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ファンタジスタ歌磨呂

アートディレクター
イラストレーター

稲葉貢一

「トイズファクトリー」代表取締役社長

日本産ポップカルチャーの影響を感じさせる高密度でカラフルなイラストレーションで、音楽関連のデザインやアニメーション、空間演出、テキスタイルデザインなどを手がけるファンタジスタ歌磨呂さん。そんな各界から引っ張りだこ状態の人気クリエイターがインタビュー相手に選んだのは、Mr.Childrenゆず、その他大勢のアーティストを世に送り出したエンターテインメント業界きっての目利きとして知られる「トイズファクトリー」の代表取締役社長・稲葉貢一さん。ゆずのCDジャケットやミュージックビデオなどで仕事を共にするビジネスパートナーであり、人生の大先輩であるという稲葉社長に、歌磨呂さんが聞きたいこととは?

2. その嗅覚はどうやって養われたのですか?

稲葉貢一 

もともと興味の振り幅が広くて、売れているものも売れてないものも同じように見ています。後になって考えてみると、僕はブレイク寸前に良いと思う特徴もあるみたいです(笑)。

Q.稲葉さんのように好奇心と優れた目を持ち、良いと思ったらすぐに行動できる人というのはあまりいないですよね。

稲葉:私はもともと興味の振り幅が広くて、高級レストランも「きたなシュラン」に出てくるようなお店も区別しないし、音楽に関しても、売れている曲も売れてない曲も同じように見ています。あと、歌麿呂くんと同じで、物事を客観的に見ているところがありますね。アーティストと一緒にいて、彼らがどう思い悩んでこの作品を作ったか? というプロセスを全部体感しているスタッフ側の自分と、それをパッと完全に切り離して、その作品やライブを初体験した時にどう感じるか? というオーディエンス側の自分、そんなふたつの視点を大切にしています。前者だけになってしまっては作品として不十分な場合もあるし、後者の目から意見するのも難しいところではあるけれど、アーティストの未来を考えると、話すべきなんじゃないかと思っています。アーティストにとっては『やり切る』ということが大事だけど、私はあくまでもスタッフなので、それが世の中でどう見えるのかをしっかり判断することが大事なところなのかなと思って行動していますね。

Q.稲葉さんはこれまでに色んなアーティストを発掘してきましたが、例えばMr.Childrenの時はどういう流れだったんですか?

稲葉:最初に見た時に良いと感じたんですけど、その時はすぐ連絡を取って何かやろうとは思わなかった。でも、ずっと記憶には残っていて、半年くらい経ってから改めて桜井(和寿)くんに連絡をして、ライブを見に行ったんです。当時はまだインディーズで、ライブのお客さんも50人程度だったけど、凄く良いなと。その時に自分の中でチャンネルが合った感じでしたね。

Q.アーティストを見て、最初に良いと思う瞬間というのは、あくまでも感覚なんですか?

稲葉:そうですね。後になって考えてみると、私はブレイク寸前に良いと思う特徴があるみたいです(笑)。世の中が盛り上がって来る時に何かのきっかけでそれを知って、良いなと思うから、ちょうど良い気づき方なのかもしれない。私が声をかけてブレイクした事例もちょっとはあるし、福の神的なところがあるみたいで、そういうのはうれしいですね。

2011年にTSUTAYA TOKYO ROPPONGIで開催された「最前ゼロゼロ」プロデュースによるMIKIOSAKABEのファッションショー。稲葉社長が初めて見た歌磨呂さんのプロジェクトだそうです。 Photo:Takashi Kawashima

Q.そういう嗅覚はどこから来ているんですかね?

稲葉:それこそ歌磨呂くんと接することで教えてもらったものもたくさんあるし、そういうものすべてが積み重なって、自分の実になっているんだと思います。もうひとつあるとしたら、私は何でも売れているものを良いと思って好意的に見ることができるんですよ。そういうことが、自分みたいに50代になってきた時には凄く大事なんじゃないかなと。プロとして経験を重ねていくと、新しく出てきたものを否定する傾向が強くなるけど、そういう目で見ていると認めることができなくなるし、自分の身体にも入ってこない。それは致命的だと思っています。どんなものでも好意的に見ると良いところが見つかるし、それと同時にここはイマイチだなというところも見えてくるんです。<続く>

もっと知りたい人は…

  • ファンタジスタ歌磨呂 

    ファンタジスタ歌磨呂

    アートディレクター
    イラストレーター

    1979年生まれ。フリーランスを経て、2012年7月株式会社コトブキサン設立。アートディレクション、イラストレーション、テキスタイルデザイン、グラフィックデザイン、アニメーションディレクションが主な活動範囲。POPで彩度高めの世界観が特徴。

  • 稲葉貢一 

    稲葉貢一

    「トイズファクトリー」代表取締役社長

    株式会社トイズファクトリー代表取締役社長兼A&Rチーフクリエイティブディレクター。1959年神奈川県生まれ。81年、株式会社バップに設立メンバーとして入社。88年にトイズファクトリーレーベルを設立し、90年に会社として独立。これまでにMr.Childrenやゆずをはじめ、数々のアーティストを発掘している。