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tomad

Maltine Records主宰

増田セバスチャン

アートディレクター
6%DOKIDOKIプロデューサー

今回のインタビュアーは、インターネットレーベル「Maltine Records」を主宰し、Tofubeatsをはじめ新進アーティストたちの作品をリリースし、さまざまなイベントなども精力的に開催しているtomadさん。弱冠16歳でレーベルを立ち上げ、昨年大学を卒業したばかりの彼が、”いま話を聞きたい人”として挙げてくれたのは、原宿のショップ「6%DOKIDOKI」のプロデューサーで、きゃりーぱみゅぱみゅのデビュー時から美術演出、世界観作りなども手がけ、日本の「カワイイ」文化を世界に発信し続けている増田セバスチャンさん。そんな増田さんがこれまで歩んできた道のりについて、tomadさんが聞きました。

4. なぜ引きこもりが大切なんですか?

増田セバスチャン 

自分のダメさとかを見つめ直す大切なタイミングだと思うし、簡単に未来には行けないですからね。20代というのはどんな人にも苦しい時期だと思うし、むしろそれを楽しんだ方がいいですよ。

Q.僕は中高が男子校で、女の子との触れ合いもなく、つまらない時代を過ごしていたんですね。ちょうどその頃ブロードバンドが普及して、世界中の音楽がダウンロードできるようになったり、YouTubeなんかも出てきて、インターネットに走るようになったんですが、増田さんは学生の頃どんな時代を過ごしていましたか?

増田:僕が高校生の頃はポケベルしかなかったけど、それはそれで結構面白い道具でしたね(笑)。実は、自分の中で最高だった時代は小学生の頃で、いまでも当時の感覚に戻りたいという思いがあります。あの頃の自由な感覚とかは大人になるとどんどん忘れてしまうし、当時は同じものを見たとしても、いまとは全然違う風に見えていたと思います。中学以降は喧嘩が強い人ほどモテるようになり、僕もそういうヤンキー文化に取り込まれ、逆に不自由になっていく感覚がありました。一応自分もそういう方向に行くんだけど、実は全然楽しくないし、ダサいし、いま思い返すと黒歴史でしたね(笑)。このまま大学に行っても自分はダメだと思い、大阪に行くことにしたんです。結局大阪でも学校には行かず、引きこもるようになったんですが、お金もやることもないから図書館に行くようになったんです。そこで色んな本を読んでいるうちに寺山修司の本と出合い、既成概念にこだわらない新しいことをしようと思い、東京に戻ってきたんです。

Q.僕も”ネトゲ廃人”じゃないですが、ネットゲームばかりやっている時期がありました。ネトゲで同じような境遇の人と話したり、チャットで仲良くなった女の子と実際に会ってみたりしたんですが、別に何ができるわけでもなく、すれ違っていくみたいな(笑)。

増田:僕の時代にネットがあったら自分もヤバかったと思う(笑)。でも、そういう時期は、自分のダメさとかを見つめ直す大切なタイミングだと思うし、簡単に未来には行けないですからね。特に20代の頃というのはどんな人にとっても苦しい時期だと思うし、むしろそれを楽しんだ方がいいですよ。食えない時期を過ごせるのも20代しかないですからね。僕の周りにも20代でブレイクした人はたくさんいたし、それによって焦ったりもしたんだけど、結局早くブレイクし過ぎると、その後の引き出しが足りなくなったりもする。どこでブレイクするかとか、生活が成り立つかということと、その人の実力の蓄積というのは比例するわけではないんですよね。

きゃりーぱみゅぱみゅ「PONPONPON」Music Video

Q.僕は表に出るタイプではないので、周りのアーティストがステップアップしていくなかで、それをまとめる役目になっていくのかなということは何となく感じています。まだまだどうなるかわからないですが。

増田:僕も以前は表に出たくなかったんです。でも、『家系図カッター』で全部さらけ出してからは、結局自分が出ちゃった方が早いなと思うようになりました。その直後に『PONPONPON』の話が来たんですけど、きゃりーちゃんの時も自分が前に出ようと思ったわけではなく、彼女は”不思議ちゃん”扱いとかされたら嫌だなというのがあったんです。そういう扱いをされないためにも、中田(ヤスタカ)さんも含め、突っ込みどころがない大人がしっかり出て話した方がいいのかなという考えがありました。僕のやっている仕事は、幼児的なモチーフなども多いから偏見を持たれがちで、「これ◯◯系でしょ?」みたいに軽く扱われることが多いんですが、それが嫌で。ここに行き着くまでに色んなバックボーンやストーリーがあるから、そういうものも踏まえた上で、どんなことを突っ込まれてもすべて説明できるような隙のない世界観を作るように心がけているんです。<続く>

インフォメーション

6%DOKIDOKI初のブランドムック「6%DOKIDOKI PERFECT BOOK」(宝島社)、増田セバスチャンさんの著書「家系図カッター」(角川グループパブリッシング)がそれぞれ発売中。
tomadさん出演のトークイベント「YOAKE Vol.2」が、5月28日に渋谷クラブクアトロで開催予定。

もっと知りたい人は…

  • tomad 

    tomad

    Maltine Records主宰

    2005年にインターネットレーベル「Maltine Records」を設立。同時期にDJ活動も開始。2009年から都内のクラブにて自身のイベントオーガナイズも行っている。また、アーティストとファンをつなぐクラウドファンディングプラットフォーム「PICNIC」の運営も手掛ける。

  • 増田セバスチャン 

    増田セバスチャン

    アートディレクター
    6%DOKIDOKIプロデューサー

    1970年生まれ。演劇・現代美術の世界で活動した後、1995年に表現の一環として、"Sensational Kawaii"が コンセプトのショップ「6%DOKIDOKI」を原宿にオープン。2009年より原宿カルチャーを世界に発信するワールドツアー「Harajuku"Kawaii"Experience」を開催。原宿、 Kawaiiカルチャーの第一人者として、執筆・講演多数。きゃりーぱみゅぱみゅの「PONPONPON」など多くのMVやワンマンライブ、TOWA TEI「WORDY」MV、宮本亜門演出のミュージカル「ウィズ~オズの魔法使い~」、日本テレビ「PON!」の番組セットなど、多方面で美術演出を担当。原宿、kawaiiカルチャーをコンテクストとしたアートデ ィレクションを行っている。