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梅沢和木

美術作家

泥犬

アニメーション作家
劇団イヌカレー

カンバセーションズにはインタビュアーとして2度目の登場となる現代美術作家の梅沢和木さん。その梅沢さんが今回インタビュー相手として選んだのは、『魔法少女まどか☆マギカ』における異空間設計をはじめ、『ニセコイ』『偽物語』『うさぎドロップ』など数々の作品に関わってきたアニメーション作家ユニット「劇団イヌカレー」の泥犬さん。メディアやアプローチこそ違えど、同じコラージュという手法を用いて独自の世界観を構築してきた泥犬さんに、アニメーションの世界にも精通する梅ラボさんが迫った貴重なインタビューをお届けします。

4. 鑑賞者のことは意識しますか?

泥犬 

どんな感想を持たれるかは別として、どこにオチをつけるかは意識しています。狙い通りにならなくて構わないのですが、テーマパーク的な要素はあった方がいいと考えています。

Q.もし泥犬さんが、5分なり10分なりの映像作品を完全に自由につくるとしたら、これまでとは違うものになりそうですか?

泥犬:そうだと思いますが、そのなかでも起承転結があるようなものをつくる気はします。アート・アニメーションなどには起承転結がない作品も多いですし、それはそれで面白いのですが、そういった系統の映像作品に興味がない人にとっては見やすい形態だとは思わないので、最低限ちょっとだけでも物語を含んだような映像を考えると思います。音楽などにしても、コアなファンほどタイトルや主題がないようなものを好む傾向がありますが、わかりやすさという点では、旋律や展開があるようなものの方が入りやすいですよね。アート系の作品をつくるにしても、そこにアートだけがある状態にしないといけないわけではないですし、何かに付随してアートの要素もあるくらいの方が、個人的には好きです。カルト的であっては良くても、敷居は低くしたいです。

梅沢和木「グラシャラヴォス」 梅沢和木「カオスをほろぼすもの」

Q.その辺は僕も非常に考えているところです。僕の場合は、いわゆる現代アートと言われるような作品をつくって発表していますが、アートの世界にも鑑賞者のことをどれだけ考えるかというところにはそれぞれ差があります。その中で自分はどちらかと言うと見る人のことを意識していて、カラフルな色やキャラクターを使っているというのもひとつのフックにしているつもりではあります。一方で、一見本当に黒いだけの抽象画なんかを自分がやってみたらどうなるんだろうとも考えます。

泥犬:ありがたいことに最近はテレビなどで放映されるものをつくっていることも多いのですが、お茶の間のお客様とは全く接点がないですから、生きている人間が見てくれているという実感があまりありません。未だに視聴者とは架空の生物なんじゃないかとも疑っています。そういう意味では、一方通行なものをつくっている感覚というのが凄くあるので、いざ何かを展示をするということになったとしても、やり方が全然わからいないというのはあります。

Q.でも、以前に見た「まどマギ」の原画展では、劇団イヌカレーのブースにたくさんの人が集まっていましたよ。商業アニメをベースにやっている泥犬さんは、いま僕なんかが話したような鑑賞者への意識というものよりもはるかに高いレベルで、見る人を楽しませようとする意識があるのだと思います。

泥犬:そうでもないですが、芸人気質なところがある気はします。どんな感想を持たれるかは別として、どこにオチをつけるかというのは意識しています。それは別にふざけて笑わせるということではなくて、変な気持ちなら変な気持ち、嫌な気持ちなら嫌な気持ちになって帰ってもらいたい。狙い通りにならないことは全然構わないのですが、何かしらテーマパーク的な要素があった方がいいと考えています。ただ、それが商業的な理由からだと思われても良くないし、例えば、パンクやロックミュージシャンが分かりやすく客に媚び過ぎて、それが期待はずれと取られる場合があるような感じでしょうか。でも、そうは言っても、意表を突くレベルを越えて誰も喜ばないことをするのもどうなのかなとか。難しいですね。いまは人から頼まれてつくることが多いので、その時点で自分だけの話ではないから何とも言えませんが。<続く>

インフォメーション

劇団イヌカレーによる漫画「ポメロメコ」が隔月刊『Nemuki+』にて連載中。6月には、劇団イヌカレー「イメージノート2」が別巻で同梱された『「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語」 PRODUCTION NOTE』が発売。
3月28日から4月20日までビリケンギャラリーで開催される『セーラー服コンプレックス 3』展に梅沢さんが新作を出品予定。また、5月10日から25日まで、森ビル内ROPPONGI HILLS A/D GALLERYにて、梅沢さんが所属するカオス*ラウンジが新作を発表予定。6月から7月末にかけては、ニューヨーク・Friedman Benda Galleryにて、『Duality of Existence – Post Fukushima』を開催予定。

もっと知りたい人は…

  • 梅沢和木 

    梅沢和木

    美術作家

    1985年生まれ。美術家。ネット上の画像を集め再構築し、アナログとデジタル、現実と虚構の境目を探る作品を制作し発表している。2013年に『LOVE展:アートにみる愛のかたち―シャガールから草間彌生、初音ミクまで』(森美術館)などの展示に参加。2013年に個展『エクストリームAR画像コア』(DIESEL ART GALLERY)を開催。CASHIおよびカオス*ラウンジに所属。beatmania IIDX tricoroSP段位皆伝(1467-5211)。

  • 泥犬 

    泥犬

    アニメーション作家
    劇団イヌカレー

    日本犬初のアニメーション作家(雑種)。『魔法少女まどか☆マギカ』の異空間設計や、TVアニメのオープニング、エンディング映像などを手がける他、イラスト等の仕事も行う。好きな鳩は土鳩。