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喜田夏記

映像作家
アートディレクター

オダギリジョー

俳優

今回インタビュアーとして登場するのは、TVCM、ミュージックビデオ、アニメーションなどの映像ディレクションから、パッケージやテキスタイルなどのデザインまでを手がける喜田夏記さん。そんな彼女がインタビューするのは、「アカルイミライ」「メゾン・ド・ヒミコ」「ゆれる」「東京タワー」をはじめ数々の映画に出演し、日本映画界において唯一無二の存在感を放つ俳優・オダギリジョーさん。音楽活動も行うオダギリさんが、バンド・勝手にしやがれとコラボレートした「チェリー・ザ・ダストマン」のミュージックビデオの監督を手がけて以来、公私に渡って交流を続けている喜田さんが、オダギリさんの知られざる一面に迫ります。

5. どこまで「オリジナル」でいられますか?

オダギリジョー 

何の影響も受けないオリジナルの表現というのはあり得ないのかなと考えたりして、ちょっと悔しくなることがあるんですよね。

Q.私はもともと映画が好きで映像の仕事を始めたので、いつか映画を撮りたいという思いがあるんです。オダギリさんともよく話しますが、映画は長く残るものだし中途半端に手を出すべきではないとは思っているんですけど、映画を撮る時は当然ながらオダギリさんでアテ書きをすると思います。残された人生の中でそう何本も作れるものではないと思っているからこそ、堂々とオダギリさんにオファーできるような作品を用意したいなと。

オダギリ:喜田さんが作りたいものというのは絶対に日本だけでは収まらないだろうし、世界の映画祭とかで勝負しないといけない作品だと思っています。喜田さんは職業監督ではないわけですから、どうしても作りたいと思った作品を、作れるタイミングで絶対作った方がいいと思いますね。

喜田さんが手がけた「さくらな人たち」のアニメーション部分。 喜田さんが手がけた「さくらな人たち」のアニメーション部分。

Q.そうですね。映像の仕事に携わってきて、本当に好きなものって変わらないんだなと最近感じます。20代の時に観て「こういう映画良いな」と感じたような作品を自分でも撮りたいなと。

オダギリ:よく思うんですけど、やっぱり僕らは影響を受けたものの中でしか作れないんですかね。例えば、映画というものが生まれて100年ちょっと経っているわけじゃないですか。これまでに色んな映画が作られてきて、その中から僕らは好きな作品を選んで観てきているわけですけど、結局そこで受けた刺激や、無意識のうちに刷り込まれた趣向みたいなものからしか自分の表現を出すことができないのかなと。理想論かもしれないけど、何の影響も受けないオリジナルの表現というのはあり得ないのかなと考えたりして、ちょっと悔しくなることがあるんですよね。

「さくらな人たち」撮影風景

Q.いまオダギリさんがやっていることは、人間としてのオダギリジョーが色んな刺激を受けてきた結果だから、100%オリジナルを追求するというのは難しいのかもしれないですね。もちろん影響を受けたものをそのまま模倣するのはオリジナルとは呼べないけど、自分のフィルターを通して表現していければいいんじゃないかなと私は楽観的に考えていて、喜田夏記のフィルターを通して出るものはオリジナルなんだと思い込んでいるところがありますね。

オダギリ:例えば、「この映画のこの俳優の演技」というものをエキスとしてもらってきているわけじゃないですか。自分が演じる時にそれをイメージして臨むこともあるわけで、自分のフィルターを通すとはいえ、相当な影響を受けているわけですよね。自分が映像を作る立場になる時でも、「あの時のあの映画の雰囲気」というものが無意識に出ているのかもしれないし、「一体自分のオリジナルはどこにあるんだろう?」という気になっちゃうんですよ。音楽を作る場合も同じで、すでにある特定の音楽を再現しようと思っていること自体オリジナルじゃない気がして、自分の中でわだかまりみたいなものができちゃうんですよね。

Q.本当にストイックですね。でも私が映画撮るまでは、役者辞めないでいてください。たまに冗談で辞めるとか言ったりするから。

オダギリ:でも、そのくらいの感覚じゃないとやっていけないんですよ(苦笑)。

Q.万が一引退していたとしても、私が撮る時は「オダギリジョー復帰作」として戻ってきてくださいね。<インタビュー終わり>

インフォメーション

喜田夏記さんによるオリジナル・ストップモーションアニメ「Liv&Bell」 がNHKにて連載放送中。

もっと知りたい人は…

  • 喜田夏記 

    喜田夏記

    映像作家
    アートディレクター

    東京藝術大学美術学部デザイン科大学院修了。在学中、ニューヨーク大学映画学科で映像制作を学ぶ。在学中からMV・TV-CM等で映像を制作。映像Directionの他、Art Direction、Animation、グラフィック、美術デザイン、パッケージデザイン、テキスタイルデザイン等も手がける。エジンバラ国際映画祭、Vila do Conde(ポルトガル映画祭)、Anifest(チェコアニメーション映画祭)SICAF(韓国国際アニメーションフェスティバル)、onedotzero、Resfest 作品招待、文化庁メディア芸術祭審査員推薦作品受賞。NHKプチプチアニメにてオリジナル・ストップモーションアニメーション『Liv&Bell』連載中。

  • オダギリジョー 

    オダギリジョー

    俳優

    1976年2月16日生まれ。岡山県出身。03年に黒沢清監督作品『アカルイミライ』で映画初主演。その他の主な出演作品に『この世の外へ クラブ進駐軍』『血と骨』(04)、『パッチギ!』『メゾン・ド・ヒミコ』『スクラップ・ヘブン』(05)、『ゆれる』『パビリオン山椒魚』(06)、『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』『サッド ヴァケイション』(07)、『空気人形』(09)、『ウォーリアー&ウルフ』『奇跡』(11)、『マイウェイ 12,000キロの真実』(12)、『舟を編む』『リアル~完全なる首長竜の日~』(13)。現在、NHK大河ドラマ『八重の桜』に出演中。待機作には『人類資金』などがある。