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環ROY

ラッパー

角田光代

小説家

今回カンバセーションズにインタビュアーとして初登場するのは、今年4月に4枚目となるオリジナルアルバム「ラッキー」をリリースしたラッパーの環ROYさん。ヒップホップの解釈を押し広げながら、精力的な活動を続けている環さんがインタビュー相手として指名したのは、「空中庭園」「八日目の蝉」「対岸の彼女」など数々のベストセラー作品を世に送り出してきた作家・角田光代さん。同じ言葉を操る仕事を生業とし、人生の先輩でもある角田さんに、果たして環さんはどんな質問を投げかけるのでしょうか?

3. 周りのことは気にならないんですか?

角田光代 

ボクシングやマラソンとか徹底的に敵わない世界に身を置いたことで、人と競うことよりも、まずは自分の闘争心と戦わないといけないということを学びました。

Q.以前に他のインタビューで、周囲の状況や他人のことが全く気にならないという話をしていましたよね。そういう純度が高い状態で創作に集中できるのは凄く難しいことだと思っていて、羨ましいなと感じます。そう思えるようになったきっかけは何かあったんですか?

角田:ボクシングジムに通い始めたことと、マラソンを始めたことですね、ボクシングジムというのは、基本的にはボクサーになりたい人が来る場所じゃないですか。でも私は始めたのが33歳で、しかも女性だし、まさかプロになろうなんて思ってないわけで。言ってみれば、始めた時から負け戦なんですよね。もともと私は運動が苦手だし、マラソンにしても早くなりたくてやっているわけではない。そういう負け戦を続けていると、誰と戦ってもしようがないということが、身体を通して嫌というくらいわかってくるんですね。それからは誰かと競うとか、人と比べて苦しむようなことがなくなったんです。

Q.凄く参考になります。やっぱり「同世代」とか「音楽」という括りで、周りの人が気になるんですよ。「なんだろうな、この差は」みたいなことを考えちゃったりするんです。

角田:以前は私も「あの人は凄い売れてる」とか「こういう賞をもらった」とか他人の仕事ぶりばかり気にしたり、羨ましく思うことが多かったんです。そういうのは結局自分の闘争心みたいなものがネックになっているんだと思うんですね。ボクシングやマラソンとか徹底的に敵わない世界に身を置いたことで、人と競うことよりも、まずは自分の闘争心と戦わないといけないということを学びました。

Q.僕も運動します! いつも角田さんは9時に仕事場に出勤して、5時には帰るそうですが、毎日自分のペースを守って働いているのも、周りを気にしないためなんでしょうか?

角田:それはあまり関係なくて、単に習慣というか癖のようなものですね。だから、例えば前日に飲み過ぎて、翌日仕事を始めるのが10時とかになると、凄くズルしたような気になっちゃうんです(笑)。あまりに慣れ過ぎた結果、少しでも狂うとサボった気持ちがしちゃうようになってしまいました。でも、9時から5時までずっと集中してるわけでもなく、集中が切れてネットで料理の手順とか見ちゃったりするんですけどね (笑)。<続く>

もっと知りたい人は…

  • 環ROY 

    環ROY

    ラッパー

    宮城県仙台市出身。東京都在住。2006年に1stアルバム「少年モンスター」を発表。以降、これまでにフルアルバム「BREAK BOY」「あっちとこっち」「ラッキー」を発表する。第15回文化庁メディア芸術祭大賞受賞作品「スペースバルーンプロジェクト」へ参加、楽曲提供を行う。FUJI ROCK FESTIVALをはじめとする様々な大型音楽イベントへ出演するほか、全国各地、屋内外、様々な場所にてパフォーマンスを行う。

  • 角田光代 

    角田光代

    小説家

    1967年、神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。90年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、98年『ぼくはきみのおにいさん』で坪田譲治文学賞、『キッドナップ・ツアー』で99年産経児童出版文化賞フジテレビ賞、2000年路傍の石文学賞、03年『空間庭園』で婦人公論文芸賞、05年『対岸の彼女』で直木賞、06年「ロック母」で川端康成文学賞、07年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞を受賞。著者に『三月の招待状』『森に眠る魚』『くまちゃん』など多数。