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柿崎慎也

東北大学 産学連携コーディネーター

濱田どんき

宮城アナログ文化協会
青葉こけし会

現在、東北大学で企業と大学の連携を促進させる産学連携に取り組む柿崎慎也さんは、地域のクリエイティブ/産業界のハブ的存在としても地道に活動を続けています。今回のQONVERSATIONS TRIP SENDAIにもご協力頂いた柿崎さんがインタビュアーとなってお話を聞くのは、音楽と社会をテーマに活動されている濱田どんきさん。市民や愛好家が音楽について自由に話す場づくりを行い、東日本大震災(以後、震災)の後には「うぶこえプロジェクト」を立ち上げ、様々な活動を展開しています。こけし愛好家としての一面もお持ちだという濱田さんの全貌を解き明かすべく、柿崎さんがさまざまな質問を投げかけました。

2. 震災以降音楽への意識は変わりましたか?

濱田どんき 

いまも活動を通して音楽の力を問い続けている状態ですが、震災以降は、感じ方や見え方の本質というものを考えるようになりました。

Q.濱田さんはもともとDJから活動をスタートしていますが、現在はせんだいメディアテークで働きながら音楽イベントの企画をしたり、うぶこえプロジェクトを立ち上げたりと、社会との接点をどんどん増やしているように感じます。そんな濱田さんを突き動かしているものは何なのでしょうか?

濱田:やはり震災の影響が大きかったですね。それまで社会というものを意識したことはほとんどなかったんですが、僕だけに限らず、震災以降は社会へ問いかけるという行為に迫られた人は多かったと思うんですね。どんな出来事が起きても、時間が経過すればいずれ日常へ帰っていくものだと思うのですが、本当にそれでいいのかという感覚もあって。震災の後は、自分が長く関わってきた音楽で何ができるんだろうと色々考えたのですが、これがまたとても壮大な問いで…。でも、何かやるしかないという時期でもあり、当時、僕が仙台のヒップホップグループ・GAGLEのMCであるハンガーさんと一緒に運営していた松竹梅レコードの復興支援活動として立ち上げたのが、「うぶこえプロジェクト」でした。その後、「うぶこえプロジェクト」が松竹梅レコードから独立し、僕が代表として動かしていくことになりました。

Q.音楽の力って何だろうということは自分も考えるんですが、濱田さんご自身は、震災前後で音楽というものに対する意識に変化はありましたか?

濱田:いまも活動を通して音楽を問い続けている状態ですが、震災以降は、単純な感じ方や見え方に捉われず、物事の本質というものを強く意識するようになりました。僕個人の音楽との関わり方というのを振り返ってみると、単に楽しむだけのものとして接してきたわけではなかったんですよね。例えば、僕が好きなブラックミュージック、ヒップホップというのは、もともとアフリカ系の黒人が社会に対するメッセージとして表現したものであって、僕はそうした成り立ちに感化されましたし、音楽は社会に必要だと思っているんです。柿崎さんにも来て頂いた「くろい音楽室 震災の音跡-今踏み越え、今と交差-」では、震災をテーマにした音楽、特にラップミュージックを色々と紹介したのですが、その時に柿崎さんが話してくれた「ラップのリリックは、震災当時とても純粋なメディアだったんじゃないか」という言葉にはハッとさせられました。

「くろい音楽室」 写真提供: せんだいメディアテーク

Q.あの時は、震災をテーマにしたラップをたくさん紹介してくれましたが、そこで語られている言葉は本当に切実でしたよね。僕はあまり詳しくはないですが、こうした曲が数多く生まれた状況というのが、ヒップホップの起源とも言われている黒人霊歌が、もともと過酷な状況の中で自らの生を確かめる手段だったことと妙にリンクしているように感じました。ただの音楽でも情報でもない生々しさがあって、非常に刺さってくるものがありました。

濱田:そうですね。普段の日常の中で主に関わっているいわゆる”楽しむ音楽”を超えた、何かを感じました。そもそもラップは言葉数が多いので、メッセージ性が強い音楽という一面もありますが、僕自身、震災前は、やはり音楽性という側面だけでこれらを聴いていたところがあったんですね。このイベントで紹介した楽曲は、普段はあまり聴かないようなものが多く、正直自分の好みとは少し違うんです。でも、震災直後に被災地ではまだ電気が使えなかったような時期にYouTubeなどのネット上にはたくさんの楽曲がアップされていて。その事実だけでも本当に心が熱くなりますが、そこには彼らの大きな思いがあるわけで。音楽としての単純な好みや関心を超えて、音楽のチカラというものを痛感しましたね。

もっと知りたい人は…

  • 柿崎慎也 

    柿崎慎也

    東北大学 産学連携コーディネーター

    1971年生まれ。秋田県出身。東北大学産学連携推進本部産学連携コーディネーター。東北大学大学院経済学研究科産学官連携研究員、TRUNK | CREATIVE OFFICE SHARINGインキュベーション・マネージャを経て現職。学外では、合同会社logueボードメンバー、仙台クリエイティブ・クラスター・コンソーシアムプロデューサーとして活動。

  • 濱田どんき 

    濱田どんき

    宮城アナログ文化協会
    青葉こけし会

    1981年宮城県仙台市生まれ。仙台市在住。DJやイベントオーガナイザー、音楽レーベルでの活動を経て、東日本大震災の体験から、現在は社会と音楽をテーマに活動。音楽による復興支援活動の取り組みやクラブミュージックを市民と語り合う場として、「くろい音楽室」という文化イベントも主催。