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大図まこと

クロスステッチデザイナー

森岡督行

森岡書店

今回インタビュアーとしてカンバセーションズに初登場するのは、レトロなゲームのグラフィックやピクセルアートを思わせるタッチを、クロスステッチという刺繍技法でポップに表現する大図まことさん。そんな大図さんがインタビューするのは、写真集や美術書を扱う書店として茅場町にあるビルの一室で開業し、その後8年間にわたり国内外のファンから支持され続けている森岡書店森岡督行さん。つい先日、これまでの活動について綴った『荒野の古本屋』を出版するなど、ますます注目度が高まっている森岡さんに、大図さんが聞きたいこととは?

※このインタビューは、雑誌「QUOTATION」との共同コンテンツです。6月11日発売の『QUOTATION』VOL.19の誌面でもダイジェスト版をご覧になれます。

3. お店を続ける秘訣は何ですか?

森岡督行 

ハウツーよりも先に大切なことは、その人の経験だったり、どれくらいの心の振れ幅が持てるかということだったりするのではないかと思っています。

Q.これまで8年間もお店を続けられてきたということは、おそらくこれから先の8年間も続けていけるんでしょうね。

森岡:とにかく毎月末の支払いを必死でしてきたということだけは覚えていますが(笑)、自分でもどうやってここまで続けられてこられたんだろうと思います。こうすれば必ず続くという秘訣やノウハウというものは特にないんです。以前に、神保町の古本屋の先輩が、お店というのはその人そのもので、それ以上のものは何も出ないとおっしゃっていたんですね。それが正しいとするなら、ハウツー的なことよりも先に大切なことは、その人の経験だったり、どれくらいの心の振れ幅が持てるかということだったりするのではないかと思っています。

OOZU MAKOTO WORKS OOZU MAKOTO WORKS

Q.森岡さんの仕事が凄いと思うのは、扱う商品がほぼすべて一点物で、売れるか売れないかわからないものを仕入れるというところです。例えば、僕のような仕事では、まず展示会を開いて受注をもらってから生産をするのですが、ある程度先に見通しをつけていくやり方なんですね。古本屋さんにも、お客さんからの注文を受けて特定の本を探すということはあるかもしれませんが、基本的には誰が買うかわからないものを、先に在庫として抱えるわけですよね。

森岡:そうですね。自分のような職種は”縄文系”の仕事だと思っています。先に狩りや釣りに出かけて行って、そこで収穫したものを並べて売っているようなイメージです。一方で、大図さんのように、先にある程度計画を立て、受注や発注をするようなお仕事は”弥生系”なんじゃないかなと。おそらく人にはそれぞれ合った仕事の仕方があって、私には縄文系が合っている気がしています。ただ、本の場合は腐ったりすることがないので、すぐには売れなくても、ずっと置いておけばいつかこれに反応してくれる人がいるだろうという考えは持っていて、そこが古本屋の特徴だと思います。新刊の本屋であれば本をどんどん回転させていきますが、神保町の古本屋などでは、少なからず私のような感覚を持っているところがほとんだと思います。

Q.仕入れた本を売っていくためにお客さんにお知らせをするなど、営業活動的なこともされているのですか?

森岡:それはお店によってそれぞれだと思いますが、自分はそういうことはしていません。ただ、何の策略も持っていないかというとそういうわけでもないんです。このお店というのは東京の都心にあるけれど、どこか外国に行った気分になれて、しかも今でも昔でもないような不思議な時間感覚に陥る空間だと思うんですね。例えば、ディズニーランドなんかは、せっかく来たんだから買っていこうかという気持ちが働いて、衝動買いをするケースが多いじゃないですか。このお店というのは場所柄、何か他の用事のついでに来るようなところではなく、ここを目指して来てくれる方が多いと思うのですが、そういう場が持つ力や作用みたいなものがあるのではないかという考えはあるんです<続く>

インフォメーション

森岡督行さんの新著『荒野の古本屋』が晶文社より、大図まことさんの新著『GAME & STITCH ! クロスステッチで楽しむレトロゲーム』が学研教育出版よりそれぞれ発売中。
また、大図まことさんの新著出版記念展が、6月29日まで吉祥寺・METEORで開催中。

もっと知りたい人は…

  • 大図まこと 

    大図まこと

    クロスステッチデザイナー

    大学卒業後、手芸店勤務を経てクロスステッチデザイナーとなる。その大きな体から生み出される作品は男性ならではのポップなデザインが魅力。女性のフィールドと思われていた手芸界に現れた話題のルーキーは手芸の枠を越えカルチャー&アートシーンからも熱い注目を浴びる。手芸本執筆、テレビ出演の他、各地で精力的に刺繍教室を開催中。近著に『GAME & STITCH!』(学研教育出版)などがある。

  • 森岡督行 

    森岡督行

    森岡書店

    1974年生まれ。著書に『荒野の古本屋』(晶文社)、『BOOKS ON JAPAN 1931–1972 日本の対外宣伝グラフ誌』(ビー・エヌ・エヌ新社)、『写真集 誰かに贈りたくなる108冊』(平凡社)がある。『芸術新潮』にて「作家が覗いたレンズ」、新潮社・とんぼの本のホームページにて「森岡書店日記」、ビー・エヌ・エヌ新社のホームページにて対外宣伝誌を紹介する記事を連載中。