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家成俊勝

建築家

塩田幸雄

小豆島町長

瀬戸内国際芸術祭2013」の参加アーティストとして、小豆島「醤の郷+坂手港プロジェクト」において、誰もが「建てる」ことに参加できる建築プロジェクト「Umaki Camp」を展開している建築家の家成俊勝さん。大阪を拠点に活動する建築事務所dot architectsの共同主宰でもある彼が今回インタビュー相手に指名したのは、その「Umaki Camp」が建てられた敷地のオーナーであり、さらに小豆島町の町長でもある塩田幸雄さんです。長年中央省庁で働き、3年前に故郷である小豆島に戻り、「瀬戸内国際芸術祭2013」にも積極的に関わっている塩田町長に、家成さんがいま聞きたいこととは?

4. 小豆島にはどんな可能性がありますか?

塩田幸雄 

人口が減り、少子高齢化が進むなかでどういう社会を作っていくかということが課題だと思います。そして、実はその問題を先取りしているのが小豆島なんです。

Q.いま地域を盛り上げるための要素として「ツーリズム」というのが重要になってきていますよね。これには2種類あると思っていて、ひとつはディズニーランドなどのテーマパークや世界遺産などの有名観光地に訪れることを目的にしたもの、もうひとつはその土地の人や生活に触れ合うものです。今回僕が参加している「醤の郷+坂手港プロジェクト」では、「観光から関係へ」というフレーズを掲げていますが、この「Umaki Camp」に取り組む際に考えていたことも、地域の人たちとここを訪れる観光客がうまく交われる仕組みを作りたいということでした。

塩田:先日開催された小豆島の盆踊りに、高校生など若い人たちが凄くたくさん来ていたんですね。これはおそらく芸術祭の効果だと思っているのですが、例えばいま坂手港でクリエイター・イン・レジデンスをやっている「eiスタジオ」などに地元の若い人たちが行って刺激を受けたりしている。そういう面で今回の芸術祭が小豆島の若い人に元気を与えているのは間違いないし、おそらくこれは芸術祭をやっている他の島が到達していない域なんじゃないかとさえ思っています。1年前には何もなかったところに、今回の青写真を描いてくれた椿昇さんとの偶然にしては出来過ぎと言える出会いがあり、半年くらい前にはわけのわからない兄ちゃんたちがやってくるし、信じられないような展開ですよね。

eiスタジオ eiスタジオ

Q. (笑)。アートが社会保障の問題を解決するという町長の持論は凄く腑に落ちるところがあるし、今日こうして町長のお話を聞いて、その覚悟やヴィジョンに改めて素晴らしいと感じました。

塩田:3年前の芸術祭を見て、小豆島もしっかりやれば直島や豊島に負けないものができると思っていました。そのためにどうするかは知恵の絞りどころだったんですが、この醤の郷にはそれができるんじゃないかと感じていました。ほとんど誰も注目していないですが、実は僕が町長になって1年目に、「醤の郷条例」というのを作っているんですよ。その時に考えていたことは、醤の郷の産業の営みを繰り返していくことで地域おこしをするということだったんですが、それはまさに今日の芸術祭のようなことなんです。

Q.町長が考えられているのは、かつてのコミュニティをそのまま取り戻すことではなく、社会状況を踏まえた上でこれから先にどうあるべきかということなんですよね。

塩田:過去には戻りようがないですからね。人口が減り、少子高齢化が進むなかでどういう社会を作っていくかということが課題だと思います。そして、実はその問題を先取りしているのが小豆島なんです。先ほども話に出ましたが15,000人とか3万という人口規模は社会実験をするにはちょうどいいですし、地場産業、農業、漁業、教育のすべてがこの島にはある。そんな小豆島にアートを入れることで新しい地域社会のモデルを示していけるんじゃないかという思いでこの瀬戸内国際芸術祭に関わっているんです。例えば、家成さんが働いている大阪にとっても、瀬戸内海にこういう場所があって常に交流が持てるというのは大きな力になり得るし、これは小豆島だけの問題ではなく、壮大な社会実験だと思っています。<インタビュー終わり>

もっと知りたい人は…

  • 家成俊勝 

    家成俊勝

    建築家

    1974年兵庫県生まれ。関西大学法学部卒。大阪工業技術専門学校卒。2004年より赤代武志とdot architectsを共同主宰。京都造形芸術大学空間演出デザイン学科准教授。大阪工業技術専門学校夜間部非常勤講師。建築設計、店舗設計、アートプロジェクトなどの施工を手がける。建築における設計、施工のプロセスにおいて専門家、非専門家に関わらず、様々な人々を巻き込む超並列設計プロセスを実践。

  • 塩田幸雄 

    塩田幸雄

    小豆島町長

    昭和26年9月2日小豆島に生まれる。小豆島の小・中・高校を卒業後、京都大学法学部に学ぶ。昭和50年厚生省入省。福祉、医療、年金、環境などの分野の行政を経験。厚生労働省を政策統括官を最後に退官。平成22年4月から小豆島町長。