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川勝真一

RADディレクター
リサーチャー

石川秀和

株式会社HLC代表
つくるビル運営責任者

QONVERSATIONS TRIP KYOTO Day1として開催されたRADディレクター/リサーチャー・川勝真一さんによる、シェアオフィス「つくるビル」の運営責任者・石川秀和さんへのインタビュー。建築的領域の可能性をリサーチするインディペンデントプロジェクト「RAD」を設立し、建築と社会の関わり方をリサーチしている川勝さんが、京都にある多くの空き家、空きビルを再生し、クリエイターを軸に据えた新たなコミュニティづくりに取り組んでいる石川さんに、京都で「集う」ことをテーマに話を聞きました。

2. 空き家をリノベーションする理由は何ですか?

石川秀和 

京都には、古い町家を改修するプレイヤーは多いのですが、何の変哲もない昭和の住宅のようなものをいかに空き家を残していけるかということがひとつのテーマになっています。

Q.最近は、新たに「SOLUM」「UN」というシェアオフィスもつくられましたが、空き家や工場をリノベーションする理由はどんなところにあるのですか?

石川:下京区は、潜在的な空き家というのが結構多いんですね。川勝さんも、ワークショップを通して歴史的な建物を活用するというプロジェクトをされていますが、僕たちの取り組みにしても、自分たちなりのやり方で、いかに空き家を残していけるかということがひとつのテーマになっています。京都には、古い町家を改修するプレイヤーは非常に多いのですが、個人的にずっと気になっていたのは、何の変哲もない昭和の住宅のようなものをどうするかということでした。京都という街にはブランド力があるので、新築の分譲マンションを中心に不動産投資をしている人も多いのですが、そういう層に対して、古くなった昭和住宅を、つくるビルと同じような運用プログラムとセットで買ってくださいという提案をしているんです。その方が単にマンションに投資するよりも社会的意義が高いし、同じ対価が得られるということをお伝えして、それを自分たちの仕事にしているところがあります。

SOLUM UN

Q.これまでの不動産屋さんの役割は、単に物件を仲介するだけというイメージが強かったと思いますが、石川さんの活動を見ていると、街自体をどういう方向性に持っていくかということを考えられる仕事とも言えそうですね。

石川:業界が抱えている構造的な問題自体を変えられるとは思いませんが、莫大な予算をかけるのではなく、少しずつ場所を作っていくことで、「こういう場所もありますよ」と新しい選択肢を提示できればと考えています。実際につくるビルを見て、京都を拠点に働いているクリエイターの存在や、こういう場所に対するニーズがあるということを知らなかったとおっしゃる方もいるんですね。古い建物を持っている京都の大家さんの中には愛着や価値を見出していない人も多いので、磨けば光るんだということを伝えていきたいと思っています。価値観の転換が図れれば、景観条例のような形でコントロールせずとも、街は良くなっていくんじゃないかと妄想しています。

Q.石川さんにとって、「街が良い」というのはどんな状態なんですか?

石川:東日本大震災以降、生き方や働き方の選択肢は増えましたよね。その割には、まだまだいまの若い人や同世代の人たちが、無理なく人間らしく生きられる場所は圧倒的に少ないと思うんですね。仮にうちのような会社が、あと30点くらい同じような商品をつくったとしても、京都の人口や職種と比べると全然足りない。これはあくまでも僕の主観ですが、そういう場所がより多くあるところが良い街と言えるんじゃないかと思っています。また、京都には町家以外の建物も当然たくさんあるのに、町家以外の場所で自分という人間を飾れる箱というのがまだまだ少ないんですね。例えば、川勝さんや僕のように生粋の京都人ではない人たちが自由にできるハコも大切ですし、伝統にとらわれるだけではなく、常に新しいものが生まれてくるということも京都の一側面だと思っています。

インフォメーション

川勝さんが企画等で関わる「DESIGNEAST 05 CAMP in Kyoto」が、7月26日(土)、27日(日)に大見新村(京都市左京区大原大見町231)で開催される。詳細はこちらから。

もっと知りたい人は…

  • 川勝真一 

    川勝真一

    RADディレクター
    リサーチャー

    1983年生まれ。2008年、京都工芸繊維大学大学院建築設計学専攻修了。現在、京都工芸繊維大学大学院博士後期課程在席、京都造形芸術大学および京都精華大学非常勤講師。2008年に建築的領域の可能性をリサーチするインディペンデントプロジェクト RAD(Research for Architectural Domain)を設立し、建築の展覧会キュレーション、市民参加型の改修ワークショップの企画運営、レクチャーイベントの実施、行政への都市利用提案などの実践を通じた、 建築と社会の関わり方、そして建築家の役割についてのリサーチをおこなっている。

  • 石川秀和 

    石川秀和

    株式会社HLC代表
    つくるビル運営責任者

    1975年千葉県生まれ。大学卒業後、京都市伏見区の家具 製作工房へ入社。その後、カフェ、不動産会社へ転職後、平 成19年に一級建築士齋藤誉征と共に建築デザイン事務所 「sahou design」を設立、個人向けリノベーションの企画・ デザイン会社としてスタート。平成20年に株式会社HLCを 設立、事業用物件向けリノベーション企画会社としてスタ ート。平成23年4月に左京区にて古ビルを再生し「Gallery Ort Project」をスタート。平成24年11月に下京区にて古ビ ルを再生し「共同アトリエビル・つくるビルプロジェクト」を スタート。平成25年5月から地域のお祭り「のきさき市」を スタート。京都を中心にこれまで10棟程度の古ビルを保存 ・再生。建物単体の再生から建物をきっかけとした地域コ ミュニティーの活性化へ踏み出した。