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中川正子

写真家

弥田俊男

建築家

建築家の弥田俊男さん、写真家の中川正子さんは、2011年の震災を機に、東京と岡山の二拠点生活をスタートしたご夫婦。今回の「QONVERSATIONS TRIP OKAYAMA」では、雑誌や広告、CDジャケットから、写真展の開催や写真集の出版まで幅広く活動をしている中川さんが、岡山理科大学の建築学科で准教授を務めながら、東京ではご自身の建築事務所で設計の仕事をしている弥田さんにインタビューをします。震災、独立、移住などさまざまな転機が重なったご夫婦がいま、話したいこととは果たして?

4. 家族の将来についてはどう思っていますか?

弥田俊男 

こんなことも、あんなこともあるという選択肢をフラットに広げておけば、その段階に来た時に一番良いチョイスに自ずと向かっていくことになるんだと思ってる。

Q.岡山に来た当初は、俊男くんの大学のスケジュールに合わせて、私も東京と岡山を行き来していたけど、常に子どもと一緒だから結構大変で、ある時期から1ヶ月単位で20日間東京、10日間岡山という考え方に変えたじゃない。それによって会えない日も結構増えちゃって。私には毎日話したいことが山のようにあるから、その日のうちに伝えないと無理なのね(笑)。でも、電話やSkypeだと伝わらなくて、それは何度も悩んだことだよね。

弥田:悩んだよね。スゴく難しい問題だと思う。

Q.こないだも無理矢理会うために私が岡山に戻ってきて、でも午後には東京に行かなきゃいけなかったからお昼だけ家族3人で食べたんだよね。ホントは子どもと一緒に公園とか行きたいのにほとんど行けてないし、やっとのことでお昼ご飯くらいかと思うとなんか泣けてきちゃって。でも、俊男くんはタイトな時間を割り振りして、家族のために時間を割いたり、やれることはすべてやってくれているからもう何も求められないし、これ以上はないんだって。でも、その時急に俊男くんが「素敵な奥さんと素晴らしい子供がいて、なんて幸せな人生なんだ!」って大声で言い出して(笑)。でも、たしかにそうだなって。その日の私は、「あれもできない」「これもできない」という現実の切り取り方をしちゃってたんだよね。他の家族と比べてもしようがないし、こういう人生を選んだのは自分たちなんだから、私たちは私たちの形でやっていこうって改めて決意したんだよね。

弥田:将来この家族がどうなっていくのかということはもちろん考えているよ。さっきの海外に行くという話だけじゃなくて、こんなことも、あんなこともあるという選択肢をフラットに広げておけば、その段階に来た時に一番良いチョイスに自ずと向かっていくことになるんだと思ってる。だから、いまの時点であまり悩んでいても、目の前の大事な時間がそれに奪われてしまうだけな気がするんだよね。いまは選択肢をこれだけ並べておけば大丈夫だろうとイメージさえできていればいいんじゃないかな。それに向けていまを一生懸命生きながら、自然な方向に進んでいけばいいと思う。どちらにしろ、岡山でこうして1年半生活してみて、色々スゴく面白くなったなと思う毎日ですよ。

Q.私は、将来のことを心配しすぎないようにと思いつつ、そこからなかなか離れられなくてジタバタしていたのに、俊男くんはスゴいよね。私は超心配性だったし、根に持つタイプだったんだけど、ずっと一緒にいて出産や震災という出来事を経て、だいぶ俊男くん寄りの考え方をするようになったと思う。前よりは将来のこととか全然ゴチャゴチャ言わなくなったでしょ? 色んなことが意外にどうにかなってきたということも自信になって、「場当たり力」が強くなった気がする。子どもがいて、岡山に住んでいて、こっちで写真集を作るなんて絶対無理とか言われてたけど、いま思えばなんてことなかった。みんなの協力あってこそだし、私もスゴく痩せたけど (笑)。俊男くんから教わったことは多いし、スゴく助けてもらってる。どうもありがとう♡

弥田:こちらこそ、ありがとう。<インタビュー終わり>

インフォメーション

記事中でも紹介した弥田さんが東京で手がけた住宅のリノベーション「住吉の居場所」は、現在発売中の「カーサブルータス」12月号でも掲載中。

もっと知りたい人は…

  • 中川正子 

    中川正子

    写真家

    津田塾大学在学中にカリフォルニアに留学。写真と出会う。帰国後、山路和徳氏に師事。自然な表情をとらえたポートレート、光る日々のスライス、美しいランドスケープを得意とする。日本、世界を多く旅し、撮影で訪れた国は18カ国70都市以上。写真展を定期的に行い、雑誌、広告 、C Dジャケット、書籍など多ジ ャンルで活躍中。2010年4月に男児を出産。2011年3月に岡山に拠点を移す。現在、東京と岡山を往復する日々。最新の写真集は、出産と震災後の世界を描いた「新世界」。東京を皮切りに全国4カ所にて巡回展を開催、好評を得た。他に作品集として「旅の響き」(宮沢和史氏と共著)、「ふたりぶんのしあわせ」(カサイミク氏と共著)、「通学路」などがある。

  • 弥田俊男 

    弥田俊男

    建築家

    1974年愛知県生まれ。京都大学大学院修了後、隈研吾建築都市設計事務所に13年間所属し、サントリー美術館、根津美術館をはじめ数多くの物件を手掛ける。2010年より慶應義塾大学環境情報学部(SFC)非常勤講師。2011年より、岡山理科大学建築学科准教授、NPO法人ENNOVA OKAYAMA理事として岡山に関わり始めるとともに、弥田俊男設計建築事務所を設立し、東京を拠点に自らの設計活動を開始。現在、東京と岡山の2地域を拠点に活動。