インタビューアーにスポットを当てる新感覚インタビューサイト

RSS

Qonversations Twitter

QONVERSATIONS > TRIP > sendai

松浦孝行

ローカルプランナー

高平大輔

映像ディレクター

今回インタビュアーを務めてくれるのは、旅行雑誌の編集、地域プロモーションのディレクションなどの仕事を経て、現在は宮城・仙台の伝統工芸の魅力を伝えるプロジェクト「手とてとテ」にプランナーとして携わっている松浦孝行さん。そんな松浦さんがインタビューするのは、仙台を拠点とする映像ディレクターとしてさまざまな作品を制作し、「手とてとテ」のディレクターも務める高平大輔さん。震災以降は、ドキュメンタリー映像の制作でも注目されている高平さんに、松浦さんが聞きたいこととは?

3. 震災は創作に影響を与えましたか?

高平大輔 

事実や真実に近づいていけるものでなければ誰にも届かないという思いが強くなったし、嘘のない映像が撮れないような仕事は受けなくなりました。

Q.2011年の震災は高平さんの生活に大きな影響を与えたと思いますが、映像制作の面でも何か変化はありましたか?

高平:震災以降、膨大な真実が映像を通してあふれ返りましたよね。正直、僕らが仕事でつくってきたような演出された映像が嫌になった時期もありました。いまは誰もが簡単に映像を撮れる時で、どんなに良い機材を使おうが、真実の強度には勝てないということを思い知らされたんですね。たとえ脚色や演出があったとしても、事実や真実に近づいていけるものでなければ誰にも届かないという思いが強くなったし、嘘のない映像が撮れないような仕事は受けなくなりました。CMの仕事にしても、それが一企業のプロモーションだったとしたら、その企業の本当に素晴らしいと思う部分を見つけられなければ、見る人にも伝わらないだろうし、そこまで辿り着けなければ意味がないんじゃないかと。僕自身、いまだにドキュメンタリーというものの核心がつかみきれていないのですが、やっぱり人間の何かを通したもの、血と肉が入ったものじゃないとダメなんだということは強く感じるし、とても難しいことですが、真実を撮って伝える側にいないといけないと思っています。

Q.受け手の意識も大きく変わったように感じます。震災前は見向きもされなかったようなアンダーグラウンドで活動していた人たちの活動が、震災後に初めてリアルな表現だったと気付き、自分事になっていったというケースも多々あったと思います。高平さんの視点は、震災以降ローカルに向かっていますが、ひとつの空間に紐づくストーリーを語っていくことで、震災以降に偏在化しているヒリヒリした感覚がよく伝えられているように感じます。

高平:震災以降、東北でリーダーシップを取って活動する人たちがたくさん出てきましたよね。そうした人たちは東京からも注目されやすいのですが、僕自身としては、注目されることのない普通の人たちを撮影していきたいという思いがあるんです。僕の両親は、南相馬の「朝日座」の隣にある食堂を営んでいるのですが、こうした街の商店街で真面目に働いている人たちにカメラを向けたいと思っているし、震災以降は、そういうところからこそ真実というものが際立ってきたんじゃないかと感じています。それまで多くの人たちが価値を感じていなかったものに目を向け、少し目線を変えると実は素敵に見えるんだということを伝えていくことが自分の使命だと思っています。

Q.視点を変えて新たな価値を与えていくという面では、映像というのは非常に力を発揮できる媒体ですよね。

高平:映像が持つ強度や速度というのはありますよね。もともと僕は、何もない普通の日の公園で、夕日が綺麗すぎて涙を流すような変な子どもだったんです(笑)。でも、世界遺産でもなんでもない場所の日常にも素敵な瞬間があるし、ちょっと偉そうな言い方になりますが、声なき人の声を聴いて、その人たちの中にある美しさや凄さを見つけたいと思っています。僕の本業であるCMにも、本来はそういう側面があったはずで、普通の人たちの素敵な瞬間を15秒で収めるような仕事がしたいんです。そういえば先日、東北大学を歩いていて、ボロボロですばらしい床屋さんを見つけたんですが、こういうものを見つけるとほっておけなくなるんですよね(笑)。

インフォメーション

高平さんが監督を担当した 「トラフ建築設計事務所+ 石巻工房」のドキュメンタリー映像が、2014年11月1日から2015年5月10日まで金沢21世紀美術館で開催される「ジャパン・アーキテクツ 3.11以後の建築」にて上映予定。

もっと知りたい人は…

  • 松浦孝行 

    松浦孝行

    ローカルプランナー

    大手出版社を独立後、フリーランスで旅行雑誌の編集、旅館ホテルのプロモーションなどを中心に活動。震災を機に、ローカルをドメインにしたワークスタイルに移行。東北の田舎良品PRサイト「田舎郡東北村」、TOHOKU新聞バッグプロジェクト、伝統芸能による集落活性プロジェクト、仙台・宮城の中小企業商品開発プロジェクトなどをサポート。現在は仙台・宮城の伝統工芸品PRサイト「手とてとテ」のイベントプランニングを担当。

  • 高平大輔 

    高平大輔

    映像ディレクター

    福島県南相馬市出身、仙台市在住。WOW(仙台)を経て、東北のCMや地域のPRプロジェクトを中心に活動中。代表作は、環境省コミュニケーション大賞「仙台市ごみ減量大作戦 ワケルくん」、 「手とてとテ ー仙台・宮城の手しごとたちー」、 渡り鳥と人間の共存を描いた「蕪栗沼ふゆみずたんぼプロジェクト」など。個人的作品として被災地の夜明けを撮影した「Tomorrow at Daybreak」や、「ジョルジュ・ルース アートプロジェクト」の映像を制作。 故郷の映画館「朝日座」を応援中。