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軸原ヨウスケ

グラフィック・デザイナー
cochae

能勢 伊勢雄

「PEPPERLAND」主宰

去る10月15日、岡山のcafe moyauさんをお借りして開催した公開取材イベント「QONVERSATIONS TRIP OKAYAMA」。岡山に移住もしくはUターンされた方がインタビュアーとなり、岡山で長く活動してきた方々にインタビューするというテーマのもと開催されたイベントのダイジェスト版をお届けします。
公開取材イベントのトリを飾る「SESSION3」では、故郷である岡山に昨年Uターンされたグラフィック・デザイナー、軸原ヨウスケさんが、70年代にライブハウス「ペパーランド」を岡山に設立し、新しい表現者たちに門戸を開放する傍ら、ご自身の映像や写真作品、文筆活動なども精力的に行なってきた重鎮・能勢 伊勢雄さんにインタビューをしてくれました。

3. ネット時代以降の「場所」をどう考えますか?

能勢 伊勢雄 

ネットで知ってくれるからこそ、その後によりリアルなものに触れに来ることができる。これだけネットで色んな情報やモノを探したり買い物ができる時代に、それに負けてしまう場所やお店作りをしていてはダメだということです。

Q.岡山に戻ってくる度に思わされていたのですが、この場所に能勢さんがいることで、色んな人が集まってきている印象があったんですね。能勢さんはインターネット以前の時代から、東京や海外とのネットワークを作られていたと思うのですが、それはひとつの場所を起点にできていったものなのか、それとも能勢さん自身が外に出て開拓されていったのか、どちらだったのですか?

能勢:切り拓くということを意識的にはやっていなかったですね。以前に僕は東京に住んでいた時期があり、そこで気づいたことは、東京というのはニューヨークの田舎じゃないかということでした。でも、実はそのニューヨークもロンドンの田舎で、ロンドンはフランスやドイツの田舎だったりしたんです。このように考えると、岡山から東京を見た時に、田舎だと感じる必要はないんじゃないかと。むしろ岡山で岡山の表現をしていけば、東京や海外などとも自然につながっていくだろうと思っていました。東京にいた頃は、松岡正剛氏がやっていた工作舎という出版社の周りをウロウロしていたんですが、そこで色々な雑誌の編集者に出会うんです。そこで、彼らに一様に聞かれることは、「岡山でいまどんなことが起きているのか?」ということ。東京で動いている人たちは東京やニューヨークの情報には早いけど、地方の情報はあまり持っていないんですよね。彼らがそれを欲しがっているということを感じていたこともあって、じゃあ岡山でもエッジなことがやれるだろうと思い、この場所でペパーランドを立ち上げました。

CHOCHAE軸原さんが手がけたお仕事 CHOCHAE軸原さんが手がけたお仕事。 CHOCHAE軸原さんが手がけたお仕事。

Q.能勢さんは、地方にいながらにして、いかにエッジーに生きていくのかということをずっと体現されてきていますよね。実は、僕もいつかお店ができたらいいなと思っているんですが、これだけインターネットが普及してきて、場所という概念が並列化してきているなかで、いま改めて場所の意味というのをどう考えていけばいいと思いますか?

能勢:まず、僕からすると、ネットによって自分の活動をみんなが知ってくれるというのはスゴくありがたいことなんですね。ネットで知ってくれるからこそ、その後によりリアルなものに触れに来ることができるんです。ネットの情報だけで満足される方はそれでもいいし、もっと突っ込んでいきたくなったら、出会うしかないのですよ。その手がかりを作ってくれるのがネットなんです。では、そこで改めて場所の意味を考えてみると、これだけネットで色んな情報やモノを探したり買い物ができる時代に、それに負けてしまうような場所やお店作りをしていてはダメだということですよね。その場所に行くと何か不思議な存在があるとか、品揃えが変わっているとか、そういう何かがないと。

Q.それこそアマゾンなんかにつぶされてしまいますよね。

能勢:そうです。さっきも話したように、店というのはメディアなんですよ。ライブハウスにしてもカフェにしても、お店をメディア化できるかということにすべてはかかっていると思います。そういう意味で、いまお店ほどアナーキーな場所というのはないんです。今日のように、もし屋外にこれだけの人が集まって道路脇とかで話していたら、すぐにパトカーが来て、道路交通法違反だから立ち退いてくださいと言われますよね。ところがお店だと、正当な理由がなければ、警察が玄関をまたぐことはできない。個人の部屋と同じで、なおかつ開かれている側面を持つ。ある意味、不思議な治外法権の場所なんですね。そのお店がいまやらなければならないことは、「いらっしゃい!!」の一言で「内」と「外」をひっくり返すということなんです。歴史を振り返ってみても、お店の中には色々なことが隠されていて、それが世界を変えていった例は多い。それくらいお店というものは可能性を持っているんですが、ひとつの機能だけで捉えてしまった途端、それが消えてしまいます。

インフォメーション

軸原さんが手がけた「トントン紙ずもう」がKOKUYOから発売中。また、とらや東京ミッドタウン店内ギャラリーで開催中の「こけしと出会う」展に企画協力、こけしの選定や物販なども行っている。12月7日18時からは、虎屋菓寮 東京ミッドタウン店にて開催されるトークイベント『こけしと出会いましょう』に野地三起子さん、甲斐みのりさんとともに出演予定。

もっと知りたい人は…

  • 軸原ヨウスケ 

    軸原ヨウスケ

    グラフィック・デザイナー
    cochae

    武田美貴とのグラフィックユニットcochaeのメンバー。 「遊びのデザイン」をテーマに、紙のパズル、グラフィック折り紙、新しい視点を持った玩具の開発等、幅広い創作活動を行っている。 著書に「折りCA」シリーズ、「kokeshi book」(ともに青幻舎)、「武井武雄のこけし」(PIE international)など。 2012年よりパウロ野中(浅草橋天才算数塾)と伝統こけし普及ユニット「コゲスンボコ社」結成。 東北のこけしとBEAMSや虎屋などのタイアップでオリジナルデザインのこけしを手がける。

  • 能勢 伊勢雄 

    能勢 伊勢雄

    「PEPPERLAND」主宰

    1947年生まれ。60年代後半から岡山を中心にエキスパンデッド・シネマの上映会を精力的に開催しながら、日本アンダーグラウンド・センター(現:イメージフォーラム)のかわなか・のぶひろ氏らと交流。その後も多数の映像や写真作品、執筆、美術展企画などを手がけ、2004年には、多岐に渡る活動の全貌を紹介する展覧会『スペクタル能勢伊勢雄1968-2004』が開催された。また、1974年にオープンさせた「ペパーランド」は、岡山のライブハウスのロールモデルとなり、現在まで一貫して新しい表現者たちに門戸を開放している。2010年には、「美学校岡山校」を立ち上げ、校長並びに教程の全般を教導している。