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家成俊勝

建築家

塩田幸雄

小豆島町長

瀬戸内国際芸術祭2013」の参加アーティストとして、小豆島「醤の郷+坂手港プロジェクト」において、誰もが「建てる」ことに参加できる建築プロジェクト「Umaki Camp」を展開している建築家の家成俊勝さん。大阪を拠点に活動する建築事務所dot architectsの共同主宰でもある彼が今回インタビュー相手に指名したのは、その「Umaki Camp」が建てられた敷地のオーナーであり、さらに小豆島町の町長でもある塩田幸雄さんです。長年中央省庁で働き、3年前に故郷である小豆島に戻り、「瀬戸内国際芸術祭2013」にも積極的に関わっている塩田町長に、家成さんがいま聞きたいこととは?

3. なぜ小豆島に帰ってきたのですか?

塩田幸雄 

もともと故郷に対する思いというのは人一倍強くて、とても良い所で生まれ育ったという自負があるんです。東京でがんばったらいつか帰ってこようとは思っていました。

Q.町長はずっと東京で中央官僚としてバリバリ仕事をされてきて、3年前に故郷の小豆島に戻ってこられたわけですが、そもそも本腰を入れて帰ってこようと思ったきっかけは何だったのですか?

塩田:もともと故郷に対する思いというのは人一倍強くて、とても良い所で生まれ育ったという自負があるんです。小・中・高校の先生にも凄く手塩にかけて育てられたと思うし、東京でがんばったらいつか帰ってこようとは思っていました。地元の人たちからも帰ってきてくれとずっと言われていたのですが、当時うちの母は体調が悪くて、ずっと病院に入っていたんですね。もし僕が町長として帰ってくるとしたら、当然母親の面倒を見なくてはいけないし、町長としてやっていくことと、親のケアをすることを両立させるのが自分の中では難しかったんです。その後、忘れもしない3年前の2月19日、町会議員のみなさんが4月に迫った選挙へ出馬するように最後の説得に来たんです。僕自身は、母のことがあるので断るつもりだったんですが、ちょうどその日に母親が亡くなって…。そこで自分の中で決心がついたんです。

Q.お母さんが後押しをしてくれたのかもしれないですね。

塩田:だから覚悟が決まっているんです。東京での役人生活では、自分としてはやり残したことがないくらいやり抜いたという自信があったし、その中で中央省庁で働くことの限界も感じてきました。中央省庁というのは、凄く情熱があって、努力家で、頭の良い本当に素晴らしい連中が集まって仕事をしているのですが、残念ながら彼らは自分の入った省庁の枠を超えることはできないんです。例えば、経産省に入った人間はいくら福祉のことを考えていてもそこには指ひとつ出せない。でも、実際の社会の生活というのは、ここまでが厚生労働省、ここまでが経産省という風には分かれていないですよね。当然みんな自分が与えられた中でベストは尽くすわけですが、ベストを尽くした者同士がぶつかった時に調整する機能というのがこの国にはないんですね。一方で、根っこから変えていける町長といういまの仕事は、責任は非常に重いですが、凄くやりがいを感じています。

Umaki camp Umaki camp Umaki camp

Q.日本全体が縮小しているいま、従来の縦割り行政というのは上手く機能しなくなっているように思います。小豆島の人口は現在3万人程度ですが、これは凄く良い規模だと思うし、東京から見たら周縁の小さな島に思われるかもしれないけど、町長が考えている社会保障を含めたビジョンや試みというのは、壮大なひとつの実験のように感じます。

塩田:その通りなんですよ。小豆島には、小豆島町と土庄町というふたつの町があって、それぞれ人口が15,000人程度なんですね。このくらいの規模だと一人ひとりの顔も見えるし、その中で全体をやり繰りしていけるんです。もしふたつの町が合併したら、人口3万人の町になるわけですが、そうすると間違いなくこの「Umaki camp」にかけられる時間は半分になってしまう。1万5千人の町と3万人の町は全然違うし、5万、10万、100万という規模に応じて仕事の仕方は変わってきてしまうんです。

もっと知りたい人は…

  • 家成俊勝 

    家成俊勝

    建築家

    1974年兵庫県生まれ。関西大学法学部卒。大阪工業技術専門学校卒。2004年より赤代武志とdot architectsを共同主宰。京都造形芸術大学空間演出デザイン学科准教授。大阪工業技術専門学校夜間部非常勤講師。建築設計、店舗設計、アートプロジェクトなどの施工を手がける。建築における設計、施工のプロセスにおいて専門家、非専門家に関わらず、様々な人々を巻き込む超並列設計プロセスを実践。

  • 塩田幸雄 

    塩田幸雄

    小豆島町長

    昭和26年9月2日小豆島に生まれる。小豆島の小・中・高校を卒業後、京都大学法学部に学ぶ。昭和50年厚生省入省。福祉、医療、年金、環境などの分野の行政を経験。厚生労働省を政策統括官を最後に退官。平成22年4月から小豆島町長。