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大原大次郎

グラフィック・デザイナー

藤野真人

フェアリーデバイセズ株式会社

SAKEROCKを始めとする数々のミュージシャンのCDジャケットや、CM、TV番組のロゴデザインなどさまざまな仕事を手がけながら、「文字」を題材にしたワークショップや展覧会なども精力的に行なっているグラフィック・デザイナーの大原大次郎さん。そんな彼がインタビュー相手に選んでくれたのは、フェアリーデバイセズ株式会社で代表を務める藤野真人さん。全世界から集めた宇宙画像を用いたプラネタリウムソフトや、ピアノの鍵盤をユーザーインターフェースにしたバイオリン、切り花が枯れにくくなる花瓶などを開発する藤野さんに、大原さんが聞きたいこととは一体?

4. 言葉に「存在の影」は現れますか?

藤野真人 

ある文章を与えると、それがどの作家によるものなのかを判定してくれるプログラムなどがあって、ある程度計量できるレベルになっているんです。

Q.「存在の影」の話にどこまでつながるかわかりませんが、僕は「文字くじ」というワークショップもやっています。これは、色々な新聞や小説、エッセイなどからランダムに切り出した文字をクジのように引いてもらい、その前後に文字を書き足して言葉遊びをしてみてくださいというものなんですね。例えば、そこである作家が紡ぎ出した特徴的な言葉を使えば、作家の「存在の影」が見えてくると思うのですが、もっとアノニマスな言葉を組み合わせた時には、果たしてどこまで「存在の影」というのが出てくるのだろうと。

藤野:なるほど、これは秀逸ですね。小説のタイトルだったら思わず買いたくなってしまうような名作揃いだと思います(笑)。一般的な言葉にどこまで「存在の影」が含まれるのかというのも興味深い問題ですね。それに関連した研究事例というのは、これまでにもあるんです。ある文章を与えると、それがどの作家によるものなのかを判定してくれるプログラムなどがあって、ある程度計量できるレベルになっているんです。つまり、単語レベルでもその人らしさというのはある程度現れてくるということですよね。

文字くじ 文字くじ 文字くじ

Q.この「文字くじ」の結果を、自分の手で書き直すということもやっているのですが、そこまでやってしまうと、手書きのフォルムばかりに目が行ってしまい、言葉自体が頭に入ってこなくなるんです。文字を扱うからには、言葉の問題は無視できないと思って始めた「文字くじ」ですが、ここにはグラフィック・デザインの限界も示されているような気がしていて。「文字くじ」の言葉遊びの部分を伝えようとするなら、書き文字に凝るよりも活字を使った方が言葉の面白さにはスッと入れる。

藤野:たしかにこうして見ると、「読む」というところまでいかずに、絵として見てしまいますね。でも、この文字の並びを見ていると、書いた人の性格を想像できる気がしてきます。そこにはかなり濃い「存在の影」があるというのは確かですよね。冷静に考えると想像できる気がするだけで、これだけでその人の性格を分析できるはずはないのに、そんな気がしてしまうのは不思議ですよね。「文字くじ」というのは、おそらく無意識を意識化していくという問題につながってくるんじゃないかと思うんです。普段僕達は気づいていないのに、それを見た瞬間に、「これがお前の無意識だ」ということを突きつけられるようなものはスゴく面白い。大原さんのワークショップや展示作品には、そういうところがあるんじゃないかと思います。

Q.計算しえないものをなんとか概念化して血肉にしたいというのがあるかもしれません。まだまだ探られてない創造的なものというのがあるはずだと思ってやっています。

藤野:まったく同感です。数値化をせずに本質を射抜く人というのも世の中にはいて、そういう人たちをスゴいと思う反面、僕自身は物事をロジカルに理解することで納得するタイプの人間なんですね。だから、そこで数学が必要になってくるのですが、「概念」と「実体」の関係という普段僕らが意識していないものを考えていくというのはスゴく興味があるところで、そこは大原さんとつながっているところなんじゃないかなという気が強くしますね。<インタビュー終わり>

インフォメーション

昨年、藤野真人さんが出演した「TEDxSeeds」に、今年は大原大次郎さんの出演が決定!! 「TEDxSeeds 2012」は、11月17日に横浜赤レンガ倉庫で開催される。

もっと知りたい人は…

  • 大原大次郎 

    大原大次郎

    グラフィック・デザイナー

    1978年神奈川県生まれ。タイポグラフィを基軸としたデザインワークや映像制作に従事するほか、言葉や文字を題材としたワークショップ、エキシビション、レクチャーなど、自発的なデザインプロジェクトを展開する。

  • 藤野真人 

    藤野真人

    フェアリーデバイセズ株式会社

    1981年生まれ。東京大学大学院医学系研究科医科学専攻中退。エンジニア。フェアリーデバイセズ株式会社代表。