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田中良治

ウェブデザイナー

鈴木 健

「SmartNews」代表取締役

今回カンバセーションズに初登場するのは、ウェブサイトのデザインから展覧会での作品発表まで、デザイン/プログラミング領域で多彩な活動を展開している「セミトランスペアレント・デザイン」の田中良治さん。その田中さんがインタビューするのは、日本発のニュースアプリとして人気を獲得している「SmartNews」の共同創設者であり、著書『なめらかな社会とその敵』や、仮想通貨「PICSY」などでも知られる鈴木健さん。学術分野からベンチャービジネスまで、多岐にわたる領域を行き来している鈴木さんに、田中さんが聞きたいこととは?

4. どうしてニュースアプリなのですか?

鈴木 健 

差別や偏見を生む根源になっている情報配信のアーキテクチャをつくりあげたいという思いがあるんです。

Q.パーソナライズされたニュースはあまり求められないということですが、将来それが変わっていくということもあると思いますか?

鈴木:これしかないという体験を提供できれば、自ずと変わっていくと思っています。それができれば全体の1%に過ぎなかったニーズが10%、20%に上がっていくことはあるでしょうし、そのためには良い体験を提供していくことが絶対必要です。例えば、iPhoneが2007年に出てきた時は、こんなにスマートフォンが普及する世の中が来ると思っていた人はほとんどいなかったですし、それが顕在化してきたのは2011年頃ですよね。「SmartNews」は、一度パーソナライズニュースを諦めたことで生まれたものですが、アーキテクチャとしてはパーソナライズニュースの方が面白いし、技術的な夢もあるわけです。ただ、それを最初からユーザーに提供してもうまくいかないので、まずはジェネラルニュースから入り、徐々にパーソナライズしていくというアプローチを取っているんです。

Q.パーソナライズされたニュースのニーズを高めていくことで、世の中はどう変わると考えているのですか?

鈴木:最初に話した教育の話に戻るんですが、いまの学校教育は、国語、数学、理科、社会などの教科に分類されているから、例えば社会を勉強している時は、国語の勉強はしないということになっている。本来そんなことはないはずなのに、分類をしてしまうことで人は制約されてしまうと思うんです。ニュースにしても同じで、いま多くの人たちは自分が住むマンションの近所にあったコンビニがなくなったという身近なニュースと、地球の裏側で起きた犯罪を全く別の情報として認識してしまっていて、それはひとえにメディアの影響によるものなんです。これらの情報をひとつの世界の中でなめらかにつなげるにはどうすればいいかということを考えていくと、その人の興味や体験を元にした最適な情報が得られるアーキテクチャをつくるということに行き着くんです。

Q.以前に「2NN」という2ちゃんねるで話題になったニュースを読むことができるサイトをよく使っていた時期があったんですね。そこに出ていた情報には、世の中が大きく取り上げられるニュースとは違うものも多かったんですが、このサイトによって、ものの見方やニュースの読み方が大きく変わったという体験がありました。

鈴木:ザ・イエローモンキーの「JAM」という曲に、「外国で飛行機で墜ちました。ニュースキャスターは嬉しそうに『乗客に日本人はいませんでした』と伝えています。こんな時に僕は何を思えばいいんだろう」という歌詞が出てくるんですね。このニュースキャスターは、日本人というカテゴリに基いた情報を届けているわけですが、日本に住んでいる人が全員日本国籍なわけではないですし、たとえ日本人の乗客がいなかったとしても、そのニュースが自分と関連している人もいるはずです。実際に人が亡くなっているのに、それを嬉しそうに伝えるという状況は何かが間違っていると思うし、そういう差別や偏見を生む根源になっている情報配信のアーキテクチャをつくりあげたいという思いがあるんです。<続く>

もっと知りたい人は…

  • 田中良治 

    田中良治

    ウェブデザイナー

    株式会社セミトランスペアレント・デザイン代表取締役。1975年三重県生まれ。同志社大学工学部、岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー卒業。企業ブランディング、ウェブ広告の企画・制作から国内外の美術館・ギャラリーでの作品展示までウェブを核とした領域にとらわれない活動を行っている。近年の活動にセミトランスペアレント・デザイン退屈展(ggg)や光るグラフィック展(G8)の企画がある。2015年JAGDA新人賞受賞。

  • 鈴木 健 

    鈴木 健

    「SmartNews」代表取締役

    1998年慶応義塾大学理工学部物理学科卒業。2009年東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。情報処理推進機構において、伝播投資貨幣PICSYが未踏ソフトウェア創造事業に採択、天才プログラマーに認定。著書に『なめらかな社会とその敵』(勁草書房、2013年)。東京財団研究員、国際大学グローバル・コミュニケーションセンター主任研究員など歴任し、現在、 東京大学特任研究員。2006年4月株式会社サルガッソー設立、代表取締役社長就任。2012年6月スマートニュース株式会社(創業時社名:株式会社ゴクロ)に共同創業者として参画、取締役に就任。2014年6月代表取締役会長共同CEO就任。SmartNews米国版ローンチのため米国法人SmartNews International. Inc.を設立、Presidentに就任し、2014年10月日米のニュースを同時に楽しめる SmartNews 2.0を日米同時リリース。海外メディアとの連携を進めながら、世界中の良質な情報をなめらかに発信中。