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佐藤純子

イラストレーター

菊地充洋

菊信紙工所
製本部 部長

仙台駅前の書店で働いていた頃に描いた日々の生活にまつわるマンガエッセイ『月刊佐藤純子』が人気を集め、現在はイラストレーターとして活動している佐藤純子さん。そんな佐藤さんがインタビューするのは、『月刊佐藤純子』のデザイン、印刷、製本を手がけた「製本部」の部長であり、有限会社 菊信紙工所で製本、紙加工などの仕事に励んでいる菊地充洋さん。本を接点につながりを持ったふたりの間で、果たしてどんな話が展開されるのでしょうか?

2. どんな本をつくっているんですか?

菊地充洋 

普通ならちょっとあり得ないよねと言われてしまいそうものを、いかにあり得るものにできるのかを考え、逆提案していくことが製本部のやり方です。

Q.製本部がつくった本には、不思議なものがいっぱいありますよね。よくこんな面白いことを思いつくなぁといつも驚かされます。『S-meme』なんかも毎回形態が違いますよね。

菊地:そうですね。『S-meme』では、毎回4ヶ月くらいの期間で、受講者がコンテンツを収集し、一冊の本にまとめていくんですが、担当教授の五十嵐太郎先生から、製本の可能性を追求してくださいと応援して頂いています。受講者は学生から社会人まで幅広いのですが、『S-meme』は色んな印刷を楽しめる機会としてもとらえてくれているようです。いままで世に出ていなかったようなアイデアが色々出てくるなかで、それをどう実現させていくかを考えていくのが自分たちの役割です。例えば、左綴じ横書きの本をひっくり返すと、今度は右綴じ縦書きのコンテンツが現れるというような仕掛けをつくっているんですが、こうやって情報に何かしらプラスアルファをしていくということは紙メディアにしかできないことなのかなと思います。

「S-meme Vol.7」 ©Sendai School of Design 「S-meme Vol.7」 ©Sendai School of Design 「S-meme Vol.7」

Q.本というのは一見制限があるように思いますが、菊地さんたちはそれをヒョイと飛び越えた面白いものをつくっていますよね。きっと製本部は、菊地さんや松井さんをはじめ、みんなの知恵が集まっているからこそ、ひとりでは考えもつかないような本が生まれるんでしょうね。

菊地:部員さんが持っている専門知識というのは凄く貴重で、色んな手助けになっています。僕自身としては、部員さんたちがつくったものを見て、なぜこの人はこういうものをつくっているのかということを自分なりに分析することを心がけています。例えば、名刺ひとつとっても、「この人はなぜ右上に文字を持っていくんだろう?」と自分なりに分析・解釈していくんですが、そこから気づきをもらえるということも多く、とても刺激になっていますね。

Q.製本部は、自分たちや周りの人たちの考えや妄想を形にしている感じがします。読んでいる文字や紙自体は平面だけど、凄く立体的に感じられるんですよね。

菊地:通常印刷というのは、コストを最重要視して設計したものをお客さんに提案するんですね。製本に関してもその枠の中で選択肢を提示していくわけですが、製本部の場合は、そうしたパターンに当てはまらないものをつくっています。普通ならちょっとあり得ないよねと言われてしまいそうものを、いかにあり得るものにできるのかを考え、逆提案していくんです。最近は、印刷や製本の技術が見直されている風潮がありますが、逆提案型というのはあまりないからか、それを新鮮だと感じてくれる人たちから、少しずつ実践の機会を与えてもらえるようになりました。でも、これからは自立していけるようにもっと力をつけていかないといけないし、まだ世に出ていない製本のアイデアというのもたくさんあるはずなので、それをできるだけ多く製本部として提案していきながら、こうした活動や仕事のあり方を定着させていくことを目指しています。

インフォメーション

佐藤純子さんの個展「空き地の空」が、11月1日〜30日まで目白・貝の小鳥で開催予定。

もっと知りたい人は…

  • 佐藤純子 

    佐藤純子

    イラストレーター

    1978年生まれ。福島県出身。仙台市在住。フリーペーパー「月刊佐藤純子」不定期刊行。2011年『仙台文庫別冊月刊佐藤純子』発売(現在版元品切中)。月刊誌『PHPスペシャル』で「つれづれBOOK WORM」(コミックエッセイ)、ウェブマガジン「みんなのミシマガジン」で「女のひとり飯」(コミックエッセイ)、週刊誌『サンデー毎日』で「私的本屋賞」(書評・月一回)連載中。「マッチ箱マガジン」(佐々木印刷所)シリーズの松島編・白石編を担当、グッドデザイン賞受賞。

  • 菊地充洋 

    菊地充洋

    菊信紙工所
    製本部 部長

    なんとなくの本好きが集まってなんとなくグループとして活動し始め、どうぞどうぞの流れで『製本部』の部長になる。そんな状況ながら、人に恵まれてきたおかげで成果を上げることができている。製本部内では、部員がそれぞれ興味のある研究テーマを掲げ、有志でプロジェクト を結成し研究活動を行っている。 Studio KIKUSHINにてプリンター、ブックデザイナーとしても活動。