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中川和彦

書店店主

西 靖

アナウンサー

本はもちろん、雑貨や洋服なども販売し、併設されたカフェではさまざまなゲストを招いたイベントを開催するなど、本屋という枠を超え、大阪の文化発信拠点となっている「スタンダードブックストア」。今回インタビュアーになってくれる同店の店主・中川和彦さんがインタビュー相手に選んだのは、情報番組「ちちんぷいぷい」の総合司会を務めるなど、関西で知らぬ人はいない毎日放送の人気アナウンサー、西 靖さん。読書や音楽などの趣味を持ち、過去にスタンダードブックストアのイベントでも共演している西さんに、「本」「コミュニティ」「大阪」 などをキーワードに、中川さんが迫ります。

3. 最近の大阪はどうですか?

西 靖 

どんどん新しいものができて、随分ハイパーやなと。みんながハイパーなものばかり求めてしまうと、足元がスカスカになるような気がしています。

Q.西さんは、いまの大阪の街をどのように見ていますか?

西:最近はどんどん新しいものができて、梅田なんかもだいぶ変わってきているし、随分ハイパーやなと。グランフロントなんていう巨大な施設もできましたしね。もちろん、ああいうのがうまくいってほしいとも思いますが、一方でみんながハイパーなものばかり求めてしまうと、足元がスカスカになるような気がしています。以前、内田樹先生、名越康文先生とやっている「辺境ラジオ」で、「うめきた」(大阪駅北地区)に大仏を作ろうという話で盛り上がったんですね。大阪の街について思うことをリスナーに募集したところ、商業施設を作るよりも、むしろ大仏を作ったほうが面白いんじゃないかという案が寄せられて。この大仏案におふたりが飛びついたんです。

「辺境ラジオ」収録風景。

Q.僕もとても良い案だと思いました。

西:大阪という街には、門前町的な統一感をもたらすものが少ないと思うんですね。例えば、東京には皇居や浅草寺など軸になるものがあるけど、大阪にはそういうものが少なく、あまり良くない意味での雑多性が生まれてしまっている。例えば、うめきたに大仏ができて、それを軸に土産屋やホテル、旅館など門前町的なものが形成されていくと、大阪は正しく再生するんじゃないかという話になったんです。市民に寄付を募ったりしながら、長い時間をかけてそういうものを作っていけたらいいんじゃないかなと思うんです。デベロッパーには見向きもされないでしょうけど(笑)。

Q.でも、たしかに自分たちでお金を出せば、みんな大事にしますよね。いま大阪の街はお買い物ばっかりになってしまっていて、何かが足りない気がするんです。

西:あと僕は、大阪の街中に大学が帰ってきてほしいなと思うんです。例えば、京都なんかは街中に学生が溶け込んでいるし、京都の人たちが学生さんを暖かく包んでくれる文化があるでしょ。でも、大阪の街中には学生が300円で晩御飯を食べられるようなところがない。モノとかカネを生み出すものだけじゃなく、大学のような存在が大阪の街に帰ってきてほしいなと。

Q.たしかに東京なんかに行っても大学が街中にありますもんね。

西:大阪の街に育てられたという思いを持った学生たちが将来世界で活躍してくれてもいいし、もちろん大阪に帰ってきてくれてもいい。どちらにしろもっと学生が街の中にいないといけないと思うし、その時に起点になるのが本屋さんだったりすると思うんです。例えば、学生の展示やイベントなどを本屋さんでやったり、大学の研究室とコラボレーションもできるかもしれないですよね。学生はそんなにお金を使わないかもしれないけど、彼らを養っていける街を目指すことで、大阪はもっと血が通い始めるんちゃうかなって。ただ箱を作れば街ができていくわけではないし、コミュニティというのは、強い人たちだけで構成できるものではないですよね。むしろ競争を勝ち抜いていたり、利益を上げていくという発想とは真逆じゃないですか。でも、中川さんや、そのひとつ下の僕らの世代というのは、親世代から、自分のやりたいことをやってほしいっていう夢を託されたというか、自己実現ということを言われてきていて、そのこと自体はありがたいんだけど、人を支えたり養ったりするための基本的なOSが組み込まれていない気もするんです。まずはそういうところからちょっとずつ改めていく必要があるのかもしれないですね。

もっと知りたい人は…

  • 中川和彦 

    中川和彦

    書店店主

    1961年大阪生まれ。大阪市立大学生活科学部住居学科卒業。1987年父の経営する(株)鉢の木入社、代表取締役就任。2006年カフェを併設する本と雑貨の店・スタンダードブックストア心斎橋オープン。2011年スタンダードブックストア茶屋町オープン。本は扱うが本屋を営んでいる意識は希薄で、人が集まり、人と人が直接触れ合う場を提供したいと考えている。

  • 西 靖 

    西 靖

    アナウンサー

    アナウンサー。1971年生まれ、岡山県出身。大阪大学から1994年MBS入社。月曜から金曜まで午後2:55から5:50まで生放送でお届けする情報エンターテインメント・テレビ番組『ちちんぷいぷい』(関西ローカル)のメインパーソナリティを務める。ラジオでは、内田樹(神戸女学院大学名誉教授)と名越康文(精神科医)が自由奔放なトークでニュースの本質を語る『辺境ラジオ』(不定期放送・詳しくはHPで)の司会を担当。趣味は、スノーボード、フライフィッシング。O型。