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川勝真一

RADディレクター
リサーチャー

石川秀和

株式会社HLC代表
つくるビル運営責任者

QONVERSATIONS TRIP KYOTO Day1として開催されたRADディレクター/リサーチャー・川勝真一さんによる、シェアオフィス「つくるビル」の運営責任者・石川秀和さんへのインタビュー。建築的領域の可能性をリサーチするインディペンデントプロジェクト「RAD」を設立し、建築と社会の関わり方をリサーチしている川勝さんが、京都にある多くの空き家、空きビルを再生し、クリエイターを軸に据えた新たなコミュニティづくりに取り組んでいる石川さんに、京都で「集う」ことをテーマに話を聞きました。

4. 自分の役割をどう考えていますか?

石川秀和 

自分は美味しい野菜が生産できる農家さんにはなれないので、良い土を使い、水路をつくるということが役割だと考えています。

Q.石川さんの仕事は、どこか外部から人を呼んできて、その人の考え方ややり方をトップダウンで下ろしていくのではなく、街の中にいる人たちをいかにキャスティングしていくかというところに重点が置かれているように感じます。街にいる人たちによって作られる独特のテンションや雰囲気によって生まれてくる状況を大切にされている気がします。

石川:僕はクリエイターではないので、何かが必要な時には、それをつくれる人に頼むんですね。自分は美味しい野菜が生産できる農家さんにはなれないので、良い土を使い、水路をつくるということが役割だと考えています。例えば、絵が描けるということは、それだけで非常に高い能力だと思うのですが、それに自信を持てないクリエイターも多いんですね。そういう人に対して、「あなたにはこういうことができるんじゃないか?」と伝え、ある現場で絵を描いたり、デコレーションをしてもらったりしています。たとえ大きな組織ではなくても、それぞれが自分の役割を認識することで実現できるプロジェクトというのはあって、しかも、それはちょっとしたきっかけで簡単にできてしまうんだということを伝えられたらいいなと考えています。

RADが手がけた堀川商店街内のスペース「堀川common」で開催された地元の人たちとのワークショップ。 RADが関わっている「大見新村」プロジェクト。30年間定住者がいなかった京都市大見町を舞台に、人が暮らしていくための環境を改めて考え、生業をつくり、そこで定住する人を増やしていくことを目指す。 RADが関わっている「大見新村」プロジェクト。30年間定住者がいなかった京都市大見町を舞台に、人が暮らしていくための環境を改めて考え、生業をつくり、そこで定住する人を増やしていくことを目指す。

Q.「表現」というと、絵を描いたり、著作物をつくったりすることだと考えがちですが、広い意味では、街の人全員が何かの表現者だと言えると思うんですね。例えば、選挙で誰を支持するかという考えを表明することも表現のひとつです。「表現すること」の価値という、普段なかなか意識できないものを可視化して、しっかり伝えていくということも、クリエイターにとって大事な役割だと思っています。ただ、それを誰かにやれと言われてやっているようでは、表現者としては本末転倒になってしまうところもありますよね。

石川:そもそもクリエイターというのは自主的に表現する人たちですからね。もともと僕もクリエイターになりたいという思いがあったからこそ、クリエイターの力というものを非常にリスペクトしていますし、そういう人たちが無意識的に街に関わってもらえるようなことができればと。仮に町の人口が3000人程度の規模だと、誰に何をしてもらうのかというキャスティングはもっと明確になると思うんですね。そうした限られたリソースの中で効率的に動いていく工夫がなされていくこともとても重要ですが、京都という街にいるいまの自分の役割はそれとは少し違う。別に誰にも頼まれていないなかで仕事を始めたわけですが、そこにはある種自分の役割を演じているという意識もあります。

Q.比較的”つくる人”が多い京都という場所において、つくるビルのような場所の価値を提案しながら、上手くきっかけづくりをしていくことがいまの石川さんの仕事なのかなと。「あなたはこれをやる人です」と決めつけるのではなく、何か足りないことがあった時に、それができそうな人に対して、あくまでもきっかけづくりをされていて、最終的にその機会をどう活かすのかはその人に委ねている感じがします。

石川:少なくとも、そういう環境がある街とそうじゃない街があったとしたら、多くの人は前者を選ぶと思うんですね。街の人口が増えない限り、結局は人の取り合いになってしまう危険性もあるので、常に人の流れがある状況というものも意識しながら、建物やクリエイターの力によって、良い環境をつくっていけたらと考えています。<インタビュー終わり>

インフォメーション

川勝さんが企画等で関わる「DESIGNEAST 05 CAMP in Kyoto」が、7月26日(土)、27日(日)に大見新村(京都市左京区大原大見町231)で開催される。詳細はこちらから。

もっと知りたい人は…

  • 川勝真一 

    川勝真一

    RADディレクター
    リサーチャー

    1983年生まれ。2008年、京都工芸繊維大学大学院建築設計学専攻修了。現在、京都工芸繊維大学大学院博士後期課程在席、京都造形芸術大学および京都精華大学非常勤講師。2008年に建築的領域の可能性をリサーチするインディペンデントプロジェクト RAD(Research for Architectural Domain)を設立し、建築の展覧会キュレーション、市民参加型の改修ワークショップの企画運営、レクチャーイベントの実施、行政への都市利用提案などの実践を通じた、 建築と社会の関わり方、そして建築家の役割についてのリサーチをおこなっている。

  • 石川秀和 

    石川秀和

    株式会社HLC代表
    つくるビル運営責任者

    1975年千葉県生まれ。大学卒業後、京都市伏見区の家具 製作工房へ入社。その後、カフェ、不動産会社へ転職後、平 成19年に一級建築士齋藤誉征と共に建築デザイン事務所 「sahou design」を設立、個人向けリノベーションの企画・ デザイン会社としてスタート。平成20年に株式会社HLCを 設立、事業用物件向けリノベーション企画会社としてスタ ート。平成23年4月に左京区にて古ビルを再生し「Gallery Ort Project」をスタート。平成24年11月に下京区にて古ビ ルを再生し「共同アトリエビル・つくるビルプロジェクト」を スタート。平成25年5月から地域のお祭り「のきさき市」を スタート。京都を中心にこれまで10棟程度の古ビルを保存 ・再生。建物単体の再生から建物をきっかけとした地域コ ミュニティーの活性化へ踏み出した。