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真鍋大度

メディアアーティスト
株式会社ライゾマティクス

細貝淳一

株式会社マテリアル
「下町ボブスレー」ネットワークプロジェクト

今回のインタビュアーは、Perfume紅白歌合戦をはじめとするエンターテインメント分野の演出から、ホンダラフォーレ原宿などの広告案件、国内外でのアートプロジェクトへの参加まで、幅広い領域で活動するアーティスト/プログラマーの真鍋大度さん。各業界から熱い視線が注がれている真鍋さんがインタビューするのは、アルミ材料を主軸に素材の販売から加工、最終製品までを手がける株式会社マテリアルの細貝淳一さん。大田区の町工場が中心となり、日本の技術だけで作る国産ボブスレーを開発し、冬季オリンピック出場を目指す「下町ボブスレー」ネットワークプロジェクト推進委員会の委員長も務める細貝さんに、真鍋さんが聞きたいこととは?

2. なぜ「下町ボブスレー」が生まれたのですか?

細貝淳一 

ボブスレーはエンジンがないから大手企業の力を借りずに、自分たちの開発力だけで勝負に打って出れる。それなら地域の企業が協業することで地元を盛り上げていこうと考えました。

Q.先日僕らも、2020年の東京オリンピック招致ビデオの制作に携わったりと、スポーツとのコラボには興味があるところなのですが、「下町ボブスレー」がスタートした経緯を教えて頂けますか?

細貝:人件費などのコストが高い日本から、色んなもの作りが海外に流出していくなかで、自分たちの住む国や地域というのはどんどん衰退しているわけなんだよ。バブルの頃は大田区に1万社以上の工場があったんだけど、いまは4000社以下になっていて、どんどん食べられなくなっている。そういう状況の中で、大量生産の分野に入っていって、誰にでもできる仕事をしても生き残れない。我々は航空産業や防衛産業など高い技術がなければできない領域をやってきていたこともあったから、これからは世界が注目する炭素繊維と金属の融合というところにスポットを当てて、世界に発信していこうと。そのための題材を探していたところ、大田区の方からボブスレーをやらないかという声がかかったんだよね。ボブスレーはエンジンがないから大手企業の力を借りずに、自分たちの開発力だけで勝負に打って出れる。それなら地域の企業が協業することで地元を盛り上げていこうと考えたんだよね。

12年5月に開催された製作記者会見。

Q.具体的にはいつ頃から動き出したんですか?

細貝:始まったのは2011年なんだけど、震災などの影響もあって最初の年はなかなか進まなかった。その年の11月に決起集会をやることになり、10社くらいが集まったんだけど、そこで「こうしないと進んでいかない」という意見を言ったところ、委員長をすることになっちゃった(笑)。まずは自分たちの尻に火をつけるためにも記者会見をやろうということになり、12年の5月に製作記者会見を開いたら意外と記者が集まって、翌日の新聞の一面に大きく「大田区がボブスレーで世界に挑戦」と出たんだよね。それからは1年数ヶ月で3号機まで製作し、全日本で優勝したり、世界戦に出ていたりと順調には来ているけど、裏方は色々大変ですよ(笑)。

Q.現在は何社くらいがプロジェクトに参加しているんですか?

細貝:100社くらい。ボブスレーのレギュレーションに引っかかって自分たちの技術を使うことができない企業などもあるんだけど、そういうところもビラなどを配ってくれたりしてるよ。最終的には、大田区の4000社すべてでやりたいと思っているんだよね。いま日本は情報漏えいということに凄く敏感になっていて、コミュニティができづらい状況があるでしょ。ましてや我々は技術職だから、隣にいる友達にも技術の話ができないという風潮がなんとなくある。でも、臆病になっていたら何もできないし、そういうことは関係なく、地域ごとに連携をしていくことで世界と戦っていけるような状況を作りたいと思っているんだよね。<続く>

もっと知りたい人は…

  • 真鍋大度 

    真鍋大度

    メディアアーティスト
    株式会社ライゾマティクス

    身近な現象や素材を異なる目線で捉え直し、組み合わせることで作品を制作。高解像度、高臨場感といったリッチな表現を目指すのでなく、注意深く観察することにより発見できる現象、身体、プログラミング、コンピュータそのものが持つ本質的な面白さに着目している。2006年にウェブからインタラクティブデザインまで幅広いメディアをカバーするデザインファーム「rhizomatiks」を立ち上げ、2008年には、石橋素とハッカーズスペース「4nchor5 La6」(アンカーズラボ) を設立。

  • 細貝淳一 

    細貝淳一

    株式会社マテリアル
    「下町ボブスレー」ネットワークプロジェクト

    1966年生まれ。東京都大田区出身。1992年にアルミ材料を主軸に素材の販売から加工、最終製品までを手がける株式会社「マテリアル」を創業。大田区の町工場が中心となり、日本の技術だけで作る国産ボブスレーを開発し、冬季オリンピック出場を目指す「下町ボブスレー」ネットワークプロジェクト推進委員会の委員長も務める。