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川田十夢

AR三兄弟 長男

本広克行

映画監督

今回でカンバセーションズには2回目の登場となるAR三兄弟川田十夢さん。前回の大林宣彦監督に続き、今回彼がインタビュー相手として挙げてくれたのは、映画、ドラマ、ミュージックビデオをはじめ幅広い分野で活躍する本広克行監督。先日、惜しまれながらも完結した『踊る大捜査線』シリーズで社会現象とも言えるブームを巻き起こし、さらに現在放映中のTVアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』では総監督を務めるなど、映画監督の枠にとどまらない活動をする本広さんに、川田さんがいま聞きたいこととは?

3. あの大作とはどう関わってきたのですか?

本広克行 

やっていること自体は、学生時代に作っていた自主映画とあまり変わらない。作品がヒットしたことで予算が増えて、話の規模もどんどん大きくなっていったということですよね。

Q.『踊る大捜査線』は連続ドラマから始まり、劇場版やスピンオフ企画、広告などお祭りみたいに広がっていきましたよね。そういうものを生み出してきたクリエイターとしての本広さんは、どういう感覚でこの作品と関わってきたのですか?

本広:やっていること自体は、学生時代に作っていた自主映画とあまり変わらないと思うんです。ただ、作品がヒットしたことで予算が増えて、話の規模もどんどん大きくなっていったということですよね。もともと学生の頃から僕はプロデューサー的な立ち位置だったんですよ。ディレクターはやりたいヤツに任せて、でも編集だけはやらせてくれみたいな。そういう意味では監督にこだわりはないのですが、そこにお金を稼がなきゃというのが入ってくると、揺れてくると思うんですよね。日本の場合は、話を書く人やマンガを描く人、曲を作る人など一次著作権を持っていて人は儲かるけど、演出というのはギャランティが少ない。昔の映画監督の中には、そういう理由から監督と脚本を一緒にやっていた人も多かったんだけど、僕の場合は『踊る大捜査線』のヒットがあったから、それはやらなくてよかったんです。

「踊る大捜査線THE FINAL 新たなる希望」(C)2012 フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー 「踊る大捜査線THE FINAL 新たなる希望」(C)2012 フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー

Q.『踊る大捜査線』は昨年の「THE FINAL」で幕を閉じましたが、規模的にも時間的にも非常に大きな物語になっていきましたよね。

本広:『踊る大捜査線』は連続ドラマから「THE MOVIE2」までは、構造的にはビックリするくらい同じなんですね(笑)。それがすべて大ヒットしたわけですが、これは『スターウォーズ』のオープニングでみんなが盛り上がる感じと同じなんですよね。前作から7年くらい空いた「THE MOVIE3」では、あえてそれまでと違うものをやったんです。その結果、色々な意見がスゴくあって。一方で「THE FINAL」では、これまで作品に関わってきたキャストやスタッフの思いなどをヒアリングした上で、みんなが待っていたものを作ったところ、大喜びしてもらえた。この歳になってようやくエンターテインメントを楽しむお客さんたちに対して、ちょうど良い落とし所を作っていく感覚がわかってきたところがあります。ただ同時に、当たっていなくても良い映画というのもたくさんあって、今度はそういう映画を掘り起こして、みんなに伝えていきたいという気持ちも芽生えてきたんです。

Q.何かそう思うようになったきっかけがあったんですか?

本広:『踊る大捜査線』の最初の劇場版がヒットした後、次に何をすればいいかわからなくなって、スゴい虚無感とともに放心状態になったんですね。ちょうど結婚をしたタイミングでもあったので、しばらく新婚旅行で海外に逃げていました(笑)。海外では映画のことはなるべく考えないようにしていましたね。その後帰国して、これからどうしようと思っている時に、芝居を見に行ったんです。そこで見たヨーロッパ企画の舞台が凄く面白くて、初対面なのにその場で映画化しましょうという話をしたんです。それからすぐに京都に行って彼らのもの作りの姿勢を見て、まだ自分もやることがいっぱいあるなと思ったんです。自分がいることで下が詰まっているということも感じていたし、それなら助監督や、まだ陽の目を見ていない人たちのために一緒に映画を作って広げていこうと。それからは全部が自分のヒット作にならなくても、周りの人たちが自分の作品に関わって良かったと思ってくれることに幸せを感じられるようになっていきました。<続く>

インフォメーション

本広克行さんがディレクターを務める「さぬき映画祭2013」が2月3日から17日まで開催予定。また、本広さんが総監督を務めるTVアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』は、フジテレビ”ノイタミナ”にて毎週木曜24:45~放送他各局にて放送。
AR三兄弟が製作総指揮を務めた『拡張現実シアター 近未来は今』が、1月16~18日の3日間東京ビックサイトで開催される「第1回 クルマのITソリューション展」にて上映予定。

もっと知りたい人は…

  • 川田十夢 

    川田十夢

    AR三兄弟 長男

    1976年熊本県生まれ。2001年メーカー系列会社に就職、面接時に書いておいた「未来の履歴書」の通り、同社Web周辺の全デザインとサーバ設計、全世界で機能する部品発注システム、ミシンとネットをつなぐ特許技術発案、AdobeRecords ダブル受賞など、夢みたいなことを一通り実現させた後、2010年に独立。公私ともに長男として活躍。最新作は、真心ブラザーズMV『消えない絵』(監督+出演)、BUMP OF CHICKENと共同開発したBOC-AR、コカ・コーラとの自販機 AR、情熱大陸の出演・開発など。

  • 本広克行 

    本広克行

    映画監督

    1965年生まれ。香川県丸亀市出身。ROBOT所属。1996年「7月7日、晴れ」で劇場映画監督デビュー。 2003年に公開された「踊る大捜査線 THE MOVIE2」では、日本映画(実写)興行収入記録歴代1位の座を獲得。また、 「サマータイムマシン・ブルース」(05)、「曲がれ!スプーン」(09)と、 劇団ヨーロッパ企画の舞台を映画化。2012年は、監督を務める 「踊る大捜査線」シリーズ最新作「踊る大捜査線 THE FINAL新たなる希望」が公開された。