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伊藤直樹

クリエイティブ・ディレクター
PARTY

名和晃平

彫刻家
SANDWICHディレクター

京都造形芸術大学にて、情報デザイン学科の教授を務めるクリエイティブ・ディレクター・伊藤直樹さんが、同じく同大学で教鞭をとる名和晃平さんにインタビューしたQONVERSATIONS TRIP KYOTO Day4。東京とニューヨークに拠点を置くクリエイティブラボ「PARTY」の代表を務め、近年はアートの領域にも強い興味を示している伊藤さんが、2009年に京都伏見区に立ち上げた創作のためのプラットフォーム「SANDWICH」のディレクターであり、世界的に注目される彫刻家の名和さんに、京都で「育む」ことをテーマにインタビューしました。

3. 海外留学はいかがでしたか?

名和晃平 

人生をかけて勝負しようとしている人たちが世界中から集まっているから緊張感があるし、そのフィールドに乗り込まないといけないということを思い知ったのが交換留学の時期でした。

Q.名和さんの著書を読むと、哲学書なども色々読まれていて、そこから着想を得て作品のコンセプトがつくられることもあるようですね。例えば、先に話が出た(ルドルフ・)シュタイナーとの出合いというのは、名和さんが自ら興味を持った結果なのでしょうか、それとも教育を受けるなかできっかけが与えられたのでしょうか?

名和:シュタイナーに関しては、たしか18歳の誕生日の時に、姉から本をプレゼントしてもらったのがきっかけだと思います。姉も美大を出ているのですが、その頃哲学などにも傾倒していたんです。でも、それを高校時代にもらった僕は、しばらく受け付けずに読まなかったんですね。その後何年も経ってから、何かをたどっているうちにシュタイナーに興味が出てきて、読むようになりました。

Q.インキュベーションではないですが、本をもらってからしばらくして卵が孵化していった感じですね。

名和:学部時代はどんな本を読めばいいのかわからず、純文学を読みあさった時期などもありました。大学院に進み、論文などを書くにあたり、自分の考えが言葉にならないもどかしさを感じるようになったんです。当時、日本の宗教を研究テーマにしていたのですが、次第に世界の宗教や民族なども調べるようになる過程で、自分が持っている感性にはどういう由来があるのかに興味を持つようになったんですね。そうすると、中世の宗教美術などもリサーチの対象になってくるし、その過程で建築と美術が同時に育ってきた時代があったこともわかりました。また、東洋に目を向けると、戦後の日本のポストモダンと呼ばれるような時代には、さまざまな文化がないまぜになり、ランダムにクリエーションが生まれているように見えてきて、その糸をたどっていきたいと思うようになりました。このように自分の色々な興味と向き合っていくなかで、シュタイナーの造形教育や人智学も自分のインスピレーションソースになっていきました。

名和晃平「Moment#18」(2014)   Photo : Nobutada OMOTE | SANDWICH 名和晃平「Moment#22」(2014)   Photo : Nobutada OMOTE | SANDWICH 名和晃平「Moment#15」(2014)   Photo : Nobutada OMOTE | SANDWICH

Q.名和さんはロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)にも交換留学で行かれていますよね。作品のつくり方やコンセプトなどに対して、常に新しいアプローチで挑戦を続けている教育機関という印象があるのですが、ここでの経験も大きかったのですか?

名和:そうですね。それまで京都芸大の閉鎖的とも言える環境の中で、概念をねちねち考え込むような生活をしていましたが、ロンドンに行くと、情報量ははるかに多く、アーティストが社会的な地位を築き、いまという時代に対して戦っているように見えました。そういうことができるなら自分もやりたいと思いましたし、自分の考えたことをアウトプットした時に、それを受け止めてくれる場があるんだということを感じました。また、RCAにはまさにしのぎを削っている雰囲気があるんですね。人生をかけて勝負しようとしている人たちが世界中から集まっているから非常に緊張感があります。そこからのし上がってくためにはやはり相当タフじゃないといけないわけです。そうした人たちが戦っているフィールドに乗り込まないといけないんだということを思い知った時期でした。自分の中のハードルを上げ切って帰国をして、それからは周りの友人も驚くほど、創作活動をベースにした生活のサイクルが始まり、それが現在も続いているという感じです。

インフォメーション

8月2日から30日まで名和さんが参加するグループ展『Favorite Books』が大阪・ギャラリーノマルで開催予定。また、8月31日まで東京都現代美術館で開催されているグループ展『ミッション[宇宙x芸術]ーコスモロジーを超えて』にも名和さんの作品が出展されています。

もっと知りたい人は…

  • 伊藤直樹 

    伊藤直樹

    クリエイティブ・ディレクター
    PARTY

    静岡県生まれ。ADK、GT、ワイデン+ケネディトウキョウ代表を経て、2011年クリエイティブラボ「PARTY」を設立。チーフクリエイティブオフィサーを務める。京都造形芸術大学教授。これまでにナイキ、グーグル、ソニーなど企業のクリエイティブディレクションを手がける。「経験の記憶」をよりどころにした「身体性」や「体験」を伴うコミュニケーションのデザインは大きな話題を呼び、国際的にも高い評価を得ている。経産省「クールジャパン」(2011)クリエイティブディレクター。「クールジャパン官民有識者会議」メンバー(2011,2012)。

  • 名和晃平 

    名和晃平

    彫刻家
    SANDWICHディレクター

    1975年大阪府生まれ。2003年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士(後期)課程彫刻専攻修了。京都造形芸術大学准教授、2009年京都伏見区に立ち上げた創作のためのプラットフォーム「SANDWICH」ディレクター。2011年、東京都現代美術館で個展 「名和晃平ーシンセシス」開催。その後も2013年の瀬戸内国際芸術祭、あいちトリエンナーレなど、数々の国際展にてサイトスペシフィックな彫刻作品を発表する。同年、韓国チョナン市に大規模な屋外彫刻 “Manifold” を設置。ビーズ、プリズム、発泡ポリウレタン、シリコーンオイルなど様々な素材とテクノロジーを駆使し、彫刻の新たな可能性を拡げている。現在、京都を拠点に活動。