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藤井佳之

「な夕書」店主

岡 昇平

建築家
「仏生山温泉」番台

高松でのインタビュアーを務めてくれるのは、高松市街で完全予約制の古書店「な夕書」を営む藤井佳之さん。その藤井さんがインタビュー相手として挙げてくれたのは、高松・仏生山温泉の番台を務め、さらに仏生山の街全体をひとつの旅館に見立てる「まちぐるみ旅館」計画なども進めている建築家の岡昇平さんです。それぞれ東京の出版社、建築事務所で働いた経験を活かし、その後高松に自らの拠点を持ちながら、独自の活動を続けているおふたりが、岡さん設計の仏生山温泉の素敵な休憩室で語り合ってくれました。

2. 人気の秘密は何ですか?

岡 昇平 

例えば仏生山温泉では、古本を販売し、温泉の中で読めるようにしています。回転率をなるべく高めるという考え方には逆行しますが、そういう他にはない居心地のような部分を気に入ってくださっているんじゃないかなと思っています。

Q.仏生山温泉はなぜこんなに人気があるんですかね?

岡:どうなんでしょうね。でも、高松にある一般的なスーパー銭湯や日帰り入浴施設などに比べると、お客さんの数は少ないと思いますよ。単純に売上や利益のことだけを考えたら、スーパー銭湯のようなやり方がいいと思うんですけど、ここの場合は、そういうマスマーケティング的なアプローチではないんです。例えば、ジェット噴射で泡が出るとか、歩行湯や寝湯などのバリエーションがたくさんあった方が世間受けはいいと思うんです。高松にあるほとんどの入浴施設はそういうやり方で作られていますが、仏生山温泉は僕の好みでつくっているところがある。だから、その好みに合う人は凄く好きになってくれるけど、そうじゃない人もかなりいるとは思います。

Q.仏生山温泉は岡さんがご自身で設計をされているわけですが、その好みの部分というのはどういうところなんですか?

岡:色々あるんですけど、例えば温泉には、かけ流し式と循環式というふたつがあるんですね。かけ流しというのは、文字通り流れていくお湯をそのまま捨ててしまうんです。一方で循環式というのは、排水されたお湯をろ過して循環させるのですが、香川県のほとんどの入浴施設はこの循環式で、すべての浴槽をかけ流しにしているのはここだけなんです。かけ流しは湯量が豊富じゃないとできないし、経費も余計にかかってしまうのですが、温泉の本来あるべき姿はかけ流しだと思うので、ここではそうしているんです。

仏生山文庫

Q.例えば、古本屋というのは、東京の神保町や大阪のかっぱ横丁などに行けば、老舗のお店などがたくさんあって、そういうところの品揃えや値付けなどを僕は見に行ったりするんですね。ただ、僕の場合は家業が古本屋だったわけでもないので、そういう昔ながらの古本屋という感じではなく、どちらかと言えば20代30代の人たちが新しく始められる古本屋に近いことをやっていると思うんです。岡さんは温泉を始める前に、昔からある温泉などを参考にしたりしましたか? 仏生山温泉のようなデザイナーズ温泉と言えるようなところというのはあまりないですよね。

岡:温泉を作る前に全国各地の温泉を見に行ったりはしましたよ。ただ、具体的に参考にした温泉というのはないですね。最近はオシャレな温泉も増えてきていると思うし、そういうデザインや形という目に見える部分はわかりやすいところですが、仏生山温泉を評価してくださっている方たちが気に入ってくれているのはそういう部分ではないのかなと思っています。例えば、仏生山温泉では、200円で古本の文庫本を販売し、温泉の中で読めるようにしているんですね。お風呂屋さんというのは、回転率をなるべく高めるというのが普通の考え方なので、温泉の中で本を読んでもらうというのは、その流れに逆行することなんですが、そういう他には居心地のような部分を気に入ってくださっているんじゃないかなと思っています。

夕方おんせんマーケット 夕方おんせんマーケット

Q.仏生山温泉では、「夕方おんせんマーケット」などのイベントもされていますが、これらもお客さんを増やして売上を上げていくための試みではないのですか?

岡:基本的に、あまり売上を上げようとは思っていないんですよ。年々お客さんは増えているんですが、儲けるということは重要視していないんです。それよりもこの仏生山温泉が最適な状態、気持ちが良い状態にあるように心がけています。

もっと知りたい人は…

  • 藤井佳之 

    藤井佳之

    「な夕書」店主

    1976年生まれ。大阪市出身。横浜国立大学を卒業した後、ドキュメンタリー番組の制作に携わる。角川書店の新規事業に参画した後、29歳で中学高校と過ごした高松へ。完全予約制の古書店「なタ書」を開店させる。お店の予約がない日には故郷での錦の飾り方を考えている。お店の予約は→070-5013-7020まで。(繋がらないこと多し)

  • 岡 昇平 

    岡 昇平

    建築家
    「仏生山温泉」番台

    1973年香川県高松市生まれ。徳島大学工学部卒業、日本大学大学院芸術学研究科修了。みかんぐみを経て高松に戻る。建築の設計を本業としながら、家業の温泉を運営。まち全体を旅館に見立てる「仏生山まちぐるみ旅館」を10年かがりで進めつつ、「仏生山まちいち」「ことでんおんせん」「50m書店」「おんせんマーケット」などを始める。