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鈴木 心

写真家

ハリス鈴木絵美

「Change.org」キャンペーン・ディレクター

今回のインタビュアーは、写真展や作品集の制作から、広告や雑誌などさまざまな媒体での仕事まで精力的な活動を続けている写真家の鈴木心さん。そんな鈴木さんがインタビュー相手に選んだのは、全世界196カ国にユーザーを持つ世界最大の署名プラットフォーム「Change.org」の日本におけるキャンペーンディレクター、ハリス鈴木絵美さん。アメリカ在住時にバラク・オバマ氏の大統領選挙に関わった経験を持ち、テレビなどさまざまなメディアで目にする機会も増えている絵美さんに、東日本大震災以降、故郷の福島・郡山市での活動も展開している鈴木心さんが、文字通り「CHANGE」をテーマに話を聞きました。

4. どうすれば日本人は変われますか?

ハリス鈴木絵美 

日本における署名に対するリアクションというのはネガティブなものがほとんどですが、先入観なしに参加してもらえるところまで持っていくのが最初の課題だと思っています。

Q.僕が日本にいて心配なのは、身近なことにしても、大きな仕組みにしても、変えることに関心がないということです。それはプラットフォームの問題ではなく、日本人が持っている潜在的な性格が、何かを変えるという時にネックになるんじゃないかと。震災があって、原発もあんなことになり、これからオリンピックもあるという状況で、日本の中にある色んなものに関心を持って意見をしたいという雰囲気にならないと、何かを変えるというところには至らないんじゃないかという不安があるんです。

絵美:私は震災を日本で直接経験していないんですが、日本の人からよく聞くのは、震災があってみんながクエスチョンをし始めたよねということです。もちろんそうならなければヤバイと思うんですけど、それでもまだ本当の危機感には至っていない気がしています。あれだけの事故を起こして、いまも問題は続いているのに東京は平然と回っているし、不思議な国だなと思います。でも、若い人たちの中には、3.11がきっかけで社会との関係を考え始めたという人は凄く増えているし、それが直接政治的な活動につながっていなくても、ボランティアをしたり、読む新聞が変わったりという小さな変化は起きている。もともと日本は上下関係が厳しく、他の国のように若い人がたくさんいるわけではないので変化が起きにくい状況にありますが、それを考えればそんなに悪くない状況なのかもしれないと思っています。

オリンピックにおけるレスリング競技存続を求める街頭署名活動。

Q.最近ディズニーランドに行ったのですが、色々思うところがあったんです。ディズニーランドというのは究極の顧客至上主義で、自分が世界の中心になれるという感動を全員に与える仕組みが完成されているんです。日本の社会というのは権威主義で、トップの人たちをそれ以外の人たちが妬むという階級社会が一般的だと思うんですが、ディズニーランドの中だけはみんなが主人公になれるという構造が作られている。これを上手く使えば日本人の世界に対する無関心を払拭することにもつなげていけるんじゃないかと感じたんです。

絵美:自分が主人公になれることもそうだし、ディズニーランドというのは他人の目を気にしなくていい環境なんですよね。もしかしたらディズニーランドはそういう意味で受け入れられているところもあるのかなと。例えば、日本でFacebookを使っていると、周りの目を意識して書いている人がとても多いと感じるんですね。みんながパーソナルブランディングばかりしていて、ハッキリ言ってつまらないなと。しかたないから私もそこに参加するんですけど(笑)、本当はもっと本音を出せる場所だったのにという思いがあって。アメリカで使っていた時はもっと本音の感情を表に出せる環境だったんですが、日本では上司や家族が読むかもしれないとみんなが思っていて、本音が出せなくなっている。みんながFacebook疲れをしている理由は、自分が主人公ではあるけど、自分が書いている脚本ではないからだと思うんです。本音と建前というものは日本文化の美でもあるけど、少し極端すぎると感じる時もあります。

Q.日本の人たちにアプローチしていく上で、今後はどんなことが課題になりそうですか?

絵美::いま日本における署名に対するリアクションというのは、「カッコ悪い」とか「駅前でしつこく言われてうるさい」とかネガティブなものがほとんどですよね。まずはそのネガティブなものをゼロに戻して、先入観なしに署名に参加してもらえるところまで持っていくのが最初の課題だと思っています。これまで日本の署名というのは、法律を成立させるためとか、凶悪事件の被害者を支援するためというようなヘビーなものが多かった。そういうものももちろん大事ですが、「Change.org」ではもっと身近なものを取り上げながら、少しでもギャップを埋めていければと。そのためには、いかに新しい署名のあり方を提示したり、身近に感じられる課題に対して成功事例を出していけるかということが大切になってくると思っています。<インタビュー終わり>

もっと知りたい人は…

  • 鈴木 心 

    鈴木 心

    写真家

    1980年郡山生まれ。東京工芸大学写真学科卒業。銀閣寺同仁写真部部長。広告、雑誌の写真制作、テレビCMなどの映像制作をする傍ら、写真のワークショップの開催や自身の作品制作発表を国内外で継続的に行っている。主な仕事に「NHK大河ドラマ平清盛」ポスター撮影、「JR SKISKIキャンペーン」ポスター撮影、「福島テレビ FTV@HOME」CM撮影などがある。最近は毎週郡山に帰って来るチャキチャキの郡山っ子。

  • ハリス鈴木絵美 

    ハリス鈴木絵美

    「Change.org」キャンペーン・ディレクター

    米国人の父と日本人の母の間に生まれ、高校卒業まで日本で育つ。米イェール大学卒業後はマッキンゼー&カンパニー、オバマ氏の選挙キャンペーンスタッフ、ソーシャルインキュベーター企業Purposeの立ち上げなどを経て、2012年にChange.orgの日本代表に就任とともに帰国。