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青山裕企

写真家

青山庸子

会社員

スクールガール・コンプレックス』『ソラリーマン』をはじめとする写真集や、今をときめくアイドルたちのポートレート撮影などを手がけ、さらに最近ではエッセイなどの執筆活動も積極的に行うなど、いま最も話題を集めている写真家のひとり、青山裕企さん。そんな彼が、今回インタビューをする相手は、なんとご自身の奥さまです! 先日出版されたばかりの新著『<彼女>の撮り方』でも奥さまにまつわるエピソードを披露している青山さんが、付き合ってからわずか半年で結婚を決めたという”いちょこさん”こと庸子さんに聞きたいこととは?

5. なんで社交ダンスを薦めるのですか?

青山庸子 

カメラを通さない人との関わり方にもチャレンジしてほしかったからなの。ここ数年で写真家として評価されるようになったけど、それを極める前に、一度自分の武器を捨ててみるのもいいんじゃないかと思ったの。

Q.僕が女子高生を撮っていても別に嫉妬しないというさっきの話と同じように、いちょこさんが趣味でやっている社交ダンスで、僕より背が高くてカッコ良い男の人と踊っていても、別にイライラしたりしないんだよね。いちょこさんに薦められて自分でやるようになっても、異性とこれだけ密着しているのにドキドキしたりすることはなくて、それが不思議だなって。

庸子:私がなぜ社交ダンスを脅迫のようにずっと薦めていたかというと、先々の人生のことを考えた時に、カメラを通さない人との関わり方にもチャレンジしてほしかったからなのね。ここ数年で写真家として急激に売れ始めて、文章を書くことや、人前で話すことも評価されるようになったけど、それを極める前に、一度自分の武器を捨ててみるのもいいんじゃないかと思ったの。それによってこの人はまた変われるんじゃないかなって。人間はどんどん意固地になっていくものだから、やってみようと思えるタイミングはこれからどんどん減っていくだろうし、カメラにも言葉にも頼らない方法を見出してほしかった。

青山裕企「スクールガール・コンプレックス」

Q.たしかに社交ダンスをやってみて、カメラを外した無防備な状態で異性と接することを続けていったら、自分の写真にも変化が起きそうな気はした。例えば、僕は女子高生を撮る時、目は合わさずに後ろからの視点でこっそり撮っているんだよね。だから、下着が透けていたり、うなじが見えていたりするカットが多いんだけど、社交ダンスなんてそれこそ女性の背中、というか下着のホックの辺りを支えたりするもんだから、距離感の詰め方が僕にとっては異常なんだよね(笑)。

庸子:裕企はどうしても頭が理系だから、物事を理屈で考えていくところがあるけど、社交ダンスのように、相手のことを感じ取って動いていくという共同作業も必要だなって。あまり女性との距離を固定化してほしくなかったんだよね。柔軟に色んなものをキャッチする感覚は常に持っていないとね。

青山裕企「スクールガール・コンプレックス」 青山裕企「ソラリーマン」

Q.人はひとつ成功をすると、それに固執し始めるからね。これまでに築き上げてきたものを捨てようとは思わないけど、人に言われたことには耳を傾けようと最近スゴく思っていて。こうしてふたりで暮らすようになってお互いに支え合うようになったけど、いまはまだこれまでひとりでいた時に築いてきたものの蓄積で写真を撮っていると思うんだよね。でも、これから5年、10年と経ってきた時に、結婚してからのことをイメージしながら撮ることも出てくるだろうし、ひとりだった頃のイメージの貯金がなくなってくると思う。だから、夫婦関係にしてもそうだけど、相手から言われたことを理屈をつけて断るんじゃなくて、理屈を超えてやってみようと思っているし、人に委ねていくということを積極的にしていきたくなってるんだよね。

庸子:いままでは女性だけじゃなくて、人間全般に不信感があったんじゃない? それこそ家族に対してもどこかでそういうところがあったのかも。だから、自分がやっていかなきゃってスタンスだったんだと思うけど、それが少しずつ解除されてきて、人に任せてもいいかなってところにシフトしてきたのかも。

Q.…そうかもしれないね。他の人はとっくにやっていたことが、僕には圧倒的に欠けていたのかもしれない。だからこそ撮れた作品もあると思うけど、やっぱり欠けているものは欠けているものだからね。スゴい本質を突いてきたね。女性女性って言っていただけで、実は人間不信だったのかもしれない…。

庸子:どこかで武装していたんだと思うよ。

Q.なんか諭しに入ってきましたね。こっちがインタビューする側なのに。…って、そうやって武装してるんだな…。なんか僕がイタい感じになってきたから、この辺で終わりにしようか(笑)。<インタビュー終わり>

インフォメーション

青山裕企さんの最新エッセイ『<彼女>の撮り方』がミシマ社より、写真集『跳ばずにいられないっ! ソラリーマン ジャパン・ツアー』が徳間書店より発売中。

もっと知りたい人は…

  • 青山裕企 

    青山裕企

    写真家

    1978年愛知県生まれ。2005年筑波大学人間学類心理学専攻卒業。2007年キヤノン写真新世紀優秀賞受賞。東京都在住。サラリーマンや女子高校生など“日本社会における記号的な存在”をモチーフにしながら、自分自身の思春期観や父親像などを反映させた作品を制作している。近刊に『ガールズフォトの撮り方』(誠文堂新光社)、『僕は写真の楽しさを全力で伝えたい!』(星海社新書)など。

  • 青山庸子 

    青山庸子

    会社員

    1983年東京生まれ。2003年度同志社大学文学部美学及芸術学専攻。2005年早稲田大学第二文学部表現・芸術系専修卒業。東京都在住。学生時代は演劇におけるアートマネジメントを学び、学外では演劇の制作スタッフとしてプロ事務所アシスタントバイトを体験。広い視点から演劇の在り方を見るべく、知り合いのエステサロンへ就職。寿退社後は大手企業の一般事務経験を経て、現在のノベルティグッズ製作等を手がける企画営業職へ落ち着く。