インタビューアーにスポットを当てる新感覚インタビューサイト

RSS

Qonversations Twitter

川田十夢

AR三兄弟 長男

大林宣彦

映画作家

AR(拡張現実)という技術を武器に、テレビ、雑誌、音楽、ファッションなどあらゆる素材やメディアをマッシュアップし、未来の可能性を次々と見せてくれる話題のユニット、AR三兄弟。そんな彼らは、未来の映画についても色々と考えを巡らせているようです。そこで、今回AR三兄弟の長男こと川田十夢さんがインタビュー相手に指名したのは、「時をかける少女」「転校生」などの代表作で知られる日本映画界の巨匠・大林宣彦監督。現在全国で公開中の最新作「この空の花―長岡花火物語」を劇場で見たことが、川田さんに大きな衝撃を与えたといいます。日本映画の常識を覆してきた大林監督に、果たして川田さんが聞きたいこととは?

3. ジャンルへのこだわりはありますか?

大林宣彦 

人は毎日色んなジャンルの中で生きているんだから、その都度そのジャンルに忠実でいようと思うわけです。

Q.監督の作品はひとことでジャンルを表すのが難しいものが多いと思います。ジャンルということについては、どうお考えですか?

大林:ジャンルというものにはスゴくこだわりがあるのですが、むしろその結果、どのジャンルにもハマらないものになってしまっているのかもしれません。ただ、ジャンル分けをしようとはあまり思わないですね。例えば、今日一日自分がどう生きようかと考えた時に、ひとつのジャンルだけでは生きられないでしょ。人は毎日色んなジャンルの中で生きているんだから、その都度そのジャンルに忠実でいようと僕は思うわけです。それを映画にも当てはめているだけなのかもしれないですね。

Q.最新作「この空の花」も、どの引き出しにも入れられないような作品で驚きました。でもそれは、普段見ているものがいかに棚の中に整頓されているかということですよね。

大林:それは高度経済成長期の影響が大きいと思います。当時は、ターゲットというもので物事を分けていて、それが「若者向け」「老人向け」という商品としてのジャンルになったんですよ。ところが僕らが子供の頃というのは、例えば映画一本を老若男女みんなで見るんです。みんなで同じものを見て語り合うことが面白くて、この映画はおじいさんにとってはこういうジャンルだけど、僕にとってはこういうジャンルという感じで、それぞれの人に残っていくんです。例えば、いまでは大人向けの映画というジャンルになっている小津映画ですが、当時まだ子どもだった僕らにとっては、毎週土曜日に見る1本の映画に過ぎなかった。「麦秋」という彼の名作がありますが、子供たちが紙に包まれたままのキャラメルをおじいちゃんに食べさせるシーンがあるんですね。おじいちゃんが歯のない口でそれをモゴモゴしているのを見て子供たちは喜ぶのですが、僕らはそのシーンを見て「いつも自分たちがやっていることだ!」と手をたたくんです。と同時に、大人に気付かれないようにやっていたつもりだったのに、それをちゃんと見ていた大人がいるんだとハッとするんです。油断はできないけど、同時に子供たちのことを見守ってくれているようなこの映画を作った大人は誰だろうと思って、そこで小津安二郎という名前を覚えるんです。そういう映画に育てられてきたから、ターゲットとしてのジャンルはなくしたいと思うし、そこは常に気配りをしているところなんです。ターゲットが核社会を生んだ罪は深いと思いますよ。<続く>

インフォメーション

大林宣彦監督最新作「この空の花―長岡花火物語」の上映情報はこちらから。

もっと知りたい人は…

  • 川田十夢 

    川田十夢

    AR三兄弟 長男

    1976年熊本県生まれ。2001年メーカー系列会社に就職、面接時に書いておいた「未来の履歴書」の通り、同社Web周辺の全デザインとサーバ設計、全世界で機能する部品発注システム、ミシンとネットをつなぐ特許技術発案、AdobeRecords ダブル受賞など、夢みたいなことを一通り実現させた後、2010年に独立。公私ともに長男として活躍。最新作は、真心ブラザーズMV『消えない絵』(監督+出演)、BUMP OF CHICKENと共同開発したBOC-AR、コカ・コーラとの自販機 AR、情熱大陸の出演・開発など。

  • 大林宣彦 

    大林宣彦

    映画作家

    1938年広島県生まれ。自主製作映画『EMOTION=伝説の午後・いつか見たドラキュラ』が、画廊・ホール・大学を中心に上映されジャーナリズムで高い評価を得る。『喰べた人』(63)はベルギー国際実験映画祭で審査員特別賞を受賞。この頃からテレビコマーシャルの草創期に本格的に関わり始め、その数は2000本を超える。1977年『HOUSE/ハウス』で商業映画にも進出。同年、ブルーリボン新人賞受賞。故郷で撮影された『転校生』(82)『時をかける少女』(83)『さびしんぼう』(85)は“尾道三部作”と称され親しまれ、その後も数々の映画作品で受賞多数。2004年春の紫綬褒章受章、2009年秋の旭日小綬章受章。