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大川哲郎

大川印刷 代表

椎野秀聰

椎野正兵衛商店 代表

インタビュアーを担当する大川哲郎さんは、1881年に横浜で創業した大川印刷の代表取締役社長。NPO、NGOと協働しながら、市民参加のワ ークショップでファシリテーターを数多く務めるなど、地元のための活動にも積極的な大川さんがインタビューするのは、椎野正兵衛商店の椎野秀聰さんです。世界的音楽機材メーカー・ベスタクスを創業するなど数々の事業を成功させ、現在は、江戸末期開港当時から絹ビジネスを展開し、世界的な評価を獲得した曽祖父・椎野正兵衛氏の意思を引き継ぎ、絹製品ブランド「S.SHOBEY」の製造販売を行っている椎野さんが、横浜の街やもの作りの真髄について語ってくれました。

4. もの作りには何が大切ですか?

椎野秀聰 

情熱、正義、勇気を持って作ったものは必ず残るし、それを続ければ世界でも認めてもらえる人になれると思います。

Q.先日、NPO団体を通じて、東日本大震災の津波で倒壊したお寺の柱が瓦礫処分されてしまう前に、なんとか有効活用できないかという相談を受けたんですね。もともと私は廃材がギターになることを知っていたので、椎野さんに相談をして4本のギターを作ったんです。そのうちの1本をお寺に奉納するということで、椎野さんのおかげで出来上がったギターを南三陸に持っていったんですが、合同供養の際に演奏をしたら檀家さんが涙を流して聴いてくれたんですよね。椎野さんはこれまでにさまざまなもの作りをされてきていますが、その中でも思い出に残っているものがあれば教えて頂けますか?

椎野:もともと音楽が好きで、楽器、電子楽器関連だけでも世界で80ブランドくらいやってきましたが、やはりギターは思い出に残っていますし、衝撃的だったのはDJ機器なんじゃないですかね。80年代頃からミュージシャンが売れるものばかり作るようになって音楽がつまらなくなった時に、彼らに焼きを入れてやろうと思ったんですよ。人が作った音楽を借りてきてつなげるなんてことをやったら、ミュージシャンのヤツらが困るだろうなと。そうしたらそれが流行っちゃったんですね。別に成功しようと思って作ったわけじゃなくて、くだらない音楽に飽きていたんですよね。きっとみんなも同じだったんでしょうね。どんどん新しいツールを作ってあげないと新しい音楽は生まれてこないと思うし、私は新しいものを見たいんです。

オリジナルギターを手にしているアル・マッケイとジョニー・グラハムは椎野さんとも親交が深いアース・ウインド・アンド・ファイヤー結成時のメンバー。

Q.これまでの数々のお仕事のなかで失敗されたこともあったかと思いますが、そういう時にはどんな思考や行動で乗り越えてきたのですか?

椎野:別にカッコ良いことは何もないです。何事にも壁というのは必ず現れて、それに向かって何とかしようとしていれば、いつのまにか扉は開くんです。だからコツコツとでも何かをやっていないとダメなんですよ。なにかをやっていればなんとかなるし、基本的にはその勇気があるかどうかということなんだと思いますね。

Q.最後に、会場に来ている若いクリエイターたちに向けて伝えたいメッセージなどがあればお願いします。

椎野:みなさんには大きな可能性があると思います。私たちの時代は、なにかをやろうとすると、巨大な組織や企業と競争をしないといけなかったけど、いまは大企業が何を作ればいいかわからなっているから、戦う必要がないんです。また、あなた方は生まれながらにして外国の文化を見て、食べて、触れてきたインターナショナルな時代を生きていて、それは有利な点だと思います。私たちの時代は自分が作ったものをわざわざ海外に行って売り込まなくてはいけなかったけど、いまはネットもあるし、今日作ったものが明日にはみんなに知られているなんてこともある。そういう意味では凄く可能性があるけど、ただ売れるものを作っていてもいずれ売れなくなるし、売れるためのデザインというのは、しばらくすると野暮ったくなる。じゃあ売れないものを作るのかというと、そういうことでもない。一生懸命作ったものは必ず何かになるんです。骨董品などを見ていても、一生懸命作ったものには、人の血と汗と涙が見えてくるじゃないですか。情熱、誠意、勇気を持って作ったものは必ず残るし、それを続ければ世界でも認めてもらえる人になれると思います。そこにお金は要らないんです。<インタビュー終わり>

もっと知りたい人は…

  • 大川哲郎 

    大川哲郎

    大川印刷 代表

    東海大学法学部法律学科卒。1993年株式会社大川印刷入社。2005年代表取締役社長に就任。2001年社会起業家との出会いから、「印刷を通じて社会を変える」視点に気付き、2004年「本業を通じて社会的課題解決に取り組む『ソーシャルプリンティングカンパニー』」と言うビジョンを掲げる。現在、食物アレルギーや宗教上の理由で食材を自由に選べない人たち、一般の人たちにも分かりやすい、ピクトグラム(絵文字)の活用を推進していく「食材ピクトグラム」の他、複数の社会的課題解決プロジェクトを各種NPOと協働し推進。NPO、NGOとの協働の経験から市民参加のワ ークショップなどでファシリテーターを数多く務める。

  • 椎野秀聰 

    椎野秀聰

    椎野正兵衛商店 代表

    1947年生まれ。横浜育ち。ベスタクス株式会社社主。日本楽器製造(現ヤマハ)等を経て、77年、椎野楽器設計事務所を設立。日本初のギタープロショップ、ESP、PACOを創業し、アコースティックギター、エレクトリックギター、ベースギターの製造・販売に携わる。事業を発展させたVestaxでは、ギターを始めとする楽器のほか、アンプ、エフェクター、音響機器、録音機器、DJミキサー、ターンテーブルなどでミュージックシーンをリードする。その後、曽祖父である椎野正兵衛の足跡を調べ、その事業を再興しようと「椎野正兵衛商店」を設立、絹製品ブランド「S.SHOBEY」の製造販売に乗り出す。