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田中良治

ウェブデザイナー

鈴木 健

「SmartNews」代表取締役

今回カンバセーションズに初登場するのは、ウェブサイトのデザインから展覧会での作品発表まで、デザイン/プログラミング領域で多彩な活動を展開している「セミトランスペアレント・デザイン」の田中良治さん。その田中さんがインタビューするのは、日本発のニュースアプリとして人気を獲得している「SmartNews」の共同創設者であり、著書『なめらかな社会とその敵』や、仮想通貨「PICSY」などでも知られる鈴木健さん。学術分野からベンチャービジネスまで、多岐にわたる領域を行き来している鈴木さんに、田中さんが聞きたいこととは?

3. 「SmartNews」はなぜヒットしたのですか?

鈴木 健 

アメリカなどでもパーソナライズされたニュースリーダのすべてが失敗している。そこで、ジェネラルニュースをベースにしたシステムにして、それがヒットしたたんです。

Q.健さんは研究的なことをされながら、それらの成果をもとに「PICSY」や「SmartNews」なども立ち上げていますが、健さんの中で研究と実装の関係性はどうなっているのですか?

鈴木:例えば、「PICSY」を実装するということが自分の一番やりたいことかというとそうではないんですね。自分が興味を持っているのはもっと根本にあるコンテクストで、「PICSY」はその実践のひとつなんです。でも、いざ「PICSY」のようなものをつくると、人はその運用などにばかり興味を持って聞いてくるわけですが、僕が本当に興味があるのはそこではない。じゃあそれは一体何なんだろうとずっと考えていて、2003年頃に「なめらかな社会」という言葉が降りてきたんです。それから足掛け10年で『なめらかな社会とその敵』という本を出版するに至りました。

Q.やはり「SmartNews」もそうした流れの延長にあるものなのですか?

鈴木:僕が2004年につくったRSSリーダーがあるのですが、それは友人などが面白いと思っているコンテンツが伝搬していくような仕組みのものでした。当時は、FacebookやMixiなどのSNSが出てきた時期で、その先駆け的な存在として、Friendsterなどもあり、それら初期のSNSにインスパイアされ、情報のリコメンデーションシステムを作りたいと考えたことがきっかけでした。そのシステムは、いまでいうTwitterのように片方向リンクの考え方をベースに、ある人をフォローすることで情報が広がっていくという仕組みだったのですが、自分の周りの情報と地球の裏側の情報が同じアーキテクチャの中にあるというものをつくりたかったんですね。ただ、FacebookのシェアやTwitterのRT、TumblrのリブログなどSNS上で情報が伝搬していくという流れができたのは09年頃だったので、当時僕らがやっていたことは早過ぎたところがありました。その後、2011年に「SmartNews」の共同経営者である浜本階生とともにTwitterでのリツイート数に応じてニュースを配信する「Crowsnest」というサービスを立ち上げ、それが「SmartNews」の原型になっています。

Q.「Crowsnest」はあまりうまくいかなったのですか?

鈴木:そうですね。「Crowsnest」というのは、基本的にはパーソナライズされたニュースを届けるものだったんですが、現時点では、パーソナライズされたニュースを読みたいという人は全体の約1%程度で、顕在的なニーズが圧倒的に少なかったんです。アメリカなどでもパーソナライズされたニュースリーダーはこれまでたくさんあったんですが、すべてが失敗しているんです。そこで、「SmartNews」はジェネラルニュースをベースにしたシステムにして、それがヒットしたんです。<続く>

もっと知りたい人は…

  • 田中良治 

    田中良治

    ウェブデザイナー

    株式会社セミトランスペアレント・デザイン代表取締役。1975年三重県生まれ。同志社大学工学部、岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー卒業。企業ブランディング、ウェブ広告の企画・制作から国内外の美術館・ギャラリーでの作品展示までウェブを核とした領域にとらわれない活動を行っている。近年の活動にセミトランスペアレント・デザイン退屈展(ggg)や光るグラフィック展(G8)の企画がある。2015年JAGDA新人賞受賞。

  • 鈴木 健 

    鈴木 健

    「SmartNews」代表取締役

    1998年慶応義塾大学理工学部物理学科卒業。2009年東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。情報処理推進機構において、伝播投資貨幣PICSYが未踏ソフトウェア創造事業に採択、天才プログラマーに認定。著書に『なめらかな社会とその敵』(勁草書房、2013年)。東京財団研究員、国際大学グローバル・コミュニケーションセンター主任研究員など歴任し、現在、 東京大学特任研究員。2006年4月株式会社サルガッソー設立、代表取締役社長就任。2012年6月スマートニュース株式会社(創業時社名:株式会社ゴクロ)に共同創業者として参画、取締役に就任。2014年6月代表取締役会長共同CEO就任。SmartNews米国版ローンチのため米国法人SmartNews International. Inc.を設立、Presidentに就任し、2014年10月日米のニュースを同時に楽しめる SmartNews 2.0を日米同時リリース。海外メディアとの連携を進めながら、世界中の良質な情報をなめらかに発信中。