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寺井元一

株式会社まちづクリエイティブ代表

和多利浩一

キュレーター
ワタリウム美術館

今回カンバセーションズに初登場するのは、アーティスト、クリエイターらを交えながら、千葉・松戸で”クリエイティブな自治区”の創造を目指す「MAD Cityプロジェクト」を推し進める株式会社まちづクリエイティブ代表の寺井元一さん。そんな寺井さんがインタビュー相手として指名したのは、現代美術を中心に扱う東京・渋谷の私立美術館「ワタリウム美術館」でキュレーターを務める和多利浩一さん。国内外で開催された数々の展覧会やアートプロジェクトなどにも関わりながら、青山キラー通り商店会会長、原宿地区商店会連合会会長、原宿神宮前まちづくり協議会代表幹事など、まちづくりにも関わってきた経験を持つ和多利さんに寺井さんが迫ります。

2. 街に出てみていかがでしたか?

和多利浩一 

街の内側に入っていくということはあまりに時間がかかってしまうし、自分の中のエッジの部分が削られてしまうんじゃないかと感じるようになったんです。

Q.ワタリウム美術館という器を持ちつつ、商店会長を務めたり、まちづくり協議会を作ったりと、まちづくりの代表者的な立ち位置でも活動をされてきた和多利さんのような存在は、非常に特殊だなと感じます。

和多利:30代くらいの頃は、街の重鎮たち3人くらいを同時に相手にして、ひとりで議題を作って、司会をして、議事録も取って全員に送るということをずっと続けていましたね。ただ、どういう街にしたいかということをみんなで議論するために作った協議会だったのですが、どうしても「あいつは嫌いだからダメだ」という論調になってしまって、あまり機能しなかったんですね。ろくに議論もせずに権力のある人たちの都合の良いように物事が進んでいくところがあって、ここには未来がないんじゃないかと思ってしまったんです。街の内側に入っていくということはあまりに時間がかかってしまうし、自分の中のエッジの部分が削られてしまうんじゃないかと感じるようになったんです。

ビル・ウッドロー 「ハサミ/原宿駅ホーム」  「水の波紋」展より 宮島達男 「キャットストリーの砂場 1995」  「水の波紋」展より

Q.チャレンジすることができなくなってしまったと。

和多利:そうです。街の中で活動をしていた時は、色々な提案を受けて、それをさばいていく側だったのですが、それだとすべてがセーフティなものになってしまうんです。でも、アートをやっている以上、トガッていたいという思いもあるし、そこがワタリウム美術館や私自身の役割なのかなと。いまでも基本的には整合性を取って物事を進めることが大事だと思っているし、できる時はそうした方がいいですが、本当にやりたいことがある時は、ゲリラでもやってしまえる立場にいたいなと。

Q.もしいまも和多利さんが商店会や協議会にいたら、それはそれで素晴らしかったのではないかとも思ってしまいます。

和多利:突き詰めていった結果、区長が変わらなければ何も始まらないというところに行き着いたんです。みんなでまちづくりをしなければという思いで区長選を戦ったのですが、最後にはコテンパンに負けました。やっぱり選挙は色んな意味で大変だったし、普通の世界ではない。こういうところでやってもダメだなと正直思ったし、それ以来まちづくりからは身を退くようになりました。私はせっかちなので、すぐに変わらないとダメだという意識が強かったのですが、そういうスパンで考えるとなかなか難しいんですよね。また、両親が倒れてしまったこともあって時間的な余裕もなくなったし、まずは本業を潰さないためにも、自分のアイデアはそちらに使っていこうと考えるようになりました。<続く>

インフォメーション

MAD Cityエリア内に誕生したアーティスト・イン・レジデンス「PARADISE AIR」では、新たな公募アーティストの長期滞在が予定されており、審査結果の発表のほか、クラウドファンドでの支援も募集中。また、MAD Cityでも随時イベント等が開催中。詳細はこちらから。

もっと知りたい人は…

  • 寺井元一 

    寺井元一

    株式会社まちづクリエイティブ代表

    1977年生まれ。2002年にNPO法人KOMPOSITIONを設立。表現者に活動の場や機会を提供する活動を始める。横浜・桜木町の壁画プロジェクト「桜木町 ON THE WALL」や、渋谷・代々木公園でのストリートバスケ大会「ALLDAY」などを企画運営。2010年、まちづクリエイティブを設立し、「MAD Cityプロジェクト」開始。以降、「MAD City不動産」の運営、地域アートプロジェクト「松戸アートラインプロジェクト」の運営などに携わる。現在はエリアの町内会などを主体とする地域経営組織「松戸まちづくり会議」の事務局長も務めている。

  • 和多利浩一 

    和多利浩一

    キュレーター
    ワタリウム美術館

    ワタリウム美術館キュレーター。東京都渋谷区出身。1980年オンサンデーズ設立。美術書籍の出版社イッシプレス設立後、1990年ワタリウム美術館開館。ドイツのドクメンタ9で初の日本人スタッフ、第1回南アフリカ・ヨハネスブルグ・ビエンナーレ日本代表コミッショナーなど国内外で活動。地域ボランティアとして、青山キラー通り商店会会長、原宿地区商店会連合会会長、原宿神宮前まちづくり協議会代表幹事なども務め、街づくりに参加してきた。