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HOUXO QUE

美術家

松村宗亮

茶道家
SHUHALLY代表

今回インタビュアーを務めてくれるのは、現代における絵画表現の可能性を追求する美術家として、国内外で精力的な活動を展開しているHOUXO QUEさん。そんなQUEさんがインタビューするのは、横浜・関内にあるマンションの一室に茶室を設け、新しい「茶の湯」の提案を目指すSHUHALLYの代表である裏千家 茶道家・松村宗亮さん。偉大な先人たちが培ってきた伝統文化を尊重しながら、日本独自の美意識を更新すべく精力的な取り組みを行う松村さんに、 QUEさんが聞いてみたいこととは?

インタビューを終えて

HOUXO QUE 

独自の伝統と様式を持つ茶道の世界において、いまの時代の価値観や創造性のあり方を模索する松村さんの活動はやはり面白いと感じました。

「今日お話を伺ってみて、独自の伝統と様式を持つ茶道の世界において、いまの時代の価値観や創造性のあり方を模索する松村さんの活動はやはり面白いなと感じました。例えば、文彩庵のお話の中で写しという様式自体が伝統建築の二次創作で、さらにそこにハマーというコンセプトを突っ込んでくるあたりは、飛躍のしかたにゾクゾクすると同時に、その突拍子もなさに思わず笑ってしまいました。そして、それは松村さんご自身のバックグラウンドと接続しているというお話をお聞きしていくなかで、茶室という空間の捉え方が自分の中で変わっていくのを感じました。
コレクターとしての作品の選び方や人をもてなすという茶道のあり方など、そういったお話はアーティストとしてとても興味深かったです。アートとは出自は異なりますが非常に似た側面を持つ文化だと思いますし、もちろん異なった部分もありますが、美を中心とした世界として日本で伝統的に存在する文化の奥行きを知ることができたのは非常に貴重な経験でした。
また、お茶を体験するためには身体を持ってこなければいけないという話がありましたが、これは現代において非常に重要なテーマだと感じます。いま僕たちが生きている社会では、自分の肉体はそこにあるままで好きなアイドルから遠い国の戦争まで、多くのことをテレビやPCモニターや、iPhoneのディスプレイ越しに知ることが当たり前になっています。そして、それはいまや我々の現実の一部として受け止められています。こうした現象は恐らく絵画や写真、むしろそれ以前のイメージというものが発生した時に生まれたものだとは思いますが、新たなテクノロジーが発達していくなかでのリアリティの変化というのは、確実に社会に変化を及ぼしていると思います。
こういった環境下で、僕は表象とそこにある物質としての絵画、つまりイメージとフィジカルの関係性を模索しながら、目の前にあるアクチュアルなリアリティを引きずり出したいという思いで制作に取り組んでいるのですが、だからこそお茶が肉体を通して様々なフェーズを体験する必要がある以上、そこに身体を持ってこなければいけないという話はとても興味深かったですし、現代社会の中でそうした場というのは非常に貴重なものになってきていると思います。
また、山に行けないから茶室へ行くという『市中の山居』は『山』のバーチャル・リアリティであると同時に『市』にいるという前提があり、自分自身は『市』にもいて『山』にもいるという、そこにある身体性を軸とした対比と共生の概念なのではないかと思います。地上五階でビルに囲まれた茶室からはそれを強く感じました。
茶の湯の文脈上で編まれてきた『侘び』という概念は、一般的に言われるような『一切の無駄を排する無飾の美学』だけではなく、おそらく僕らが考えている以上にさまざまな表情を持っているものだと思いますが、今日のお話を通して、都会の集合住宅の中にある松村さんの茶室にもその美意識が体現されているような気がしました。
僕ら日本人の美意識というものは、極限の何かを目指すものではなく、豪華な書院式の住宅に併設された侘しい草庵のような、この茶室から庭越しに見えるビルディングの借景のような、ふたつの異なる状況や事を対比する中から見出されるようなものなのではないかということをこのインタビューを通して感じました。
この様な機会を設けて頂いたカンバセーションズ原田さん、茶室へ招いていただき貴重なお話をして下さったSHUHALLY松村さんに感謝を述べたいと思います」

もっと知りたい人は…

  • HOUXO QUE 

    HOUXO QUE

    美術家

    東京を拠点に活動する美術家。10代でグラフィティと出会い、壁画中心の制作活動を始める。蛍光塗料とブラックライトを用いたインスタレーション作品「day and night」で知られ、 近年はディスプレイに直接ペイントをする「16,777,216view」シリーズなどを発表。 過去には、YVES SAINT LAURENT、Lane Crawford、TOPSHOPとのコラボレーションや、 文化庁メディア芸術祭ドルトムント展にて平川紀道との共作を展示などを行っている。

  • 松村宗亮 

    松村宗亮

    茶道家
    SHUHALLY代表

    伝統を重んじながらも、 「茶の湯をもっと自由に!もっと楽しく!」というコンセプトによる活動が共感を呼び、全国の百貨店(新宿伊勢丹、銀座三越、渋谷西武等)やギャラリー、また海外(ベルギー、スペイン、アメリカ、フランス、ポーランド等)からも招かれ多数の茶会を開催。伝統文化によるチャリティイベントを主催するなど、日本文化の新たな伝統の開拓・発信に努め幅広く活動中。