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川田十夢

AR三兄弟 長男

本広克行

映画監督

今回でカンバセーションズには2回目の登場となるAR三兄弟川田十夢さん。前回の大林宣彦監督に続き、今回彼がインタビュー相手として挙げてくれたのは、映画、ドラマ、ミュージックビデオをはじめ幅広い分野で活躍する本広克行監督。先日、惜しまれながらも完結した『踊る大捜査線』シリーズで社会現象とも言えるブームを巻き起こし、さらに現在放映中のTVアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』では総監督を務めるなど、映画監督の枠にとどまらない活動をする本広さんに、川田さんがいま聞きたいこととは?

2. なぜヒットメーカーになれたのですか?

本広克行 

やっぱり一般の人に見てもらうには見やすさが大切だと思い、若い頃はそれを追求していました。仕事を続けていくうちに、どうすればヒットするのかとか、視聴率が取れるかというのが自分なりにわかってくるようになりました。

Q.製作総指揮については、僕のイメージとは違いましたが、監督と総監督の間にはやはり違いがあるように思います。監督は自分の作品だけを見ていて、総監督はもう少し広いレンジで考えているような気がします。漠然としたイメージですが、総監督というのは、誰も知っている人がいない場所にパッと行って、そこでコミュニケーション能力を発揮できる本広さんのような人で、逆に監督というのは決まった人とだけ仲良くなれる人で、それぞれに向き不向きというのがあるのかなと。

本広:たしかに僕はコミュニケーション能力が異常に高いみたいなんです(笑)。老若男女問わず色んな人の中に入っていって、巻き込んでいくところがある。振り返ってみると、それは子供の頃に引越しが多かったことと、いじめられていた経験が大きいのかなと。その頃から色んなことを凄く俯瞰して見ていたんですね。いまでも何か大きな事件が起きた時に、凄く冷静に俯瞰している自分がいるのを感じたりします。

Q.本広さんは何でこんなにサービス精神があるんだろうと思うんです。実は本来持っているものはアーティスティックだったりマニアックな感覚なのに、それをみんなにわかるようにして伝えて、しっかりヒットを出せているというのが凄く不思議です。

本広:20代の頃は自分が面白いものをひたすら吐き出していたんですね。僕はアニメとハリウッドのコメディが好きなんですけど、共通するのはどちらも情報が整理されていて見やすいということなんです。一方で、ヨーロッパの映画というのは深すぎるというか、考えながら見ないといけないから最初はとっつきにくかった。やっぱり一般の人に見てもらうには見やすさが大切だと思い、若い頃はそれを追求していました。この「見やすさ」というのは、先輩たちは恥ずかしくてできないんですよね。経験を重ねていくうちにだんだんカッコつけるようになってしまいますからね。僕はまだ若かったから、全裸むき出しで走りますよということをしてきたんですが、それが役者さんたちからウケたんですね。そうやって仕事を続けていくうちに、どうすればヒットするのかとか、視聴率が取れるかというのが自分なりにわかってくるようになりました。

「踊る大捜査線THE FINAL 新たなる希望」(C)2012 フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー

Q.『踊る大捜査線』で社会現象を巻き起こすレベルのことをしながら、一方で実験的なこともされるじゃないですか。そういうことは、「自分内プロデューサー」みたいなものがいる人じゃないとできないことだと思います。

本広:世の中には面白いものを作り続ける凄い監督というのが何人もいますが、その人たちがなかなか前に出てこれない現状があるんです。ブランディングということにあまり興味がないのかもしれません。でも、本当はちょっと自分をプレゼンテーションすることで、それなりに面白い仕事が来るようになると思うんですね。僕は、「自分はこれが好きだ」とか「この監督に会いたい」ということを公言するようにしているんですが、そうすると近いニオイを持った人が集まってくるんです。そういう場所にいて、色んな人と会って話を聞くことが、僕にはとても楽しいんですよね。<続く>

インフォメーション

本広克行さんがディレクターを務める「さぬき映画祭2013」が2月3日から17日まで開催予定。また、本広さんが総監督を務めるTVアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』は、フジテレビ”ノイタミナ”にて毎週木曜24:45~放送他各局にて放送。
AR三兄弟が製作総指揮を務めた『拡張現実シアター 近未来は今』が、1月16~18日の3日間東京ビックサイトで開催される「第1回 クルマのITソリューション展」にて上映予定。

もっと知りたい人は…

  • 川田十夢 

    川田十夢

    AR三兄弟 長男

    1976年熊本県生まれ。2001年メーカー系列会社に就職、面接時に書いておいた「未来の履歴書」の通り、同社Web周辺の全デザインとサーバ設計、全世界で機能する部品発注システム、ミシンとネットをつなぐ特許技術発案、AdobeRecords ダブル受賞など、夢みたいなことを一通り実現させた後、2010年に独立。公私ともに長男として活躍。最新作は、真心ブラザーズMV『消えない絵』(監督+出演)、BUMP OF CHICKENと共同開発したBOC-AR、コカ・コーラとの自販機 AR、情熱大陸の出演・開発など。

  • 本広克行 

    本広克行

    映画監督

    1965年生まれ。香川県丸亀市出身。ROBOT所属。1996年「7月7日、晴れ」で劇場映画監督デビュー。 2003年に公開された「踊る大捜査線 THE MOVIE2」では、日本映画(実写)興行収入記録歴代1位の座を獲得。また、 「サマータイムマシン・ブルース」(05)、「曲がれ!スプーン」(09)と、 劇団ヨーロッパ企画の舞台を映画化。2012年は、監督を務める 「踊る大捜査線」シリーズ最新作「踊る大捜査線 THE FINAL新たなる希望」が公開された。