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HOUXO QUE

美術家

松村宗亮

茶道家
SHUHALLY代表

今回インタビュアーを務めてくれるのは、現代における絵画表現の可能性を追求する美術家として、国内外で精力的な活動を展開しているHOUXO QUEさん。そんなQUEさんがインタビューするのは、横浜・関内にあるマンションの一室に茶室を設け、新しい「茶の湯」の提案を目指すSHUHALLYの代表である裏千家 茶道家・松村宗亮さん。偉大な先人たちが培ってきた伝統文化を尊重しながら、日本独自の美意識を更新すべく精力的な取り組みを行う松村さんに、 QUEさんが聞いてみたいこととは?

5. 未来の茶室はどうなりますか?

松村宗亮 

お茶室では、普段体験できないような空間をいかにつくり出せるかが大切ですが、一瞬だけお客様を別の世界に連れて行く方法は色々あると思います。

Q.現代アートの世界というのは、設定されたルールの中でアーティストやキュレーター、コレクターなど様々なアートワールドの住人たちがプレイしているような場所だと思うんですね。一方で茶道は、それとは異質なルールであるにも関わらず、美を中心とした世界として近似性を持ちながら、同時に新鮮さも感じられる空間が形成されているように感じます。床の間にかけられた作品や、使われる茶道具など、さまざまな作品によって構成された展覧会のような空間がここにはあるのではないかと。ただアートの場合は、そうした空間をつくり出すのはキュレーターと呼ばれる人たちですが、彼らは基本的には研究職であり、裏方であって表舞台のプレイヤーではないんですね。一方でお茶の場合は、その空間をつくり出す人が自らお茶を点てるプレイヤーでもあり、また同時にコレクターでもあるというところに特異性があるように感じます。

松村:現代アートのことはあまり詳しくはないですが、アートというのはホワイトキューブの中に人が集まり、作品を鑑賞することが多いですよね。一方でこの場所では、作品が道具として実際に使われたり、狭い茶室の空間の中で飲んだり食べたりしながら美を楽しむということをしていて、それはお茶の世界にとっては当たり前の体験なのですが、現代アートの世界の人たちからすると非常に新鮮に映るようです。お茶には茶室やお庭、道具などの要素や、露地を歩いて茶室に入っていくまでの行程などがあり、ある程度規制されたルールの中で美を楽しむゲームとしての要素もあるのかなと思います。

Photo: 田村孝介 Houxo Que「Garden in May」

Q.露地を通って茶室へ向かう途中での会話や、にじり口をくぐって室内へ入る際の視線の誘導など、階層ごとに様式が設定されていて、その中でプレイヤーがどんな駆け引きを行うのかというところにある種の知的ゲームとしての要素がありますよね。

松村:また、多くの人が集まる展覧会などとは違い、お茶の場合は不特定多数の人が来るということは想定はしておらず、具体的な誰かのためにということが前提になっているんですね。場合によっては、そのお客様が来ることを1ヶ月前から念頭に入れて献立や道具を考えることもありますし、超カスタマイズされた空間づくりをしていくという点もお茶の特殊な要素だという気はします。

Q.最後の質問になりますが、もし仮に松村さんが新しい茶室をつくるとしたら、どんなものを建ててみたいですか?

松村:この時代だからこそできるものということを前提にすると、白い箱だけつくっておいて、そこに映像や光、プロジェクションマッピングを投影して、どんどん変化していくような空間ができたら面白そうですね。お茶室というのは、普段体験できないような空間をいかにつくり出せるかということが大切ですが、一瞬だけお客様を別の世界に連れて行く方法というのは色々あると思うんですね。通常は、路地を抜けてお茶室に入るまでのアプローチの中で心的変化を促すような空間づくりをするのですが、これにはどうしても物理的な広さが必要になる。仮にそれが難しいような場所であれば、例えば天井がドーム状になった真っ暗な部屋にみんなで寝てもらい、映像によって心的な旅を体験してもらった上で、部屋が明るくなるとお茶のセットが用意されているという演出によってもひとつの茶室をつくり出せると思うし、そういう実験にはとても興味がありますね。<インタビュー終わり>

もっと知りたい人は…

  • HOUXO QUE 

    HOUXO QUE

    美術家

    東京を拠点に活動する美術家。10代でグラフィティと出会い、壁画中心の制作活動を始める。蛍光塗料とブラックライトを用いたインスタレーション作品「day and night」で知られ、 近年はディスプレイに直接ペイントをする「16,777,216view」シリーズなどを発表。 過去には、YVES SAINT LAURENT、Lane Crawford、TOPSHOPとのコラボレーションや、 文化庁メディア芸術祭ドルトムント展にて平川紀道との共作を展示などを行っている。

  • 松村宗亮 

    松村宗亮

    茶道家
    SHUHALLY代表

    伝統を重んじながらも、 「茶の湯をもっと自由に!もっと楽しく!」というコンセプトによる活動が共感を呼び、全国の百貨店(新宿伊勢丹、銀座三越、渋谷西武等)やギャラリー、また海外(ベルギー、スペイン、アメリカ、フランス、ポーランド等)からも招かれ多数の茶会を開催。伝統文化によるチャリティイベントを主催するなど、日本文化の新たな伝統の開拓・発信に努め幅広く活動中。