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勅使河原一雅

アートディレクター
ウェブデザイナー

原 和彦

臨済宗常福寺住職

今回カンバセーションズに初登場するのは、グラフィックとプログラミングを駆使した独自の作品世界をインタラクティブメディア上で発表し、国内外から高く評価されるクリエイター、qubibiでの活動でも知られる勅使河原一雅さん。そんな勅使河原さんがインタビュー相手として指名したのは、神奈川県相模原市にある臨済宗建長寺派「常福寺」の住職・原 和彦さん。禅寺でありながら、現代音楽、舞踏、映像などの分野で活動するさまざまな表現者を招いて開催される「常福寺ライブ」を年に2回開催している原さんに、昨年同ライブに出演した経験を持つ勅使河原さんが、いま聞きたいこととは?
※このインタビューは、雑誌「QUOTATION」との共同コンテンツです。3月24日発売の『QUOTATION』VOL.18の誌面でもダイジェスト版をご覧になれます。

4. 死んだ後はどうなるのですか?

原 和彦 

人の意識や感覚は自分一代の中に閉じこもっているものではないんじゃないかと。自分が死んでも意識というものは子に伝わるかもしれないし、映像を通して意識が展開していくかもしれない。

Q.先日、食べ物のダシについての興味深い話を読んだんです。ダシというのは死ぬことで一気に流れ出るものなんだそうです。生きている時は、体内にあるものが流れ出ないような力が働いているのですが、死ぬとその力がなくなってダシが出るというんです。たしかに死というのはフワッと散っていくイメージがありますよね。でも、それは肉体についての話で、意識というのは死後どうなるんだろうと考えたんです。

原:意識というのは、身体を通して外界を感知した感覚などが積み重なってできていると思うんです。例えば、私は花が好きで自分で生けたりもするのですが、よく考えると花を好きになる積極的な理由はあまりないんですよね。その時に、もしかすると進化する前の人間がまだ虫で、花粉を求めていた時の記憶が蓄積されているから、花が魅力的に見えるんじゃないかと感じたんです。そう考えると自分ひとりの意識だと思っていたものは、人が虫やナメクジだった時代からの積み重ねでつくられているじゃないかと。

hello world by qubibi hello world by qubibi hello world by qubibi

Q.それはとても面白い考え方ですね。

原:生まれたばかりの赤ちゃんの目は、約30cmで焦点が合うようになっているそうなのですが、これはおっぱいをもらう時に見える母親の顔と同じくらいの距離なんです。「目は口ほどにものを言う」という言葉がありますが、赤ちゃんは腕の中に抱かれながら、親が何が好きで何が嫌いなのかということを瞳孔の開き方から察知しているんじゃないかと思うんです。脳が最も成長する時期に親から子へとそういう情報が急速に受け渡されているとするなら、人の意識や感覚というのは自分一代の中に閉じこもっているものではないんじゃないかと。仮に自分が死んでも意識というものは子に伝わるかもしれないし、勅使河原さんであれば、映像を通して意識が展開していくかもしれない。肉体が滅ぶのは悲しいことですが、意識はもっと自由に時空間を行き来できるものなんじゃないかと思うんです。

Q.ダシの話を読んだ時に、意識も肉体同様に死とともに分断されてしまうのかと感じたのですが、そういう考え方もできますね。

原:仏教には、輪廻転生という考え方がありますよね。ある仏教学者は、肉体として滅んだものが形を変え、次の命に転じていくことが輪廻転生だと言っています。そこに意識までくっついていくことができれば、それこそが本当の輪廻転生なんでしょうが、おそらく肉体と意識は別々になってしまう。自分というものはなくなってしまうけど、意識自体はずっと存在している。そこがつらいところではありますよね。<続く>

インフォメーション

八木美知依トリオが出演する「常福寺ライヴ “be” ~死を想え」が4月5日に相模原・臨済宗常福寺にて開催予定。
3月31日まで銀座・クリエイションギャラリーG8で開催中の「光るグラフィック展」に勅使河原一雅さんが出展中。また、最新作「DRIFTER」は、devilman.nuro.jp/drifter/で公開中。

もっと知りたい人は…

  • 勅使河原一雅 

    勅使河原一雅

    アートディレクター
    ウェブデザイナー

    アートディレクター/ウェブデザイナー。Webサイトやゲーム等、インタラクティブメディア上での作品制作を行っている。D&ADやカンヌ広告祭、メディア芸術祭など国内外にて受賞多数。

  • 原 和彦 

    原 和彦

    臨済宗常福寺住職

    臨済宗常福寺住職第27代住職。自ら企画・運営を手がけ、1992年にスタートした「常福寺ライブ」では、養老孟司、ジム・オルーク、松田美由紀、ロバート・ハリス、大友良英らさまざまな文化人、クリエイターらを招き、舞踏、現代音楽、講演会などを開催している。