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兼松佳宏

「greenz.jp」編集長

中原慎一郎

ランドスケーププロダクツ代表

今回インタビュアーとして登場するのは、「あなたの暮らしと世界を変えるグッドアイデア」を紹介するウェブマガジン「greenz.jp」編集長の兼松佳宏さん。先日出版された書籍「ソーシャルデザイン」でも大きな注目を集めた兼松さんがインタビュー相手として選んでくれたのは、インテリアショップ「Playmountain」や、喫茶店「Tas Yard」などを運営し、住宅や店舗、オフィスなどのデザインも手がける「ランドスケーププロダクツ」の代表、中原慎一郎さん。近年は故郷・鹿児島でも精力的に活動し、異色の鹿児島ガイド本「ぼくの鹿児島案内」などの出版も手がけている中原さんに、兼松さんが聞いてみたいこととは?

3. 「ソーシャルデザイン」には何が必要ですか?

中原慎一郎 

「ソーシャルをデザインする」というよりは、「ソーシャルがデザインを利用できる」という感覚。自分が考えるソーシャルにいる人たちが、いかにデザインを利用できるかという考え方です。

Q.中原さんがランドスケーププロダクツを始めてからすでに十数年経ちますが、最近変わってきている部分などはありますか?

中原:変化は色々あると思います。自分の年齢のせいもあると思いますが、起業してがむしゃらにやっていた時から、リーマンショックや震災など色々な社会的な出来事もあるなかで、いくつか節目のようなものはあったと思います。社会というものをどのくらいの範囲でとらえるかはさまざまですが、近所や隣人のためという意識も含めてやっていきたいなと思うようにはなりましたね。特に強い使命感があるわけではなく、こうした方が自分も楽しくなるからということなんですが、自分たちのお店などに関しても、その辺の意識はだいぶ変わってきたところですね。

Q.モノを買う側としての生活者も変わってきているように思います。ただ何となく話題のものを買っていれば満足できた時代が終わって、流されずに納得いくものを選ぶ。自分にとっての大事なものを改めて見つめ始めているように思います。

中原:そうですよね。そういうなかで、いま日本人もコミュニティのことを考え始めているように感じます。最近、当時適当につけた「ランドスケーププロダクツ」という社名についてよく考えるようになったんですね。僕らの活動のベースには、自分の周りの景色をまず良くしたいという思いがあるんです。それは目に見える景色もそうだし、全体の空気感や雰囲気なども含めて良くしていくための集団なんだということは最近特に思いますね。そのために「デザイン」という方法を使うこともあるし、場合によっては単純に人と人の間に入っていく役割を担うこともあるという感じです。

兼松さんが編集長を務める「greenz.jp」では、社会の課題を解決するさまざまなグッドアイデアが紹介されている。 2012年1月に出版されたグリーンズ初の書籍『ソーシャルデザイン』。

Q. ある本屋さんでは専門の棚が設置されるなど、「ソーシャルデザイン」というキーワードが注目されています。その言葉についてどう思われますか?

中原:僕自身の話をすると、「ソーシャルをデザインする」というよりは、「ソーシャルがデザインを利用できる」という感覚が好きなんだと思います。自分が考えるソーシャルにいる人たちが、いかにデザインを利用できるかという考え方です。「ここはデザインという手段に頼った方がいいかどうか?」という判断が自然にできる環境や空気感が作れるといいなと。地方に行って実感したのは、デザインだけですべては解決できないんだということなんですね。むしろデザイン力がある人ほど警戒されたりする(笑)。一緒に顔を付き合わせて色んな話し合いに参加することが大事だったり、本当にここに根付く気があるかどうかという部分が優先されたりするんです。もちろん、興味を持って寄ってきてくれる人たちもいて、そういう理解者のような人たちとまずは実績を作っていくことが大切。そういう人たちと、もともとそこにあったものをいかにデザインによって再編集していけるかということが鍵なんだと思います。<続く>

インフォメーション

中原さん率いるランドスケーププロダクツがアート/プロダクトディレクションを担当した香りのブランド「M tree」が発売中。

もっと知りたい人は…

  • 兼松佳宏 

    兼松佳宏

    「greenz.jp」編集長

    1979年秋田生まれの勉強家兼コンテンツディレクター。「greenz.jp」編集長。趣味は勉強すること、対話すること、プロトタイプすること。ひっくるめて「これからの◯◯」を創造すること。新卒のウェブデザイナーとして制作プロダクションに所属しながら、プロボノでのNPOのウェブサイト構築支援に関わる。アートディレクターとしてCSRコンサルティング企業に転職後、2006年フリーランスのクリエイティブディレクターとして独立。ウェブマガジン「greenz.jp」の立ち上げに関わる。2008年、株式会社ビオピオ設立し、取締役に就任(2011年に退任)。2010年12月よりgreenz.jp編集長。NPO法人グリーンズ理事。著書に『ソーシャルデザイン 社会をつくるグッドアイデア集』(グリーンズ編)、『クリエイティブ・コミュニティ・デザイン 関わり、つくり、巻き込もう』(共著)など。

  • 中原慎一郎 

    中原慎一郎

    ランドスケーププロダクツ代表

    1971年、鹿児島県生まれ。ランドスケーププロダクツ代表。オリジナル家具等を扱う「Playmountain」、カフェ「Tas Yard」、コーヒースタンド「BE A GOOD NEIGHBOR COFFEE KIOSK」、子供のためのレーベル「CHIGO」を展開。また住宅/店舗のデザイン業務、イベントプロデュース/ディレクションを手がける。2012年より「Shibuya Hikarie ShinQs」内のイベントスペース「Craft Bureau」のディレクターに就任。