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杉浦裕樹

ヨコハマ経済新聞 編集長

稲吉 稔

美術家

インタビュアーを務めてくれる杉浦裕樹さんは、横浜臨海エリアを対象にさまざまなニュースを紹介するヨコハマ経済新聞の編集長。創造的な横浜のまちづくりを実践するNPO団体・横浜コミュニティデザイン・ラボのメンバーでもある杉浦さんがインタビューするのは、同団体の活動拠点であり、さまざまなイベントなども行っているシェアオフィス「さくらWORKS<関内>」のリノベーションを手がけた稲吉稔さん。横浜・若葉町にある元銀行の古ビルを改装したスペース「nitehi works」を活動拠点とし、アートワークリノベーションという独自のアプローチで横浜の街と関わっている稲吉さんに、杉浦さんが聞きたいこととは?

3. なぜ「隙」が魅力なのですか?

稲吉 稔 

もともと持っているものにさらに価値を上乗せしていくという感覚がこの街にはあるような気がしていて、その価値は「隙」があるからこそ生まれるものだと。

Q.もともとあるプロダクトのフォルムや場所が持っていた機能などを生かしつつ、そこに新たな価値を与えるということが稲吉さんの活動なんですね。

稲吉:「さくらワークス<関内>」などもそうですが、装飾などを重ねてデザインをしていくやり方とは違うアプローチなんだと思います。先日、かつて石川町駅近くにあったひらがな商店街というところにある駄菓子屋さんのオーナーにご相談を受けて、リノベーションの仕事をしたのですが、その時も設計図を作るという感じではなく、現場で考えながら進めていったんですね。こうした僕の仕事を言葉で表現するとしたら、「隙を作る」ということになるのかなと思っています。この横浜で生まれ育ってきて感じることは、横浜ならではの「隙」というものが街のひとつの魅力になっているということです。もともと持っているものにさらに価値を上乗せしていくという感覚がこの街にはあるような気がしていて、その価値は「隙」があるからこそ生まれるものだということを信じて活動をしているんです。

さくらワークス<関内> さくらワークス<関内>

Q.すでにある建物や歴史などを素材にして、それらを組み合わせていくような感覚なのかもしれないですね。

稲吉:そうですね。僕の場合は、現場で色々なモノを発見し、それを何に切り替えると価値が生まれるのかということを、アートワークリノベーションという形を通して実践しています。そこで生まれる価値というのは人によって違うものだと思うのですが、その人なりの価値を見つけていくという作業を、自分が住んでいる場所、働いているところで実践していくというのは大事なことなのかなと。それは決められた時間に決められたことをやるという作業とは根本的に違うもので、そういう意味でも「隙」というのがポイントになっているのかもしれません。

Q.横浜の関内外エリアというのは、ペリーによって開港される前まではほとんど人がいなかった場所ですよね。でも、そこからの150年の歴史というのは色んな形で街に残っています。歴史的建造物はもちろんですが、それ以外でも色んなモノやコトがスタートした横浜には何かの始まりの記念碑なんかもそこら中にある。そうした横浜という土地に長く関わってきた稲吉さんは、この先の街のことをどのように考えていますか?

稲吉:伝統をつないでいくという話にも近いと思うのですが、一つひとつの歴史やエピソードが次につながっていくなかで価値が上乗せされていくようなところが横浜の面白いところですよね。ここ最近、シェアやネットワークというものがキーワードになっていますが、これらが次に進むための課題として、ひとつに連なっていくということが大切になってくると思うんですね。もともとそこにあったものが、何かのスイッチが入った時に動き出し、そこから勝手にコミュニケーションが始まっていくという状況が、次のステージにつながっていくんじゃないかなと。

インフォメーション

11月23日にnitehi worksにて、イベント「今、ドクメンタ9(伝説の国際美術展)を観る」(解説: 副島輝人)が開催予定。詳細はこちらから。

もっと知りたい人は…

  • 杉浦裕樹 

    杉浦裕樹

    ヨコハマ経済新聞 編集長

    舞台監督として国内外で音楽・ダンス等の現場制作を経験後、2003年にまちづくりや地域情報化を実践するNPO法人「横浜コミュニティデザイン・ラボ」を設立。ヨコハマ経済新聞、港北経済新聞などのWebメディアを運営するほか、学びと対話を軸にした連携・共創の場づくりや、テレワーク事業の推進、オープンデータの利活用の推進等に取り組んでいる。同NPOが運営するアートリノベーションを施したシェアオフィス「さくらWORKS<関内>」内で、8月から市民包摂型ものづくり工房「ファブラボ関内」の運営を開始した。

  • 稲吉 稔 

    稲吉 稔

    美術家

    スペース名であり活動名である「似て非works」は、日常の中で見過ごされている「そこにしかない”気付き”」を活動の軸とし、消費とは対照的な位置からものを考えて、”価値をみつけ”日常に定着させようとする試み。nitehi worksにより、アートワークでアップサイクルした元銀行の古ビルは、領域を超えた活動の場であり、化学反応を生む交流の場になっている。