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tomad

Maltine Records主宰

増田セバスチャン

アートディレクター
6%DOKIDOKIプロデューサー

今回のインタビュアーは、インターネットレーベル「Maltine Records」を主宰し、Tofubeatsをはじめ新進アーティストたちの作品をリリースし、さまざまなイベントなども精力的に開催しているtomadさん。弱冠16歳でレーベルを立ち上げ、昨年大学を卒業したばかりの彼が、”いま話を聞きたい人”として挙げてくれたのは、原宿のショップ「6%DOKIDOKI」のプロデューサーで、きゃりーぱみゅぱみゅのデビュー時から美術演出、世界観作りなども手がけ、日本の「カワイイ」文化を世界に発信し続けている増田セバスチャンさん。そんな増田さんがこれまで歩んできた道のりについて、tomadさんが聞きました。

5. アナログの力って何ですか?

増田セバスチャン 

よく「作品の強度」と言っているんですが、アナログから生まれる作品の影響力というものをもっと感じてもらいたいですね。

Q.きゃりーぱみゅぱみゅは、秋葉原とかで徐々にステップアップしていくアイドルとかとはちょっと違って、突然一気に広がったという印象がありました。ネットなどを通して国内外関係なくフラットにみんなが楽しんでいる状況が衝撃でした。

増田:自分たちからすると段階はしっかり踏んでいて、あとはアイコン待ちという感じだったんです。それまで、原宿のファッションやカルチャーに足りなかったのは音楽だったと思うんですね。例えば、自分ひとりの力ではアナログで1000人くらいを動員するのがいいところですが、そこにきゃりーぱみゅぱみゅというアイコンがいて、音楽と映像があると、拡散のスピードがメチャクチャ早くて、一気に何万という数に広がった。もともと自分たちがやっていることは日本より海外の方が人気があったから、海外への意識は最初から強かったけど、この広がり方は予想外でしたね。いま客観的に振り返ってみると、震災以降、良くも悪くも世界が日本に注目していたタイミングだったからこそ、日本にオリジナルで面白いカルチャーがあるということにも目を向けてくれたんじゃないかなと。

「6%DOKIDOKI PERFECT MOOK」(宝島社) 「6%DOKIDOKI PERFECT MOOK」(宝島社)

Q.6%DOKIDOKIという特定の場所に根付いた活動がある一方で、きゃりーぱみゅぱみゅのようにSNSなどを通してイメージが広がっていくような仕事もあるわけですが、増田さんはインターネットというものとどういう距離感で向き合っていますか?

増田:例えば、これまではアンケートに答えてくれる人以外の人の反応はわからなかったけど、いまは検索すればそれを見ることができますよね。たまにネット上の評価を見たり聞いたりして傷ついたりすることもあるし、面白い見方をする人がいることがわかったり、参考にはしていますね。ただ、僕自身としては、ネットの力は使いつつも、もっとアナログなことをやっていきたい。いま現地にいる子たちを集めて、ワークショップをしながら作品を作るというプロジェクトをやっているのですが、そういうアナログから生まれるような活動をもっとやりたいですね。よく「作品の強度」と言っているんですが、アナログから生まれる作品の影響力というものをもっと感じてもらいたい。それによってさらに楽しいものが生まれるはずだし、そういう活動を続けていきたいですね。

日本テレビ「PON!」 日本テレビ「PON!」

Q.増田さんは以前に別のインタビューで、ストリートから出てきてグラスルーツで広がる表現が主流になっていくという話をされていて、それには僕も共感します。増田さんの活動は、若い世代を巻き込みながら、まさにそういったグラスルーツな表現を先導していると思いますが、いま若い人たちに伝えたいこととかはありますか?

増田:若い世代のエネルギーというのはいつの時代も変わらないものなので、それをちゃんと有効利用できるといいなと思います。僕自身、社会に対して抱いていた憤りや、認めてもらいたいという思いから活動をしてきたところがあって、その結果原宿の小さいお店から何かが起きて、何かが変わった。簡単に起きることではないかもしれないけど、もしかしたら僕じゃなくて、いまこれを読んでいるあなたがそれをできるかもしれない。みんながそれに気づいて拳を振り上げれば何かが生まれるんじゃないかなと思うし、自分の活動がそういうことを考えるきっかけになるといいですね。

Q.最後に、今後の活動について教えて下さい。

増田:先日テレビの企画で、子どもたちに嫌いなものや苦手なものを持ってきてもらい、それをカラフルにすることによって好きになってもらうというワークショップをやったんですね。いまもその延長で、色の力を作ったワークショップなどを続けているんですが、こういうアートのもたらす影響力を感じてもらえるような活動をしていきたいと思っています。お金儲けはできないけど、こういうことならできるという表現者は、音楽やアートの世界にはたくさんいるし、そういう力に少しでも気づいた人たちが未来を作っていけば、もっと生きやすい世の中になるんじゃないかと。微力ながらもそのお手伝いができたらいいなと思っているし、そのためにも下の世代から信じられる大人だと思われることも大事だなと思っています。<インタビュー終わり>

インフォメーション

6%DOKIDOKI初のブランドムック「6%DOKIDOKI PERFECT BOOK」(宝島社)、増田セバスチャンさんの著書「家系図カッター」(角川グループパブリッシング)がそれぞれ発売中。
tomadさん出演のトークイベント「YOAKE Vol.2」が、5月28日に渋谷クラブクアトロで開催予定。

もっと知りたい人は…

  • tomad 

    tomad

    Maltine Records主宰

    2005年にインターネットレーベル「Maltine Records」を設立。同時期にDJ活動も開始。2009年から都内のクラブにて自身のイベントオーガナイズも行っている。また、アーティストとファンをつなぐクラウドファンディングプラットフォーム「PICNIC」の運営も手掛ける。

  • 増田セバスチャン 

    増田セバスチャン

    アートディレクター
    6%DOKIDOKIプロデューサー

    1970年生まれ。演劇・現代美術の世界で活動した後、1995年に表現の一環として、"Sensational Kawaii"が コンセプトのショップ「6%DOKIDOKI」を原宿にオープン。2009年より原宿カルチャーを世界に発信するワールドツアー「Harajuku"Kawaii"Experience」を開催。原宿、 Kawaiiカルチャーの第一人者として、執筆・講演多数。きゃりーぱみゅぱみゅの「PONPONPON」など多くのMVやワンマンライブ、TOWA TEI「WORDY」MV、宮本亜門演出のミュージカル「ウィズ~オズの魔法使い~」、日本テレビ「PON!」の番組セットなど、多方面で美術演出を担当。原宿、kawaiiカルチャーをコンテクストとしたアートデ ィレクションを行っている。