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ファンタジスタ歌磨呂

アートディレクター
イラストレーター

稲葉貢一

「トイズファクトリー」代表取締役社長

日本産ポップカルチャーの影響を感じさせる高密度でカラフルなイラストレーションで、音楽関連のデザインやアニメーション、空間演出、テキスタイルデザインなどを手がけるファンタジスタ歌磨呂さん。そんな各界から引っ張りだこ状態の人気クリエイターがインタビュー相手に選んだのは、Mr.Childrenゆず、その他大勢のアーティストを世に送り出したエンターテインメント業界きっての目利きとして知られる「トイズファクトリー」の代表取締役社長・稲葉貢一さん。ゆずのCDジャケットやミュージックビデオなどで仕事を共にするビジネスパートナーであり、人生の大先輩であるという稲葉社長に、歌磨呂さんが聞きたいこととは?

3. コミュニケーションで大切なことは何ですか?

稲葉貢一 

やっぱり一番良いのは、直接話をすること。自分で責任を持って頼みたいし、全部をお任せするんじゃなくて、最終地点を最高のものにするために、キャッチボールしていきたいんです。

Q.例えば、僕は作品を作る時に、ある程度勝ち戦をイメージしてクリエイティブに臨んでいます。それを前面に出してしまうと、それはまた別の人格を持ってしまうけれどあくまで冷静に、自分が持っている武器を見据え、この場合は、こういう見せ方をしたら人はこう感じるだろう、どう見せるべきだろうか、というある種のロジックを組み立ててもの作りをしています。稲葉さんは、ヒットさせるためのロジックのようなものは持っていますか?

稲葉:ロジックとは考えていないけど、例えば楽曲ひとつとっても、メロディ、歌詞、サウンドそれぞれにたくさんポイントは持っていますね。それを全部含めて自分の目で見た時に、感覚的に良いと思えるものをやっている感じです。だから、何かをやる時は、なぜこれをやるのか、どこが良いのかということは細かく説明できますね。

Q.これが良いと思ってやっても、時にはうまくいかない場合もあるわけですよね?

稲葉:うまくいかない時は、相手との距離感というのが大きいですね。実際、アーティストとダイレクトにやり取りができなくて、間に何人か入ってしまうことで、思ったイメージに落とし込めないということはあります。やっぱり一番良いのは、直接話をすることなんですよ。作品を完璧にするというのは難しいことかもしれないけれど、相手と直接やり取り出来れば、でき得るベストの状態には持っていける。例で言うと、Mr.Childrenのアートワークをコンテンポラリープロダクション信藤三雄さんにやってもらいたくて、自分で連絡先を調べて電話をして直接お願いしました。自分の想い、温度感を伝えることは大切だと思っています。そういうことを社員にやらせたり、代理店にコーディネートしてもらうばかりなのではなく、自分で行動して直接お話しないと、相手に想いは伝えられない。常にそういう気持ちを大切にしています。

(左)ゆず「REASON」(2013/セーニャ・アンド・カンパニー)、(右)livetune「TRANSFER」(2012/トイズファクトリー)

Q.先日、5月にリリースされるゆずの最新アルバム「LAND」で村上隆さんと仕事をした時も、そのことを稲葉さんから学びました。

稲葉:ゆずのCDジャケットのアートワークを村上隆さんにお願いした時、アートワークの内容については、なかなか言えない領域もあると思うんですけど、あえて感じたことを素直に言おう!みたいなところもある。そういうことは大事だと思うんですよ。僕らは僕らなりのPOPを失わないやり方でやっていきたいし、作品としても素晴らしいものを一緒に作りたい。だからこそ、メールとかで間接的に伝えることだけではなく、直接会いに行って、現場の空気やムードを感じながら話すことが大切だと思うんですよね。最終的には感情のやり取りになってくるんだと思います。そのためにも、自分で責任を持ってお願いしたいですし、全部をお任せするのではなくて、最終地点を最高のものにするために、キャッチボールをしていきたいんです。自分は、『人対人で仕事をしている』という感覚が強くてですね、『稲葉さんと仕事をして良かった』と言われるようなことをやっていきたいと思っています。それから、トイズファクトリーというレーベルは、自分の評価は自分ではなく、人がしていくんだということを大切にしていきたいし、僕たちの仕事はレコード会社+マネジメント。アーティストと共にエンターテイメントを創造していく、そういうものがはじめからあるんですよね。<続く>

もっと知りたい人は…

  • ファンタジスタ歌磨呂 

    ファンタジスタ歌磨呂

    アートディレクター
    イラストレーター

    1979年生まれ。フリーランスを経て、2012年7月株式会社コトブキサン設立。アートディレクション、イラストレーション、テキスタイルデザイン、グラフィックデザイン、アニメーションディレクションが主な活動範囲。POPで彩度高めの世界観が特徴。

  • 稲葉貢一 

    稲葉貢一

    「トイズファクトリー」代表取締役社長

    株式会社トイズファクトリー代表取締役社長兼A&Rチーフクリエイティブディレクター。1959年神奈川県生まれ。81年、株式会社バップに設立メンバーとして入社。88年にトイズファクトリーレーベルを設立し、90年に会社として独立。これまでにMr.Childrenやゆずをはじめ、数々のアーティストを発掘している。