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黒田潔

イラストレーター

寺坂直毅

放送作家

カンバセーションズには3回目の登場となるイラストレーターの黒田潔さん。ダンサーの黒田育世さん、コラムニスト/マンガ家の辛酸なめ子さんに続き、今回黒田さんがインタビュー相手に選んだのは、放送作家の寺坂直毅さん。さまざまなラジオ、テレビ番組の構成を手がける傍ら、「紅白歌合戦」「徹子の部屋」、デパートなどに関する膨大な知識を持ち、「やりすぎコージー」などのテレビ出演や「胸騒ぎのデパート」の著作などでも知られる寺坂さんに、黒田さんが迫ります。

2. いつからデパート巡りを始めたのですか?

寺坂直毅 

幼稚園の頃から友達がいなかったので、ひとりで地元のデパートに行って、隅から隅まで回っていました。エレベーターガールと話したり、屋上の遊園地で遊んだり、デパートは僕の遊び場だったんです。

Q.普段の仕事では文章や言葉を扱うことが多いと思うんですが、「紅白」のミニチュア作りのように、自分の手を動かしてもの作りをすることへの興味も強いんですか?

寺坂:工作などには特に興味があるわけではないんです。ただ、もともと実家が毛糸屋さんとブティックをやっていたから、余った型紙や画用紙がたくさんあったんですね。そういうものを使って、「ひとりシムシティ」みたいな感覚で、デパートの設計図とかを幼稚園の頃から作ったりはしていましたね。

Q.寺坂さんはデパートの本も出されていますもんね。僕はもともと実家が二子玉川なので、玉川髙島屋にはよく行っていたんです。寺坂さんの本を見ながら、「機会があればこのデパートに行ってみたいな」と楽しみにしているんですよ。いまちょうど僕はデパートの仕事をしているんですけど、デパートというのは土地ごとに空気感などが違って面白いですよね。

寺坂:色んな地方のデパートに行くと、その街が見えてきますよね。もともと僕がデパートに興味を持ったのは、地元の宮崎の宮崎山形屋というでデパートが近くにあったからなんです。幼稚園の頃から友達がいなかったので、近所の公園とかには行かず、幼稚園が終わったらひとりで山形屋に行って、エスカレーターやエレベーターに乗ったり、エレベーターガールと話したり、屋上の遊園地で遊んだりと、とにかく隅から隅まで回っていて、デパートは僕の遊び場だったんです。僕が小学2年生くらいの時に、ボンベルタ橘というデパートができることになって、その工事の様子とかも全部双眼鏡で見ていました。スケルトンでシースルーエレベーターが見えるになっていたので、オープン後も双眼鏡を中を覗いては、「今日のエレベーターガールは◯◯さんだな」とか確認していて、完全に気持ち悪い子でしたね(笑)。

寺坂直毅「胸騒ぎのデパート」(2009/東京書籍)

Q.宮崎県外のデパートにはいつ頃から行くようになったんですか?

寺坂:山形屋がバーゲンの日に、いつものように遊びに行ったら、エレベーターガールの方に「今日は忙しいから帰って」と言われたことがあったんです。その時に「僕はもうここにいちゃいけないんだな」と失恋したような気持ちになって、それ以来ほとんど山形屋には行かなくなったんです。それでもボンベルタなど他のデパートには行っていたんですけど、ある時ボンベルタのエレベーターに乗っていたら、エレベーターガールがやたら僕のことを見るんですよ。当時僕は家で自分の名札とかを勝手に作って、エレベーターガールごっこをやっていたんですが、「ボンベルタ橘 寺坂」という名札を付けたまま出かけてしまっていて…。そんなことなどがあって宮崎のデパートがトラウマだらけになってしまったんですよ。

Q.当時はひとりで県外のデパートに行っていたんですか?

寺坂:うちの父親が福岡とかに旅行で連れて行ってくれるようになって、そこで都会には色んなデパートがあるということを知ったんです。その後はお父さんにお願いをして旅行に行く度に、1日目は市内観光をして、2日目は朝から百貨店を巡って最終便で宮崎に帰るということをするようになりました。その後、小学校4年生くらいからはもうひとりで行っていいという話になり、バスに乗って福岡や鹿児島に行き、ビジネスホテルは子供が使えなかったので、国民宿舎などの公共の宿に泊まり、路面電車などを駆使して百貨店を回るということをしていましたね。<続く>

インフォメーション

黒田潔さんは現在、小説家・村上龍氏がJRA新聞広告・スポーツ新聞各紙に連載中の「速いものは、美しい」のイラストを担当。また、Samantha Thavasaのキャンペーン「Smantha Thavasa × カワイイ × Art.」の8月のグラフィックも担当し、CMもオンエアー中。

もっと知りたい人は…

  • 黒田潔 

    黒田潔

    イラストレーター

    イラストレーター。資生堂「ザ・コラーゲン」広告、 Van Cleef & Arpels銀座店ディスプレイ等を手掛ける。2005年新宿サザンビートプロジェクトのウォールグラフィックでグッドデザイン賞を受賞。東京都現代美術館MOTアニュアル10」。韓国ナム・ジュン・パイクアートセンター等の展覧会に参加。作品集「森へ」(ピエ・ブックス)、古川日出男氏との共作「舗装道路の消えた世界」(河出書房新社)を出版。

  • 寺坂直毅 

    寺坂直毅

    放送作家

    1980年宮崎生まれ。家から徒歩圏内にデパートが何軒も乱立する環境で幼少期を過ごし、魅力に憑りつかれたために日本全国のデパートを行脚した「胸騒ぎのデパート」(東京書籍)を刊行。紅白歌合戦、黒柳徹子研究などの趣味を持つ。