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関本欣哉

ギャラリー「ターンアラウンド」オーナー

青野文昭

現代美術家

今回インタビュアーを担当してくれるのは、東京でアートを学んだ後、2010年に地元・仙台にギャラリー「ターンアラウンド」を設立した関本欣哉さん。その関本さんがインタビューするのは、同じく仙台を拠点に活動する現代美術家で、2013年に開催された「あいちトリエンナーレ」への出品をきっかけに、近年は国際的にも注目を集めている青野文昭さん。先日、仙台市内の6会場で開催された「せんだい21アンデパンダン展」の企画を手がけるなど、仙台アートシーンの活性化にも積極的に取り組んできた関本さんが、地元を代表する作家である青野さんに聞きたいこととは?

3. 震災後の反応はいかがでしたか?

青野文昭 

震災以降に僕の作品を初めて見る人たちは、当然震災後にこういうものをつくり始めたと思うわけです。

Q.青野さんは長らく「再生」「修復」というテーマを掲げて制作を続けてきましたが、2011年以降は、震災抜きに作品のことを語るのが難しくなってしまった状況があったと思います。青野さん自身は、震災以降何か変化はありましたか?

青野:震災による被害は仙台でもかなりあって、僕の自宅近辺では、3軒に1軒程度の割合で家が壊れたり、傾いたりしてしまったんですね。ただ、そうした状況だったにも関わらず、創作については、直後の段階において、自然環境に左右されてはいけないと考え、なるべく影響を受けないように努めていたように思います。でも、いままでゴミを拾っていた場所はみんな津波で覆われてしまっていて、震災と無縁の漂流物は手に入らなくなってしまっていました。また、もし震災と関係ないゴミなどを用いて作品をつくることができたとしても、どうしてもそこには大きな意味が含まれてしまうんですよね。

Q.青野さん自身が変わらずに制作を続けたとしても、それを見る人たちの反応は、やはり震災前とは異なるものになってしまいそうですね。

青野:そうですね。震災前から知名度のある作家だったら良かったんですが(笑)、僕の作品を初めて見る人たちは、当然震災後にこういうものをつくり始めたと思うわけですよね。震災前は作品のテーマについてよく聞かれることもあったのですが、例えば「あいちトリエンナーレ」では、仙台在住の作家がこういう作品をつくっていることに一切疑問を持たれず、誰からも質問されませんでした。どうしても人は震災からの「復興」や「再生」というテーマを、作品から読み取ってしまいますからね。だから「あいちトリエンナーレ」では、僕が震災前からこういう作品をつくっていたということを、スタッフの人たちが来場者に説明してくれていました。

青野文昭「なおす・復元・宮古・鍬ヶ崎(震災後宮古実家跡地から収集した記念時計より)」(2011年) 青野文昭「なおす・代用・合体・侵入(震災後宮古で収集した衣料店床面/テーブル)」(2011年)

Q.「あいちトリエンナーレ」以前にも、青野さんは震災をテーマにした展覧会をされていますが、ここにはどんな思いがあったのですか?

青野:震災以降、各地から色んな人たちが炊き出しに来てくれたりしたのですが、中央の有名人と地元の被災者の交流という図式が強くなり過ぎてしまい、地元にもつくり手がいるということに、ほとんど目が向けられていないと感じたんですね。そのなかで、自分たちで何かをやらないといけないという思いが徐々に強まっていきました。また、僕の作品においては、もともと自分ではないモノの特性に歩み寄り、そのモノが持つ特性や記憶を引き出していくということが作業の中心になるんですね。そう考えると、震災以降自分がこの場所やモノから作品をつくるということは、必然的に震災の記憶や傷跡が浮かび上がらせることになるわけです。仮にそれを嫌だと思う人がいたとしても、失った人やモノや様々な記憶のためにも、またそれを知らない次世代のためにも作品として残しておくべきなんじゃないかと思うようになり、ある意味必然的に震災をテーマにした展覧会を開催することになったんです。もちろん、津波で流されてきたモノを作品に使うことに拒否反応を示す方もいますが、結局はすべて震災瓦礫として撤去処理され消え去ってしまう運命にあります。いずれにせよ自分の場合は、「復元」をテーマに据えてきていますので、あくまでもそうした「モノ」が材料ではなく主役となり、流出物に詰まったエッセンスが作品として保存されることを念頭に置いています。作品に接してもらえば理解していただけると思っています。

インフォメーション

青野さんの個展が韓国・済州島のアラリオ美術館Dongmun Motelで2015年10月まで開催中。また、12月10日から2015年1月13日まで沖縄コンテンポラリーアートセンターで『Time Sharing―隣り合わせの時間』が、2015年2月14日~3月14日まで東京・ギャラリーαMで『パランプセスト―重ね書きされた記憶/記憶の重ね書き』が開催予定。
関本さんがオーナーを務めるギャラリー「ターンアラウンド」では、11月4日から30日までグループ展『きたかぜとたいよう』が開催予定。

もっと知りたい人は…

  • 関本欣哉 

    関本欣哉

    ギャラリー「ターンアラウンド」オーナー

    1975年宮城県仙台市生まれ。東京芸術専門学校(TSA)卒。90年代後半よりアート作品の制作、発表をはじめる。2010年より社会に繋がる表現の場として『ギャラリーターンアラウンド』を設立。2014年に行為・行動する表現を目的としたレーベル『ネオ・ノイジズム・オルガナイザーズ』を設立。建築デザインの仕事も手がけている。

  • 青野文昭 

    青野文昭

    現代美術家

    1968年仙台生まれ。主な展覧会に、「アートみやぎ」宮城県美術館、「崇高と労働展」板橋区美術館(ともに2000年)、「VOCA展」上野の森美術館(2001年)、「どくろ杯・Ⅱ―他者性と不可避性について―」ギャラリーターンアラウンド(2012年)「あいちトリエンナーレ2013―揺れる大地」(2013年)、主な個展にアラリオギャラリー、アラリオミュージアムDongmun Mote(ともに2014年/韓国)がある。