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梅沢和木

美術作家

泥犬

アニメーション作家
劇団イヌカレー

カンバセーションズにはインタビュアーとして2度目の登場となる現代美術作家の梅沢和木さん。その梅沢さんが今回インタビュー相手として選んだのは、『魔法少女まどか☆マギカ』における異空間設計をはじめ、『ニセコイ』『偽物語』『うさぎドロップ』など数々の作品に関わってきたアニメーション作家ユニット「劇団イヌカレー」の泥犬さん。メディアやアプローチこそ違えど、同じコラージュという手法を用いて独自の世界観を構築してきた泥犬さんに、アニメーションの世界にも精通する梅ラボさんが迫った貴重なインタビューをお届けします。

2. コラージュの魅力は何ですか?

泥犬 

どんどん要素を盛ったり、ゾンビ的に分裂・増殖させていくような考え方で感覚的につくっていくところがあるので、コラージュという手法の方がより都合が良いということがあります。

Q..僕は、主にデジタル・コラージュで作品をつくっているのですが、例えば自分が好きなアニメのキャラクターの中でも特に萌えや強度を感じるパーツがあって、その好きな部分だけを増殖させたり、再構成していくことでしか生まれ得ないイメージを作っています。泥犬さんはなぜコラージュで作品を制作しているのですか?

泥犬:梅ラボさんがおっしゃるように、自分の好きな部分だけを持ってこれるというのはコラージュの良いところだと思います。例えば、「目」がたくさんあったら単純に楽しいですし、何かがバラバラになって増殖したり、勝手に動いていた方が本能的な感情にも似て面白いし、不安や喪失感を出すのにも便利だと思っています。自分たちの制作過程においても、どんどん要素を盛ったり、ゾンビ的に分裂・増殖させていくような考え方で感覚的につくっていくところがあるので、コラージュという手法の方がより都合が良いということもあります。

Q.劇団イヌカレーの作品は、商業アニメーションよりは、例えばルネ・ラルーユーリ・ノルシュテインなどに見られるようなアート・アニメーションの質感や世界感に近いものを感じます。実際にそういう表現や、その界隈のつくり手を意識することはありますか?

泥犬:アート・アニメーション関連のイベントに行って、普通に楽しんで帰ってくることはありますが、実際につくっている方たちと交流があるわけではないですし、そちらの世界を意識するほどの技術もなく、体系的に芸術を意識できるほどの知識量もありません。自分たちの作品は、庭で育てた手づくり野菜のようなもので、基本的には自宅でがんばればできる程度のことをやっています。普通の人が家電量販店で買えるカメラを使ったり、百円ショップで買ってきたものを組み立てたりしてコツコツ撮影しているので、たまにNHKで『ニャッキ!』などの撮影現場の映像を見ると、こうやって撮っているんだと勉強になることも多いです。とはいっても、設備的にかなり次元が違いますが。

Blu-ray『魔法少女まどか☆マギカ 1』(2011/アニプレックス)

Q.「まどマギ」を見て、いままでに見たことのないアニメーションだと感じる人も少なくないと思うんですね。コラージュという手法自体はシンプルなものですが、一般的な商業アニメの描線に慣れている人にとっては、かなり異質のものに見える。こういうのってもっと起きるべきだと思います。本来アニメーションは何をやっても良い表現なのに、手法がほとんど決まってしまっている現状が不思議に感じます。

泥犬:商業作品にも、アート・アニメーションのような質感や、個人的な表現を感じさせるものが入ってくることで、多少なりとも引っかかりや親しみが生まれればという思いはあります。たとえば、ピクサージブリがつくる凄くクオリティの高いアニメを見て、自分もこうなりたいと考えられるくらい本気の人はそこまで多くない気がしますが、ちょっと絵を描いてみたいという人たちがイヌカレーでつくった映像部分を見て、これなら自分も好きなものを切り貼りしたり、絵具でベタベタ塗れるかもと思ってくれたら良いです。一般的なアニメ表現に必要不可欠なきれいな線を引く技術よりも敷居は低いんじゃないかと思います。<続く>

インフォメーション

劇団イヌカレーによる漫画「ポメロメコ」が隔月刊『Nemuki+』にて連載中。6月には、劇団イヌカレー「イメージノート2」が別巻で同梱された『「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語」 PRODUCTION NOTE』が発売。
3月28日から4月20日までビリケンギャラリーで開催される『セーラー服コンプレックス 3』展に梅沢さんが新作を出品予定。また、5月10日から25日まで、森ビル内ROPPONGI HILLS A/D GALLERYにて、梅沢さんが所属するカオス*ラウンジが新作を発表予定。6月から7月末にかけては、ニューヨーク・Friedman Benda Galleryにて、『Duality of Existence – Post Fukushima』を開催予定。

もっと知りたい人は…

  • 梅沢和木 

    梅沢和木

    美術作家

    1985年生まれ。美術家。ネット上の画像を集め再構築し、アナログとデジタル、現実と虚構の境目を探る作品を制作し発表している。2013年に『LOVE展:アートにみる愛のかたち―シャガールから草間彌生、初音ミクまで』(森美術館)などの展示に参加。2013年に個展『エクストリームAR画像コア』(DIESEL ART GALLERY)を開催。CASHIおよびカオス*ラウンジに所属。beatmania IIDX tricoroSP段位皆伝(1467-5211)。

  • 泥犬 

    泥犬

    アニメーション作家
    劇団イヌカレー

    日本犬初のアニメーション作家(雑種)。『魔法少女まどか☆マギカ』の異空間設計や、TVアニメのオープニング、エンディング映像などを手がける他、イラスト等の仕事も行う。好きな鳩は土鳩。