インタビューアーにスポットを当てる新感覚インタビューサイト

RSS

Qonversations Twitter

坂部三樹郎

ファッション・デザイナー

猪子寿之

チームラボ代表

今回、インタビュアーとしてカンバセーションズに参加してくれるのは、ファッション・デザイナーとして活躍する坂部三樹郎さん。自身のブランド「ミキオサカベ」はもちろんのこと、さまざまなジャンルのクリエイターとのコラボレーション・プロジェクト「最前ゼロゼロ」など、ファッションという枠にとどまらない活動を続けている坂部さんがインタビューするのは、”ウルトラテクノロジスト集団”チームラボの代表・猪子寿之さんです。先日放送されたTBS『情熱大陸』も話題になるなど、IT業界の異端児として、いまさまざまな分野から注目を集めている猪子さんに、坂部さんが聞きたいこととは?

2. デジタルテクノロジーの本質は何ですか?

猪子寿之 

人間の主観に始まって主観に終わるデジタルテクノロジーを使って、何か新しい価値や体験を生めるんじゃないかという考え方が僕らのベースです。

Q.チームラボがやっていきたいことを教えてください。

猪子:情報化社会が来てから急速に発展してきたデジタルテクノロジーというのは、これまでの自然科学から生まれてきたテクノロジーとは別物なんですよ。自然科学というのは、物理世界の現象から客観的な法則を見つけ出して、それを応用してクルマや原発などを作ってきましたよね。でも、デジタルテクノロジーは、物理世界とは関係なくて、人間に始まり、人間に終わるものなんです。例えば、Googleのページランクというのは、「人は往々にして自分が良いと思っているサイトのリンクを張る」という、人間の確率的な現象に法則を見つけ出して、それを応用して検索結果を出している。人間の主観に始まって主観に終わるデジタルテクノロジーを使って、何か新しい価値や体験を生めるんじゃないかという考え方が僕らのベースです。

チームラボ「メディアブロックチェア」

Q.僕はもともと理系だったのでなんとなく雰囲気はわかりますが、人間に始まり人間に終わるとはいえ、基本はかなり論理的な考え方ですよね。

猪子:これまでは論理的な部分だけがテクノロジーとされてましたよね。でも、デジタル領域になると、人間の感情的な現象を扱っていくわけだから、結局は論理的にはわからないんですよ。その感情の現象というものを使ったアウトプットを考えていくことが、まっとうなデジタルテクノロジーとの向き合い方だと思っています。僕は、人間の本能的な部分というのは、案外みんな同じなんじゃないかと思っているところがあって。ファッションやアートみたいに文脈が重要な世界だと難しいかもしれないけど、文脈非依存の世界では、人間というのはあまり変わらないんじゃないかと。ネットでもソーシャルメディアでもそうだと思うけど、本当に良いものや楽しいものには全員が集まると思うんです。だから、結果が出ないというのは、単純に自分たちのスキル不足なんですよ。

Q.でも、振り返ってみたら昔の方が良かったということもあると思うんです。幸福度みたいなことを考えてみると、テクノロジーの後遺症的なものもあったりするのかなと。

猪子:もし本当にそれがなかった方が良ければ、ない方を選ぶ人が増えると思うんですよ。例えば、すべて工場で作られているような食べ物は便利で美味しいけど、それが体にあまり良くないということに気づけば、人はゆっくりとシフトしていく。いまは、玄米を食べる人や、家で食事を作る人が増えているような気がしますしね。

Q.人間が生み出したものでも、一度歯車が回り始めると誰も止められなくなってしまうようなこともありますよね。

猪子:原発とかね。そういうものもたしかにあるけど、それは、個人の意思とははるかに遠いところで、パブリックに決定されてしまうようなものだと思うんですよ。政治の世界なんかではそういうこともたくさんあるだろうけど、個人レベルではみんなもっと自由に選んでいますよね。個人に選択してもらうということはスゴく難しいことだから、僕らはそこに対して必死でやっている。まずはそこに力を費やして、その結果自分たちの作るものによって人や社会が少しでも先に進めばと思ってます。<続く>

インフォメーション

チームラボが空間設計と什器を手がけ、MIKIOSAKABEのアイテムも取り扱う渋谷パルコ内の「ぴゃるこ」の情報はこちらから。チームラボは、書家・紫舟さんとの新作インスタレーション「Love Letter Project '12」を10月13、14日に展示予定。さらに、10月30日~11月5日に開催される「東京デザイナーズウィーク」では伊藤若冲をテーマにした作品などを出展予定。

もっと知りたい人は…

  • 坂部三樹郎 

    坂部三樹郎

    ファッション・デザイナー

    2006年アントワープ王立芸術アカデミーファッション科首席卒業。07-08年秋冬シーズンのパリコレクションにプレゼンテーションという形で公式参加。08年春夏シーズンから東京とパリを軸に、ミラノ、ニューヨーク、バルセロナ、ベルリンなど各都市でコレクションを発表。 その後も、現代アーティスト・Chim↑pomや秋葉原のアイドル・でんぱ組.incなどとコラボレートしたショーなどで注目を集める。次世代の人間像を模索しながら、服を作るだけではないこれからの時代のファッションを提案している。

  • 猪子寿之 

    猪子寿之

    チームラボ代表

    ウルトラテクノロジスト集団「チームラボ」代表。1977年徳島市出身。2001年東京大学工学部計数工学科卒業と同時にチームラボ創業。大学では確率・統計モデルを、大学院では自然言語処理とアートを研究。チームラボは、プログラマ・エンジニア、数学者、建築家、Webデザイナー、グラフィックデザイナー、CGアニメーター、絵師、編集者など、情報化社会のさまざまなものづくりのスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団。