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関本欣哉

ギャラリー「ターンアラウンド」オーナー

青野文昭

現代美術家

今回インタビュアーを担当してくれるのは、東京でアートを学んだ後、2010年に地元・仙台にギャラリー「ターンアラウンド」を設立した関本欣哉さん。その関本さんがインタビューするのは、同じく仙台を拠点に活動する現代美術家で、2013年に開催された「あいちトリエンナーレ」への出品をきっかけに、近年は国際的にも注目を集めている青野文昭さん。先日、仙台市内の6会場で開催された「せんだい21アンデパンダン展」の企画を手がけるなど、仙台アートシーンの活性化にも積極的に取り組んできた関本さんが、地元を代表する作家である青野さんに聞きたいこととは?

2. どんなことを表現したいのですか?

青野文昭 

自分の作品には本物の部分とそうではない部分が同居しているのですが、本物とも偽物ともつかないものをつくりたいという思いがあります。

Q.青野さんの作品は、生活用品などを美術の中に持ち込む「レディメイド」とも、すでにあるものを複製する「再現芸術」「イミテーション」とも違うものだと思うのですが、ご自身の作品をどのように位置づけているのですか?

青野:僕の作品の特徴は、自分が知らない他者がつくった部分と、自分がつくった部分がひとつに融け合っているところにあると思います。本物の部分とそうではない部分が同居しているとも言えるのですが、要するに本物とも偽物ともつかないものをつくりたいという思いがあります。現実の世界や日常の生活を見てみても、本物と偽物は複雑に混ざり合っていて、もともと偽物だったものが使っているうちに本物になったりすることもある。そうなってくると、「本物って一体何なんだ?」という問いが浮かび上がってきます。美術作品というのは、架空的な空間に人工物として展示されることが多いですが、それによって現実が持っている振れ幅や奥深さが失われてしまうところがある気がしています。そこに陥らずに、なんとか現実世界のあり方に近づいていけないかということを考えています。

山形県・東根市で破棄されていた車を復元した青野さんの作品(2001年) 青野文昭「なおす・復元・荒浜」(1997年)

Q.制作を始めた当初、そうしたコンセプトは美術界の中でどのように受け止められましたか?

青野:有り体には理解されにくいところがありましたね(笑)。むしろ当初は、アートよりも建築の分野からの反応の方が良かったです。建築では、建物を移築したり、古い土台の上に建て直すということが必要になることも多いし、リノベーションという感覚に通じたところがあったのかもしれません。ただ、僕の場合は、実際に何かを復元して使えるものにしていくということに関心があるわけではないんです。

Q.青野さんの作品が展示された空間に入ると、何か異世界に引き込まれたような感覚を覚えます。作品そのものに、場の空気感を変える不思議な力があるような気がします。

青野:空間の話で言うと、環境に依存してしまうインスタレーションのような表現には、当初はあまり関心はありませんでした。もともと僕が美術という表現に大きな魅力を感じているのは、自分自身が表現媒体になるダンスなどとは違い、自分ではないモノに表現を託すことができる点なんです。良い作品というのは、そのモノ自体が残り続け、強い説得力を持つようになるんですね。文学や音楽などに比べて、ただそこにあるだけでいい美術作品というのは、非常にコンパクトに集約された表現だと言え、そこが大きな強みだと思っています。

インフォメーション

青野さんの個展が韓国・済州島のアラリオ美術館Dongmun Motelで2015年10月まで開催中。また、12月10日から2015年1月13日まで沖縄コンテンポラリーアートセンターで『Time Sharing―隣り合わせの時間』が、2015年2月14日~3月14日まで東京・ギャラリーαMで『パランプセスト―重ね書きされた記憶/記憶の重ね書き』が開催予定。
関本さんがオーナーを務めるギャラリー「ターンアラウンド」では、11月4日から30日までグループ展『きたかぜとたいよう』が開催予定。

もっと知りたい人は…

  • 関本欣哉 

    関本欣哉

    ギャラリー「ターンアラウンド」オーナー

    1975年宮城県仙台市生まれ。東京芸術専門学校(TSA)卒。90年代後半よりアート作品の制作、発表をはじめる。2010年より社会に繋がる表現の場として『ギャラリーターンアラウンド』を設立。2014年に行為・行動する表現を目的としたレーベル『ネオ・ノイジズム・オルガナイザーズ』を設立。建築デザインの仕事も手がけている。

  • 青野文昭 

    青野文昭

    現代美術家

    1968年仙台生まれ。主な展覧会に、「アートみやぎ」宮城県美術館、「崇高と労働展」板橋区美術館(ともに2000年)、「VOCA展」上野の森美術館(2001年)、「どくろ杯・Ⅱ―他者性と不可避性について―」ギャラリーターンアラウンド(2012年)「あいちトリエンナーレ2013―揺れる大地」(2013年)、主な個展にアラリオギャラリー、アラリオミュージアムDongmun Mote(ともに2014年/韓国)がある。