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谷口真人

アーティスト

高橋智隆

ロボットクリエイター

今回のインタビュアーは、アニメ少女のモチーフを独自の手法で表現したペインティング、映像インスタレーションなどの作品で注目を集めるアーティスト、谷口真人さん。その谷口さんがインタビュー相手として指名したのは、日本を代表するロボットクリエイターとして、オリジナル作品から企業との共同プロジェクトまでさまざまな仕事を展開し、各メディアからも引っ張りだこ状態の高橋智隆さん。三次元と二次元、物質とイメージなどの狭間に生じるものを作品テーマに据えてきた谷口さんが、物質としてのロボットを作り続けてきた高橋さんに、いま聞きたいこととは?

5. 人間にとってロボットとは何ですか?

高橋智隆 

ロボットが好きな理由は、そこに人間や生物的なものを感じるからで、そこを今後活かしていくには、コミュニケーションツールとしての役割しかないだろうと。

Q.グランドキャニオンの断崖絶壁に挑戦した「エボルタ」などを見ていると、少し不自由で苦労していそうに見えるからこそ、可愛らしさを感じるのかなと思います。他のロボットにしても、喋る時に少しタイムラグがあったりして、そういうところが共感を生んでいるのかなと。

高橋:なるべく性能は上げたいと思っているんですが、現在の技術ではできないこともあるんですね。もしそこで外観だけカッコ良いロボットにしてしまうと、違和感が出てしまう。だから、あえて半人前的な感じにした方が良いかなと思っているところがあります。

2本のEVOLTA乾電池を動力に、グランドキャニオンの断崖絶壁の登頂に成功した「エボルタ」。

Q.共感してもらうために、あえて隙をつくるという意識はありますか?

高橋:それはないですね。本当はもっと完璧なものを作りたいんです。例えば、動きなどにしても、アニメやCGのようにもっとシャカシャカ動く感じにしたい。夏休みの電子工作みたいな素朴なものとは対極にあるような、不安定さや無駄な動きがないロボットを現実の世界に作りたいんです。


2本のEVOLTA乾電池を動力に、グランドキャニオンの断崖絶壁の登頂に成功した「エボルタ」。

Q.ロボットの話になるとよく「不気味の谷」のことを耳にするのですが、高橋さんがつくるロボットは、どんな位置付けのものだと思われますか?

高橋:僕のロボットは「不気味の谷」の前の段階にあるもので、キャラクターとして最も好感度が高いところを狙って作っています。わざわざその谷を超える必要はないなと。

Q.そもそも人間にとって、ロボットの存在とはどんなものだと思いますか?

高橋:例えば、ヒューマノイドを作っている人たちは、まずみんなそれが好きだというのがあると思うんですね。それはそれでいいとして、じゃあそれにどんな役割があるのかというと、まだ良い答えは出ていないですよね。人間と同じサイズで設計されたロボットが、果たして生活空間の中でどれだけ役に立つかというと、いまいち誰も腑に落ちていないし、機能自体はどんどん進化していても、なかなか次のステージには進めていない。僕個人のことで言うと、ロボットが好きな理由は、そこに人間や生物的なものを感じるからで、そこを今後活かしていくには、コミュニケーションツールとしての役割しかないだろうと。例えば、アニメに出てくる「目玉おやじ」や「ティンカー・ベル」など、人間ではない物知りなヤツはみんな小さくて、それを人は自分の肩や頭、ポケットなどに忍ばせている。そこに人間の本能的な欲求があるのかもしれないなと思うんです。それがスマートフォンに代わる情報端末として、15年後には一人1台持ち歩くような存在になると考えています。<インタビュー終わり>

もっと知りたい人は…

  • 谷口真人 

    谷口真人

    アーティスト

    美術家。1982年生まれ。東京都出身。東京芸術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。これまでの主な展覧会に、個展に「Summer 2011」(2011年/Lamp harajuku B1 gallery)、「アニメ」(2011年/SUNDAY ISSUE)、「Makoto Taniguchi : Your Cinderella」(2009年/来来)、「neoneo展part1[男子]」(2009年/高橋コレクション日比谷)などがある。

  • 高橋智隆 

    高橋智隆

    ロボットクリエイター

    1975年生まれ。2003年京都大学工学部卒業と同時に「ロボ・ガレージ」を創業し、京大学内入居ベンチャー第1号となる。代表作に「ロピッド」「エボルタ」「週刊ロビ」「FT」「Gabby」など。ロボカップ世界大会5年連続優勝。米TIME誌「2004年の発明」、ポピュラーサイエンス誌「未来を変える33人」に選定。エボルタによるグランドキャニオン登頂、ルマン24時間走行等に成功し、ギネス世界記録認定。2013年夏に国際宇宙ステーションに向けロボット打ち上げ予定。(株)ロボ・ガレージ代表取締役、東京大学先端研特任准教授、福山大学/大阪電気通信大学客員教授、ヒューマンキッズサイエンスロボット教室顧問。