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船越雅代

レストラン「Kiln」シェフ
ディレクター

江上昌伸

ワインショップ「ethelvine」

京都・四条木屋町にあるレストラン「キルン」でシェフを務める船越雅代さんが、同じく京都でワインショップ「エーテルヴァイン」を営む江上昌伸さんににインタビューしたQONVERSATIONS TRIP KYOTO Day2。世界各地の一流レストランや船上レストランのシェフなどさまざまな経験を積み、2013年より京都に活動拠点を移した船越さんが、キルンに置かれているほぼすべてのワインをセレクトしているという「エーテルヴァイン」の江上さんに、現在の仕事をはじめるまでの経緯や、自然派ワインならではの魅力などについて聞きました。

4. どんなことを心がけていますか?

江上昌伸 

人間というのは、目の前で感じたものを自分の頭の中にある情報と比較してしまう生き物です。それを認めた上で、自らの身体の声を聞こうとすることが大切だと思っています。

Q.江上さんが特に感動したワインには、どんなものがありますか?

江上:たくさんあるのですが、例えば十数年前に飲んだ仏・ローヌ地方のヴィオニエ種のワイン。これはワイン界の常識からすると絶対NGとされるような、通常の酸化レベルをはるかに超えたワインでした。でも、そのワインの奥から訴えかけてくるようなパワーを感じ、涙が出るほど感動したんです。うれしくなって当時のワイン仲間たちにも飲んでもらったのですが、彼ら全員からケチョンケチョンに言われました (笑)。自分がこんなに感動したものがどうして否定されるんだろうと思い、その問答はいまだに続いているのですが、僕は常々、何かに触れた時に、それが美味しいのか、美しいのかと考える一段階前の感覚をキャッチするということを意識しています。人間というのは、目の前で感じたものを自分の頭の中にある情報と比較してしまう生き物なのだと思うんです。それを認めた上で、自らの身体の声を聞こうとすることが大切だと思っています。

ethelvine presents 完熟ナイト at Kiln

Q.その姿勢はとても共感できます。それが五感なのか何なのかわかりませんが、私も常に開いていたいと思っているし、自分が共感できる人は自らそれを開こうとしている人たちであることが多いんです。例えば、江上さんが企画されている「完熟キャバレー」というイベントにしても、ワインと音楽と食事を通して、感覚を開こうとしているところがある気がします。

江上:音でも香りでも食事でも、人間の粘膜で感じるものはすべてミックスして楽しまないといけないんじゃないかと思っているんです(笑)。例えば、食事の好みが合う人というのは、音楽や映画、ファッションのセンスなども近かったりすることが多いのですが、それはとても重要なことで、五感の共通性みたいなものは絶対にあるんじゃないかと。例えば、ショップに来てくださったお客さんに、今晩つくるミートソースに合うワインを選んでほしいと言われることがあるんですが、なかなか難しいんですね。その方の好みというものがわかっていれば提案しやすいのですが、初めてお会いした方に対しては、一般的にはこういうワインが合うというセオリーあったとしても、それをただ伝えるだけでは許せない自分がいて(笑)。好きな音楽のこととかを根掘り葉掘り聞いてしまうんですが、そこにヒントが隠されているように思うんです。

Q.江上さんはワインを全身で感じようとされていますよね。そんな江上さんが選ぶワインは、身体にとても自然に入ってくる感じがするし、私がつくる素材ありきの料理とも相性が良いと感じています。最後に、江上さんにとってワインとはどんなものなのかを教えて下さい。

江上:僕にとってワインというのは、地球の声というものが非常に大きく表現された作品です。自分はそれを伝えていく仕事をしているわけですが、これはとても難しいことだと感じています。例えば、影響力がある誰かが何かを言うことで、それに影響を受けてしまうというのはとても怖いことだと思うんですね。情報がスピーディになればなるほど、自分の細胞が発している声を聞くよりも先に外部からの情報が入ってきてしまい、そっちに振り回されることになりかねない。僕はそんなに偉そうなことが言えるほどよくできた人間ではないですが、そこで無理矢理にでも力尽くで立ち止まって細胞の声を聞き、それを力尽くではないやり方で人に伝えていけるような場所づくりをしていけると良いなと思っています。<インタビュー終わり>

もっと知りたい人は…

  • 船越雅代 

    船越雅代

    レストラン「Kiln」シェフ
    ディレクター

    幼少より台所を自らの実験室とし、家族や友人をうんざりさせ、時に喜ばせる。ニューヨーク・Pratt Instituteで彫刻を専攻。Institute of Culinary Education卒業後、料理の世界へ。ニューヨークの「Blue Hill」「Union Pacific」「WD50」で勤めた後、オーストラリアのサーフブランドの専属シェフとして、太平洋中をめぐる。ホテル「Tandjung Sari」のエグゼクティブシェフなどを経て、現在は京都「Kiln」のシェフ/ディレクター。元々の畑であるアートと食を融合させた活動の一貫として、「Edible Landscape」を世界各地で実施している。

  • 江上昌伸 

    江上昌伸

    ワインショップ「ethelvine」

    大学卒業後、輸入酒類、食材の商社へ入社。そこでワインと出会い、その後京都のワインショップで経験を積んだ後、2006年、エーテルヴァインを立ち上げる。2012年には岡崎に新店舗を構える。