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飯田将平

グラフィックデザイナー

渋谷信人

シェフ

小豆島でインタビュアーを担当してくれる飯田将平さんは、東京を拠点に活動するグラフィックデザイナー。フリーマガジン「NEWTRAL」や仮想ブックショップ「nomazon」など、グラフィックデザインの領域にとどまらず精力的に活動をしている彼は、瀬戸内国際芸術祭 2013 春会期に、小豆島・醤の郷+坂手港プロジェクトのクリエーター・イン・レジデンスで滞在制作をして以来、現在も小豆島に通い続けています。そんな飯田さんがインタビュー相手に選んだのは、2年前に小豆島に移住し、完全予約制のイタリアンレストラン「FURYU」を営んでいるオーナーシェフの渋谷信人さん。形は違えど、島外から小豆島に入り込み、島の人たちとの関係を築いてきたふたりの対話の行方はいかに?

2. 島での起業に不安はありませんでしたか?

渋谷信人 

リスクは大きかったですが、始める時は正直あまり考えていませんでした。それよりもこの環境でお店をやりたいという気持ちが優っていたんです。

Q.レジデンスを終えてからも小豆島に通いながら、自分が島に関わっていく可能性を考えているのですが、普段やっている仕事をそのまま持ち込むだけでは通用しないことがほとんどで、いまも試行錯誤をしています。ただただデザインをしても、島の人の手描き看板の味に勝てないんですよね(笑)。渋谷さんはそもそも飲食店が少なく、都市部とは環境の隔たりもある場所で飲食店をはじめることに不安はありませんでしたか?

渋谷:先ほどお話したように、一回お店を失敗しているし、なおかつ今度は自分がお金を出して始めるわけなので、当然リスクは大きいですよね。でも、始める時は正直そのことはあまり考えていませんでした。それよりもこの環境でお店をやりたいという気持ちが優っていたんです。目の前で大抵の食材は揃うし、12席程度のお店をひとりで回す分には、大きな利益は出ないかもしれないけど、家族を養うくらいはできるんじゃないかと。この場所でひとりでやるならこういうイメージでやりたいというのはあったので、そこから席数や客単価などを想定していった感じですね。

FURYUの店内。

Q.そういう意味ではやはりこの場所との出合いが大きかったんですね。小豆島は色んな場所を回りましたが、意外に建物の中からこれだけ海が見える場所は少ないですよね。国道から少し奥まっていることもあって、食事をしながら凄く特別な眺めだなと感じました。

渋谷:商工会議所などに行って相談をすると、みんなこの場所を知らなくて、そんな国道から離れたところでやらないで、役場の近辺などもっと人が歩いている所でやればいいじゃないかと言われたんです。でも、それだと東京や兵庫でやるのと変わらないし、自分が働く環境や家族が生活する場所を大切にしたいという思いもありました。今年2人目の子どもが生まれたのですが、移住してきた当時は教育のこととかはそこまで深く考えていなかったんです。でも、実際に来てみると凄く文化度が高いし、自分たちの子どもに「本物」を見せたいという思いで教育のことについて考えている人も多く、そういう意味でも恵まれていると感じますね。島に来た当初はがむしゃらにやっていましたが、色んなことが見えてくると、小豆島というのは凄く伸びしろがあるなと感じます。

Q.外から入ってきた人だからこそ見える伸びしろもありますよね。島の人には当たり前になっている魅力がまだまだたくさんあるように思います。FURYUさんで食事をした時にそれを強く実感しました。

渋谷:そうですね。小豆島というのは外食文化があまりなく、飲食店が少ないのですが、実はイタリアンをやるには凄くいい場所なんです。これだけオリーブがあるにも関わらず、島の人に「イタリア料理って何ですか?」と聞かれることがあるんです (笑)。でも、魚介類をゆでて、レモンを絞ってオリーブオイルをかけたら、もうそれでイタリア料理なんですよ。人に聞かずともすでに地で行っていますよと(笑)。逆にいままで (イタリアンレストランが)なかったというのが不思議なくらいです。小豆島はもともと醤油蔵などが栄えていて、いまも大きなお屋敷がたくさん残っていますが、以前はそこにお抱えの料理人なんかがいて、自分たちの所で作って食べていたから外食文化が発達しなかったのかもしれません。でも、いまは島の外に出ていた人たちがUターンしてくる流れがあって、これまでの小豆島になかった外のものが入ってきている。それは僕にとっても良い流れだったのかなと思います。

インフォメーション

9月14〜16日に名村造船所跡地で開催される「DESIGNEAST 04」の「SPEAKERS CORNER」に飯田将平さんが出演予定。小豆島での滞在などについてお話しされるそうです。

もっと知りたい人は…

  • 飯田将平 

    飯田将平

    グラフィックデザイナー

    1988年千葉県銚子市生まれ。海と町を行き来しながら、秋には副業で秋刀魚を焼くなどする。最近ではトラック売りの焼き芋屋に弟子入りするも、秋刀魚との旬のバッティングに選択を間違えたかもしれないと日々悶々としながらその訪れを待っている。展覧会や書籍のデザインから、雑誌『アイデア』での編集執筆など、編集とデザインの境界について考えながら働いている。

  • 渋谷信人 

    渋谷信人

    シェフ

    1976年山形県西川町生まれ。日大山形高等学校を卒業後、東北福祉大学に進学するも中退。その後、上京しアルバイトをしながら音楽の道を目指す。志半ばで飲食業に転向。しかし、飲食業の難しさに気づき、レストランに修行に入り、一から料理と経営を学ぶ。 東京・六本木(現在は西麻布)「キュイジーヌ ナチュール チャオベッラ」 、兵庫・西宮 「オステリア ジュリア」副料理長、兵庫・西宮 「ガストロノミア エ バール ジュリエッタ」 料理長を経て、 2011年8月香川・小豆島でオーナーシェフとしてリストランテ フリュウ オープン。