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1048

ゲームプレイヤー

梅沢和木

美術作家

今回お届けする記事は、「カンバセーションズ」初の試みとなる「聞く側」「聞かれる側」の立場を入れ替えた”リバース”インタビュー。前回話題を集めたアーティスト・梅沢和木さんから、カリスマゲーマー・1048さんへのインタビューから一転、今回は「ゲーム」という観点を軸に、1048さんが梅沢さんの創作活動の秘密に迫ります。

4. ゲームは人生に役立っていますか?

梅沢和木 

ゲームをプレイするということは、人生を豊かにする要因のひとつだと思っているし、精神力なんかもかなり鍛えられましたね(笑)。

Q.いままで話してきたように、ゲームというのは梅ラボのルーツのひとつだと思いますが、最近の作品制作において変わってきた部分はありますか?

梅沢:基本的な軸はズレていないんですが、最近はベタにアーティストがいまするべきことは何かということを考えています。東浩紀さんが提案している福島第一原発観光地化計画を一緒にやらせてもらっているんですが、いま日本に求められていることという非常に重いテーマに対して、真正面から取り組んでいる。こういう提言を斜に構えて見ることは楽ですが、逃げずに作品で答えを出していくことが重要だと考えています。一見関係ないように見えるけど、この問題の背景には戦後の資本主義の日本が生んだオタクカルチャーが密接に関係していて、ゲームも決して無関係ではない。例えば、いま作っている作品にしても、神のような畏れを抱かせる存在や祈りの対象になるようなものを、都市とネットのイメージを両立させて描こうとしているのですが、コアなイメージ体験と公共性や普遍性を両立させるために構図作りになかなか苦戦しています。

『LOVE展』at 森美術館 2013.4.26-9.1

Q.それはきっと、「ビーマニ」で楽曲のジャンルや譜面の傾向が変わった時、それに対応するのに時間がかかるのと同じようなことですよね。僕も聞かれたことですが、梅ラボはゲーム体験がそれ以外の部分に役立っているところはありますか?

梅沢:ゲームによって得られた没入体験によって、よりコアなイメージが見えて、絵画に没入できるというのはありますね。ゲームをプレイするということは、人生を豊かにする要因のひとつだと思っているし、精神力なんかもかなり鍛えられましたね(笑)。ゲームには自分との戦いという部分があって、きっとアスリートはこういう感じなのかなと。もちろんアスリートはもっと過酷ですし、身体的体験とそれにかける時間と資本のコストが自分の人生と直結している。しかし逆にゲームというのは凝縮された時間でそれを体験できるし、リセットボタンもあるから、現実と虚構を峻別する訓練もできるという意味で別レイヤーの豊かな体験の意味があると思います。人生と直結していないのがむしろ強みだと。

Q.梅沢和木という作家を構成する上で、やはりゲームは切り離せないみたいですね。

梅沢:切り離せないですね。やっぱりゲームは、映像体験として凄く優れているものだと思うんです。例えば、映画にしてもその世界に2時間は浸れるわけですが、ゲームの場合は50時間とか平気でいってしまうわけで、ちょっとした人生の追体験ができますからね。

Q.ところで、「ビーマニ」はこれからも上達を目指してやっていくのですか?

梅沢:もちろんそうですね。プロフィールに「皆伝」(十段の上位)と書けないのがイタいんですよ(笑)。そういえば、ゲームを始めた頃は極端な考え方をしていて、本当にゲームが上達したければ、それだけを永遠にやり続けていればいいと思っていたんです。でも、だんだん実はそうじゃないんじゃないかということに気付き始めて。例えば、「力を抜く」ということが、別の人生経験から参照されて、ゲームプレイに反映されたりする。ある人生経験を経ることで、ゲームへの理解が深まったりもするんです。当たり前のことですが、色んなことをやっていた方が、人生は豊かだということですよね(笑)。<インタビュー終わり>

インフォメーション

梅沢さんも参加する六本木ヒルズ・森美術館10周年記念展「LOVE展」が4月26日〜9月1日まで森美術館で開催中。

もっと知りたい人は…

  • 1048 

    1048

    ゲームプレイヤー

    1985年生まれ。埼玉出身。早稲田大学第一文学部美術史学科卒業。原宿のファッションビル管理を3年間勤めた後、起業。 WAKKA Inc.取締役。主なゲームタイトルや実績に、Beatmania IIDX 第1回トップランカー決定戦準優勝、SOUND VOLTEX KONAMI Arcade Championship 2012 関東2位、 Power Smash 3 世界ランク1位、GROOVE COASTER 世界ランク2位などがある。

  • 梅沢和木 

    梅沢和木

    美術作家

    1985年生まれ。美術家。ネット上の画像を集め再構築し、アナログとデジタル、現実と虚構の境目を探る作品を制作し発表している。2013年に『LOVE展:アートにみる愛のかたち―シャガールから草間彌生、初音ミクまで』(森美術館)などの展示に参加。2013年に個展『エクストリームAR画像コア』(DIESEL ART GALLERY)を開催。CASHIおよびカオス*ラウンジに所属。beatmania IIDX tricoroSP段位皆伝(1467-5211)。