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伊藤直樹

クリエイティブ・ディレクター
PARTY

名和晃平

彫刻家
SANDWICHディレクター

京都造形芸術大学にて、情報デザイン学科の教授を務めるクリエイティブ・ディレクター・伊藤直樹さんが、同じく同大学で教鞭をとる名和晃平さんにインタビューしたQONVERSATIONS TRIP KYOTO Day4。東京とニューヨークに拠点を置くクリエイティブラボ「PARTY」の代表を務め、近年はアートの領域にも強い興味を示している伊藤さんが、2009年に京都伏見区に立ち上げた創作のためのプラットフォーム「SANDWICH」のディレクターであり、世界的に注目される彫刻家の名和さんに、京都で「育む」ことをテーマにインタビューしました。

2. どうやって領域を広げているのですか?

名和晃平 

どんな立場の人でも入ってこられるオープンなクリエイティブプラットフォームという最初のコンセプトだけを貫き、自然といまのような形に広がってきています。

Q.いまお話に出たSANDWICHは、クリエイティブプラットフォームと定義されていますが、アートのみならず建築やインテリア、プロダクトなどにまで領域を広げていますよね。なぜそのような動きをされているのか、とても気になるところです。

名和:最初から明確な青写真があったわけではなく、どんな立場の人でも入ってこられるオープンなクリエイティブプラットフォームという最初のコンセプトだけを貫き、自然といまのような形に広がってきているという感じです。SANDWICHを始める前は、閉じられた個人スタジオのようなものをつくっていたのですが、徐々にスタッフが増えたことから、スタジオのシステムを強化する必要性を感じるようになりました。ちょうどその頃にヨーロッパでいくつか個展の予定などがあったので、スタッフを連れて1ヶ月ほどヨーロッパを回り、そこで色々なスタジオなどを見学させてもらったんですね。その時に訪問したスペインのマドリッドにあるStudio BANANAというところでは、計40人前後のアーティスト、建築家、写真家などさまざまな立場の人たちがスタジオをシェアしていて、カンファレンスやワークショップなどのプログラムも共同で運営していたんです。僕も学生の頃から作品制作の際に建築家や溶接工場の人、アクリル職人さんなどにお世話になることがあったので、何かひとつのプロジェクトがある時に、そこにいるクリエイターだけですべてを完結できてしまうという体制が理想的だと感じ、徐々にSANDWICHの構想が膨らんでいきました。

SANDWICH  Photo : Nobutada OMOTE|SANDWICH SANDWICH   Photo : Sho OGASAHARA|SANDWICH SANDWICH   Photo : Sho OGASAHARA|SANDWICH

Q.もともと名和さんは表現できるものはなんでもつくりたいという欲求が強そうですね。

名和:そうですね。彫刻というジャンルにこだわっているわけではなく、彫刻的な感覚を色んな方向で表現できればと考えています。大学の時は油絵作家を目指していたし、写真や映画も撮りたいと思っていました。街中を歩いていても建築を見たら自分で変えたくなってしまうし、ファッションなどにしてもこういうデザインなら良いのにというのが見えてくると、直接やりたくなるんです。常にそういう視点で見てしまうところがありますね。

名和晃平「PixCell-Coyote#4」(2014)  Photo : Nobutada OMOTE|SANDWICH

Q.名和さんの作品というのは、制作のプロセスでデジタル技術を用い、それを彫刻というアナログの形でアウトプットされていて、先日伺ったアートバーゼル香港の出品作の中でも異質な印象を受けました。美大生でもデジタル領域にアレルギーを示す子は少なくないですが、名和さんはアーティストとして、通常美大などでは教えてもらえないような最新のデジタル技術から哲学、医学などの学問まで、幅広い知識を得られているように感じます。おそらくそれは自ら興味を持って、ある種領域を逸脱していかないと手に入らない知識・ノウハウだと思うのですが、名和さんはそれらをどのように得ていったのですか?

名和:コンピューターやデジタル技術などに関しては、そんなに使いこなしているわけではないんです。でも、これだけデジタルツールに親しんでいる現代の感覚というのは、必ず作品に反映されていくものだと思いますし、いまの世の中にどんな技術や考え方があって、それをどのように使うと表現の可能性が広げられるだろうということを考えながら、常に制作に取り組んでいます。また、子供の頃から変わっていないのですが、好奇心が強く、それをひたすら探求しているだけなのだとも思います。知りたいことがあればそれが分かるまで調べますし、できる限り自ら実践するようにしています。仮に実践することが難しいような場合でも、頭の中では常に多くの思考実験のようなことをしていて、その中でたまたま実現したものが自分の作品なんです。学校で習うことが、そのような好奇心が得られるきっかけになればいいのではないかとか考えています。

インフォメーション

8月2日から30日まで名和さんが参加するグループ展『Favorite Books』が大阪・ギャラリーノマルで開催予定。また、8月31日まで東京都現代美術館で開催されているグループ展『ミッション[宇宙x芸術]ーコスモロジーを超えて』にも名和さんの作品が出展されています。

もっと知りたい人は…

  • 伊藤直樹 

    伊藤直樹

    クリエイティブ・ディレクター
    PARTY

    静岡県生まれ。ADK、GT、ワイデン+ケネディトウキョウ代表を経て、2011年クリエイティブラボ「PARTY」を設立。チーフクリエイティブオフィサーを務める。京都造形芸術大学教授。これまでにナイキ、グーグル、ソニーなど企業のクリエイティブディレクションを手がける。「経験の記憶」をよりどころにした「身体性」や「体験」を伴うコミュニケーションのデザインは大きな話題を呼び、国際的にも高い評価を得ている。経産省「クールジャパン」(2011)クリエイティブディレクター。「クールジャパン官民有識者会議」メンバー(2011,2012)。

  • 名和晃平 

    名和晃平

    彫刻家
    SANDWICHディレクター

    1975年大阪府生まれ。2003年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士(後期)課程彫刻専攻修了。京都造形芸術大学准教授、2009年京都伏見区に立ち上げた創作のためのプラットフォーム「SANDWICH」ディレクター。2011年、東京都現代美術館で個展 「名和晃平ーシンセシス」開催。その後も2013年の瀬戸内国際芸術祭、あいちトリエンナーレなど、数々の国際展にてサイトスペシフィックな彫刻作品を発表する。同年、韓国チョナン市に大規模な屋外彫刻 “Manifold” を設置。ビーズ、プリズム、発泡ポリウレタン、シリコーンオイルなど様々な素材とテクノロジーを駆使し、彫刻の新たな可能性を拡げている。現在、京都を拠点に活動。