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川勝真一

RADディレクター
リサーチャー

石川秀和

株式会社HLC代表
つくるビル運営責任者

QONVERSATIONS TRIP KYOTO Day1として開催されたRADディレクター/リサーチャー・川勝真一さんによる、シェアオフィス「つくるビル」の運営責任者・石川秀和さんへのインタビュー。建築的領域の可能性をリサーチするインディペンデントプロジェクト「RAD」を設立し、建築と社会の関わり方をリサーチしている川勝さんが、京都にある多くの空き家、空きビルを再生し、クリエイターを軸に据えた新たなコミュニティづくりに取り組んでいる石川さんに、京都で「集う」ことをテーマに話を聞きました。

3. 街との接点はどうつくるのですか?

石川秀和 

僕たちが場所をつくる時は、シェアオフィスだけにするのではなく、一般の人たちにも開いたカフェなどを、街との窓口として作るようにしています。

Q.最近は、地縁・血縁でコミュニティを活性化させていくことはなかなか難しいし、趣味などによって形成されるコミュニティにも限界があるように感じます。そのなかで、共通する働き方やライフスタイルを持ち、同じようなインフラを求めている人たちによってつくられていくコミュニティというのがひとつの核になるんじゃないでしょうか。そういう人たちが集まり、必要とするものをみんなでつくったり、シェアしたりしていくことで周囲に何かが生まれ、それが少しずつ街にも効果を及ぼしていくというコミュニティもあり得るのではないかと思っていて、石川さんのされていることはそれに近い気がしています。

石川:これまでの経験上、つくるビルのように建物ごと活性化していくコミュニティには、ある程度制約が必要です。不特定多数の人に向けた場所というのは、居心地が悪いだけだと思うんですね。ある程度価値観を共有している人たちのために場所をつくるには、何かを切り捨てる必要があると考えていて、「つくるビル」では入居者をアナログのものづくりをしている人に限定しました。でも、デジタル系のクリエイターも下京区に誘致したいという思いはあるので、「SOLUM」「UN」などで受け入れています。ただ、シェアオフィスを運営している身で恐縮なのですが(笑)、これだけシェアという言葉が流行っているからこそ、根本的な意味や、それが求められている理由を考えなければいけないと思っています。空間をシェアしたり、開いたりするという選択肢の他には、当然閉じるという選択肢もあってしかるべきだし、色んな選択肢があった方が良い。一番怖いのは、何も考えずに集ったり、シェアしたりするということだと思っています。

Q.ひとりで閉じて生きていくということもやろうと思えばできますし、そういうライフスタイルを求める人のための住宅はたくさんありますよね。一方で、開いていくためには何か積極的なアクションが必要で、その間口をより広げていくために選択肢のバランスを図っていくことが大切な気がします。石川さんのような人が何かを仕掛けていくことで、初めてそこに乗っかることができる人たちもいますよね。

石川:最近は、京都の街でも学区による連帯感みたいなものは薄まっていますし、若い人たちは町内会費なども払っていないことが多いはずです。そういう価値観の転換期に、いままでしていなかったことをやって、新たに開いていくという行為は、新しい選択肢や問いかけをつくることだと考えています。それによって既存の住民と新しい住民がつながったり、そこから生まれるメリットがあると思うんですね。つくるビルにしても、クリエイターというある意味偏った人種が10組集まっていて、このビルを出入りしています。もしこの場所が開かれていなかったら、住民にとっては恐怖の対象でしかないわけですが、自分たちがどういう人間なのかをちゃんと伝えていくことで、街との新たな関わりが生まれ得る。だから、僕たちが場所をつくる時は、シェアオフィスだけにするのではなく、一般の人たちにも開いたカフェなどを、街との窓口として作るようにしています。

のきさき市 のきさき市

Q.さまざまな活動を通して街と関わられている石川さんですが、街を改善していく上で、外部の環境に求めることは何かありますか?

石川:自分はこれをしたいと自主的に手を挙げる人が多い街は豊かだと思うんですね。空き家、空きビルの再生というのは、当然自分たちだけですべてできるわけではないので、もっとやってくれる人が増えたらいいと思いますし、「のきさき市」にしても、「こんなお祭りを自分の街でもやりたい」と言ってくれる方も実際にいます。大切なことは、自分たちが考えている概念のようなものを伝達し、共有していくことだと思っていて、そこにつなげられる活動にもっと取り組んでいきたいですね。例えば、京都には廃校が20個くらいあって、これを何かに活用できないかと思うわけですが、普段当たり前に触れているものでも、少し目線を変えることで気になってくる存在が山ほどあるんです。それに気づくことができたり、事の善し悪しを判断できる思考を育んでいくことができれば、どんな職種の人でも街を良くしていくことができると思っています。

インフォメーション

川勝さんが企画等で関わる「DESIGNEAST 05 CAMP in Kyoto」が、7月26日(土)、27日(日)に大見新村(京都市左京区大原大見町231)で開催される。詳細はこちらから。

もっと知りたい人は…

  • 川勝真一 

    川勝真一

    RADディレクター
    リサーチャー

    1983年生まれ。2008年、京都工芸繊維大学大学院建築設計学専攻修了。現在、京都工芸繊維大学大学院博士後期課程在席、京都造形芸術大学および京都精華大学非常勤講師。2008年に建築的領域の可能性をリサーチするインディペンデントプロジェクト RAD(Research for Architectural Domain)を設立し、建築の展覧会キュレーション、市民参加型の改修ワークショップの企画運営、レクチャーイベントの実施、行政への都市利用提案などの実践を通じた、 建築と社会の関わり方、そして建築家の役割についてのリサーチをおこなっている。

  • 石川秀和 

    石川秀和

    株式会社HLC代表
    つくるビル運営責任者

    1975年千葉県生まれ。大学卒業後、京都市伏見区の家具 製作工房へ入社。その後、カフェ、不動産会社へ転職後、平 成19年に一級建築士齋藤誉征と共に建築デザイン事務所 「sahou design」を設立、個人向けリノベーションの企画・ デザイン会社としてスタート。平成20年に株式会社HLCを 設立、事業用物件向けリノベーション企画会社としてスタ ート。平成23年4月に左京区にて古ビルを再生し「Gallery Ort Project」をスタート。平成24年11月に下京区にて古ビ ルを再生し「共同アトリエビル・つくるビルプロジェクト」を スタート。平成25年5月から地域のお祭り「のきさき市」を スタート。京都を中心にこれまで10棟程度の古ビルを保存 ・再生。建物単体の再生から建物をきっかけとした地域コ ミュニティーの活性化へ踏み出した。