ。昔だったら気さくに話していたようなことが「そんなん得にならへん」と切り捨てられたりしている気がする。

中村:わかります。お金の物差しで計ることと、そうじゃないこと、というのは当然ありますよね。いきなり損得だけで考えてしまうのは…たぶん損ですよね。回り回って経済的にも。

Q.経済原理をベースにすると必要なシステムなのかもしれないけど、違うメガネで見てみると、全然要らないものって多いですよね。「IN/SECTS」の人たちに感じるのは、良い意味であまりトンがッたところがないことなんですね(笑)。東京にも編集者の知り合いはいますが何かが違う(笑)。

中村:ユルいってことですよね(笑)。それは戦略です。ウソ。トンガってもみたい…。まぁ、東京の出版社に勤めて、編集者らしい編集者になるという憧れも以前はありましたよ。「トレンドはこれだ!」「広告ゲット!」みたいな。それもファンタジーかもしれませんが。でも、「IN/SECTS」は広告ベースで動いているわけでもないし、最初から動けるとも思ってない。大阪から出しているということをもっと強みにしていくつもりです。とはいえ、「対東京」で考えているわけではなくて、トンガって言うと(笑)「トランスローカル」ですか? 物理的な距離よりも気持ちの距離が近い人たちが、とりあえず繋がることがいまはまだワクワクできると思っています。

インフォメーション

橋本さんと中村さんが企画に携わっている「Music Today on Fluxus 蓮沼執太 vs 塩見允枝子」は、7月7日に国立国際美術館で開催予定。

もっと知りたい人は…

  • 橋本 梓 

    橋本 梓

    美術館研究員

    1978年滋賀県生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程指導認定退学。2008年より国立国際美術館にて研究員を務める。企画展に「風穴 もうひとつのコンセプチュアリズム、アジアから」(国立国際美術館、2011年)、「〈私〉の解体へ:柏原えつとむの場合」(国立国際美術館、2012年)、共同キュレーションによる「Omnilogue: Alternating Currents」(PICA、オーストラリア/国際交流基金、2011年)。共訳書に、ジョナサン・クレーリー『知覚の宙吊り』(平凡社、2005年)。

  • 中村悠介 

    中村悠介

    編集者

    1976年生まれ。京都市在住。雑誌編集者。過去は「Lマガジン」(京阪神エルマガジン社)、「OK FRED」(リトルモア)。現在は大阪の谷町6丁目で「IN/SECTS」(LLCインセクツ)の編集業に携わる。