インタビューアーにスポットを当てる新感覚インタビューサイト

RSS

Qonversations Twitter

喜田夏記

映像作家
アートディレクター

オダギリジョー

俳優

今回インタビュアーとして登場するのは、TVCM、ミュージックビデオ、アニメーションなどの映像ディレクションから、パッケージやテキスタイルなどのデザインまでを手がける喜田夏記さん。そんな彼女がインタビューするのは、「アカルイミライ」「メゾン・ド・ヒミコ」「ゆれる」「東京タワー」をはじめ数々の映画に出演し、日本映画界において唯一無二の存在感を放つ俳優・オダギリジョーさん。音楽活動も行うオダギリさんが、バンド・勝手にしやがれとコラボレートした「チェリー・ザ・ダストマン」のミュージックビデオの監督を手がけて以来、公私に渡って交流を続けている喜田さんが、オダギリさんの知られざる一面に迫ります。

4. 映画を観なくなったのはなぜですか?

オダギリジョー 

映画にしても芝居にしてもわかっていくことが嫌なんです。できれば感性だけでやっていたいし、ものを知らないことの強さみたいなものがあると思うんです。

Q.オダギリさんは最近も映画はよく観るんですか?

オダギリ:昔は凄く観ていたんですけど、ここ5年くらいはほとんど観なくなりましたね。先日久しぶりに映画を観て、それは自分も参加させてもらった黒沢清監督の「リアル」だったんですけど、凄く良かったんですよ。もともと黒沢監督の「アカルイミライ」が初めて主演映画だったこともあるし、ずっと敬愛している監督なんですが、作品を観て「やっぱり流石だな」と思った時点で、影響を受けちゃっているわけじゃないですか。「この撮り方が黒沢監督なんだよな」とか、そういうことを感じること自体、ある意味勉強になっているんですね。そういう重なりが、自分が表現する時にも出てしまう気がするんですよ。昔は好きな監督の作品はどんどん見ていたんですけど、最近はそういうことがなくなりましたね。

「リアル~完全なる首長竜の日~」 大ヒット上映中 (C)2013「リアル~完全なる首長竜の日~」製作委員会

Q.それはすでにオダギリジョーのオリジナルというものが完成されつつあるからということなんですか?

オダギリ:いや、むしろ完成しない方がいいと思っているんですよ。ずっと僕の中でジレンマがあって、それは知識が感性を鈍らせるということなんですね。わかればわかるほど技術で逃げられるようになるじゃないですか。そういうところに行きたくない気持ちが強くて、映画にしても芝居にしてもわかっていくことが嫌なんです。できれば感性だけでやっていたいし、ものを知らないことの強さみたいなものがあると思うんです。

Q.たしかに知らないが故の強さというのはあるし、わかってしまうとできないことが生まれてしまって、それが表現においては足かせになる時もありますよね。何もかも恐れずにぶっ飛んだ表現をするか、常識の範囲を越えてしまうところまで行くかして制約を壊していかないと、表現としてつまらなくなってしまうのかもしれないですね。

オダギリ:物分かりが良くなり過ぎるのが嫌なんですよ。いま自分が俳優として関わる仕事は、監督やプロデューサーの作りたいものに対して、自分がいかにプラスアルファを提示できるかということを第一に考えるんですね。もちろんそれをするためには、自分が身を投げられるくらい信頼できる相手であることが前提なんですけど、基本的にはその人のためにやるという意識が強いんです。でも、20代の頃は監督が求めてくることを拒否してでも自分がやりたいことをやっていたところがあったんです。結局それはお互いにとって良くないと気づいて変わっていったんですけど、逆にその無茶苦茶なやり方も悪くなかったのかもしれないと思うところもあって。たまたま目にした昔の作品とかを観ていると、よくこんなメチャクチャやったなという恥ずかしさもありつつ、こいつ凄いなという思いもどこかにあるんです。<続く>

インフォメーション

喜田夏記さんによるオリジナル・ストップモーションアニメ「Liv&Bell」 がNHKにて連載放送中。

もっと知りたい人は…

  • 喜田夏記 

    喜田夏記

    映像作家
    アートディレクター

    東京藝術大学美術学部デザイン科大学院修了。在学中、ニューヨーク大学映画学科で映像制作を学ぶ。在学中からMV・TV-CM等で映像を制作。映像Directionの他、Art Direction、Animation、グラフィック、美術デザイン、パッケージデザイン、テキスタイルデザイン等も手がける。エジンバラ国際映画祭、Vila do Conde(ポルトガル映画祭)、Anifest(チェコアニメーション映画祭)SICAF(韓国国際アニメーションフェスティバル)、onedotzero、Resfest 作品招待、文化庁メディア芸術祭審査員推薦作品受賞。NHKプチプチアニメにてオリジナル・ストップモーションアニメーション『Liv&Bell』連載中。

  • オダギリジョー 

    オダギリジョー

    俳優

    1976年2月16日生まれ。岡山県出身。03年に黒沢清監督作品『アカルイミライ』で映画初主演。その他の主な出演作品に『この世の外へ クラブ進駐軍』『血と骨』(04)、『パッチギ!』『メゾン・ド・ヒミコ』『スクラップ・ヘブン』(05)、『ゆれる』『パビリオン山椒魚』(06)、『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』『サッド ヴァケイション』(07)、『空気人形』(09)、『ウォーリアー&ウルフ』『奇跡』(11)、『マイウェイ 12,000キロの真実』(12)、『舟を編む』『リアル~完全なる首長竜の日~』(13)。現在、NHK大河ドラマ『八重の桜』に出演中。待機作には『人類資金』などがある。